カテゴリ:ギターリぺアー
◆Morales M350 再生リペア
ギターオーナー様は、千葉県富里市の【WAYS】のオーナー様です k2ギターファクトリーでリペアのご依頼を頂いた【穂高 第弐百五号 】 が完全復活を遂げて、店内ライブステージで活躍しておりまして、 【これも大丈夫?】とリピート・リペアのご依頼を頂きました。 事前にMorales と聞いてましたので、もしかしたらアレ?・・・ ●【WAYS】様をご存じのゲスト様・・・welcome guitar のモラレスM350です 雨や閉店後は店内に仕舞ってますよね? の問に、去年9月の台風の時に 行方不明になってしまい、捜索したら2軒先の庭まで飛ばされていたとの事で つまり、オープン以来【雨にも負けず風に飛ばされても】門番をしていた、過酷な 運命におかれていたギターです。 しかも、M350はオーナーが最初に購入した【青春のギター】と言うから驚きです お引き取りの時に、M350に代わってオーナーにギターの気持ちを伝えました事は 言うまでも有りません【いいかげんにせいよ】DESU ◆無事保護して参りました ●去年9月の台風の時に飛ばされた事を代表に風雨の影響は、ブリッジとフレットボードくらいで 頑丈な造りのMorales M350 天晴!です ノックテストでも明らかにブレーシングが剥離してる反響音も帰って来ません。 それどころか、反響音は鳴るギターの前提条件である、乾いた金属音が返って来ます 思ったよりも状態は良いので完全復活可能です、まずは門番時代の湿気を抜きながら リペアを進めて行きます ●ヘッドは白濁してますが、普通に管理していたギターでも起こります ●見える範囲で木材の腐食は無いようですが、腕を入れて見ましたら、 不思議なブレーシングの構造なので、先に見て唖然とするよりも 切羽詰まってから見た方が良いと感じたのでミラーを入れませんでした。 ●5フレットのポジションマークを紛失してます。フレットボードのダメージは サンディングして取除きます ●バックは普通のビンテージギターって感じで問題は有りません ●ペグも普通に回ります、ネジが素直に外せる事を願ってます バラシて錆びを除去してからグリースアップします ●ネックを見る限りでは、かなり弾き込まれてます ●ブリッジは無垢材ですから、サンディングすれば問題は有りません ●フレットボードもサンディングします ●ペグのビス&ロッドカバーのビスも折れる事無く外れてくれましたが トラストロッドが不安です。 いきなり回す事はしないで、サビ取りスプレーを掛けて24時間放置します ◆再生リペア開始して行きます ●ボディ全体を磨くことから始めます 風格の有るビンテージギターに変化しました ●ヘッドの白濁は内部で発生してるので、取れませんが表面に艶が戻って来ました ●バックも良い感じです ●ブリッジもこの通りです ハカランダで作られてますので、オイルフュニッシュ仕上げにして木目が判る様に します ●外れかけたポジションマークは外して接着し直します。ポジションマークの切れ込みは 埋め込んでから入れられてます ●5フレットのポジションマークを削り出して合わせて見ます どの程度水の影響が有るか、テスト的にサンディングしましたら、フレットボードも ハカランダが使われている感じです ●ポジションマークを接着します、フレットボードとの隙間はパテ埋めします クラウンからの切込みは、フレットボードに接着してからしますが、0.5mm厚の ドルメル用の超超小型丸鋸の刃は流石に持ってませんので、工夫が必要です ●幸いにもロッドは周りましたが、ネックの修正が出来るかの確認は現時点ではしません ●5フレットはオリジナルの形状を忠実に再現してます ポジションマークの仕上がりです ●ブラスピンがピンホールを修正する必要が無く、ピッタリでしたのでこれを使います ●ペグを戻しますとギターに戻って来たなって感じます ●ストラップピンはこの位置に打ったらNGです。裏に受けの木が無いので、アッと言う間に 外れて床に落下と言う悲惨な事になります。 正とされる位置に移動させますが、この穴は埋木してからペイント補修します ◆外側のリペアが完了しましたので、内部に手を入れて行きます 内部が乾燥し始めて最初のノックテストでは判らなかった、トラブル箇所が姿を現す 頃と思います。 ●バックから確認して行きますと、姿を現してくれました。 3番の左が剥離してます ●バック材の合わせの補強板も剥離してます 3番の右も剥離してます ●見つけ次第、接着して行きます センター補強板と3番の右を接着します ●3番の左の接着です。ボディは厚いのですが、サウンドホール際のブレーシングが高いので 腕が奥まで入りません、ジャッキ掛けは少し難儀しました 本日はここまでです、1日放置して固定を待ちます ●ネックブロックも剥離してます ●バック2番の左も剥離してます ●バック4番の左も剥離してました。スクレーパーの柄の部分のセンター補強材も浮いてます ●本日も剥離が判明したバック側3カ所を接着します ●バック4番を接着します、ジャッキを掛けてから外からボディクランプを掛けます ⁂ここまででバック側は完了と思いたいのですが、過酷な状態で飾られてましたので 完全にOKとまでは言えません。 ◆トップ側を確認して行きます ノックテストで、同じ位置なのに微妙な違和感を感じる反響音がすると思えば、 感じない事も有りますが、この場合は経験上、僅かに剥がれてる事に決定なので 妥協しないで確認しましたら、やはり有りました ●Xブレーシングの左で、サウンドホールから見て、逆側に僅かな隙間が有りました ●タイトボンドを流し込んで固定を待ちます。 本日段階では、他に剥離箇所は発見出来ませんでしたが、更に木材の水分が抜けてから 変化が起きる可能性は充分に有ります ●現代風のナットの形状に整形し直します。弦とナットの接触面積を減らす事によって 音質向上が狙いです ●1~3フレットは試奏してみないと確実ではないですが、 打替えが必要になる可能性が有ります ●フレットボードはR350です ●サドルを削り出すサイズを測定します、予定弦高12F/2.5mmではナットの出が 全く取れません。 ●ブリッジ厚8mm有りますので、2mm下げてサドルの出を確保します ●ブリッジにデコレーションが有りますので、トップは斜めに削りました ●削り出すサドルのサイズです ●粗削りでピッタリ合うか確認します ●サドルの仕上がりです ●弦のテンションが掛かって予定通りの弦高に成ります ●ロッドもちゃんと機能してます ●弦を張って音出ししましたら、1~5フレットの窪みでビビリますのでフレットを 擦り合わせて見ます。駄目元なので思い切って擦り合わせます、 駄目なら部分打替えをします ●擦り合わせました何とか行けそうです ●1Fにスペーサーを付けて12フレットの弦高を測定します 微調整が必要ですが、ロッドを調整した直後ですので少し時間を空けます ●ネックのサイドバインディングに隙間が有りますので、年代の近い物を使って隙間を埋めます ●ピッタリ収まりましたが高さが足りない分はパテを埋めます ●もう門番する事は無いでしょう!ステージの中央ギターハンガーに掛けられますので 安心して下さい まだ完成の画像では有りません ●ストラップピンの跡穴はメイプル丸棒で埋めて、色合わせします ◆ネックが安定して来たようなのでセッティングを決めて行きます ●1Fを調整します ●6E/12Fは、2.5mmにセットしました。マスターのプレーにはこの高さが必要です ●1E/12Fは、1.75mmです ●仮の試奏タイムです 長い間弾かれて無いどころか過酷な状態に置かれてましたので、材が振動しない感じです ステージではピックアップを介した、強めのコードストロークの演奏には、 余分なサスティーンが無い方がピッタリでステージで活躍してくれそうですが、 4Dの音に違和感が有ります・・・まだ隔離が隠れているようです ●トップ側のXブレーシングに3カ所並んで剥離してました、纏めて接着します ●ストラップピンの下穴を開けておきます ●ナットの仕上がりです ●白濁はクリアの下塗りの関係で発生する事はよく有ります ●ストラップピンも正規の位置に付けて有ります ●GOTOHのペグが純正ですから、ミドルクラス以上のギターです ●バックの仕上がりも良い感じです ●同じギターのブリッジとは思えない仕上がりです【自画自賛】 ●随所に手が掛かりましたが、完全復活リペアの完了です ◆試奏タイムです ボディサイズに反比例するかの様に音量が控えめですが、最初の一発目のDコードの 音量と、15分位鳴らした後の音量に変化が有るのが直ぐに判りましたので、 水分が抜け切れて無いのと、セルロースがバラバラに並んでるのかも知れませんが 乾燥が進むのと、弾き込んで行く事によって本来のポテンシャルを発揮する事は間違い 有りません、赤ちゃんを育てる様に優しく弾き込んで行って下さい。 🌸こんごのせいちょうがたのしみです🌸 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年08月08日 09時18分22秒
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