2023/09/05(火)08:55
アダム・リフキン「ラスト・ムービースター 」神戸アート・ヴィレッジ・センター
アダム・リフキン「ラスト・ムービースター 」
ぼくにとっては二十歳の時に観た、1974年の映画、「ロンゲストヤードThe Longest Yard」で、囚人チームを率いたクォータ・バック、役名は忘れましたが(ポール・クルーだそうです。)、それがバート・レイノルズです。ロバート・アルドリッチ監督が描いた、痛快スポーツ・アクション。神戸にやって来た頃、封切りで見ました。いまだに、ラストの快感が忘れられません。
その頃、彼は、全裸の写真とかで物議を醸していて、ちょっとイカレタ、俳優でしたが、ぼくは「ロンゲストヤード」にイカレて、名前を覚えたのでした。
そのレイノルズが、昨年(2018年)、亡くなってしまっていたことには気づいていませんでした。今、評判の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にもキャスティングされていたらしいのですが、撮影に入る前に亡くなったそうです。というわけで、この作品「ラスト・ムービースター」が、イカレタ俳優バート・レイノルズのラスト・ムービーになってしまったらしいのです。
老衰の飼い犬の安楽死に立ち会う老人。何だか、侘しげで、投げやり感もただよう「老い」の生活。往年のセックスシンボルも、いよいよ年貢の納め時かと思わせるシーンですが、その、「元」映画スターの老人ヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)のもとに届いた、怪しげな映画祭への招待状が事態を一変させてしまうのでした。やっぱりネーと、納得の、いかにもB級の匂いむんむんの痛快が始まりました。
イカレタ映画狂いの若者たちにビンボーくせー! とばかりに真っ向勝負。愛犬の心臓病の薬を間違って飲んで気力充実。夜の街の女の子を見かけるとバイアグラをさがして、アタフタ。とどのつまりは、認知症ですべてを忘れてしまっている昔の恋人と見事にランデヴー。イカレタ男、バート・レイノルズ君、健在!
彼をエスコートする、これまたイカレタ、イラストレイター、アリエル・ウィンター演ずる「リル」もサイコー!
正直、「運び屋」のイースト・ウッドも、「さらば愛しきアウトロ―」のレッドホ-ドも真っ青!といっていい出来栄えです。
「年取ってまで、いつまでも、気取ってるんじゃねーよ!シャラクセー!」
なんだか、そんなふうに、堂々と啖呵を切って、御両人の向こうを張ってる「老い」っぷり。最後は泣かせて、笑わせて、しみじみさせる。みごとなものでした。 「まだ、まだ、これからだよ!」 そういって、映画は終わります。チラシの写真も実に愛嬌があるじゃないですか。
ところが、御当人、暢気なファンが気付いたころには、さっさと、この世をオサラバしているんだから、引きっぷりも見事というべきでしょうね。心から冥福を祈りたい気分になる幕切れでした。
「あの世」でも、きっと、バイアグラ片手に、手あたり次第、「女性」と見れば口説いて回ってるに違いないナイスガイ、「バート・レイノルズ」サヨウナラ!
監督 アダム・リフキンAdam Rifkin
製作 ニール・マント ゴードン・ホワイトナー
アダム・リフキン ブライアン・キャバレロ
製作総指揮 ブレット・トマソン エリク・クリッツァー
脚本 アダム・リフキン
撮影 スコット・ウィニグ
美術 ブレット・A・スノッドグラス
編集 ダン・フレッシャー
音楽 オースティン・ウィントリー
キャスト
バート・レイノルズBurt Reynolds(ヴィック・エドワーズ)
アリエル・ウィンター (リル)
クラーク・デューク
エラー・コルトレーン
ニッキー・ブロンスキー
チェビー・チェイス
2017年 103分 アメリカ 原題「The Last Movie Star」
2019・09・18KAVC(no4)
(記事中の画像はチラシの写真です)
追記2019・09・24
どうして、この映画は、あんまり注目されてないんだろう。派手なところではやってないようだけれど、かなり、ハイレベルだと思うんですがね。ぼくは、絶賛なんですが。
追記2020・02・17
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も観ました。モチロン、レイノルズ君は出ていませんが、誰の役だったんだろうって、ふと思いました。感想はクリックしてみてくださいね。
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