カタオモイノマモリカタ

彼は来てくれました

帰省は来週にしたんだって
「もしかして私に会いに来てくれたの？」
って冗談で言ったのに
「主目的はそうだよ」
なんて
そんなふうに言ってくれたの初めてだよ
嬉しくて
また心臓止まるかと思った

帰り道
二人で誰もいない職場に寄った
こんな場所くらいしか
二人になれるところがないんだもん
（ホテル！なんて絶対行ってくれないし）

ゆっくり二人でいられることなんてほとんどないから
なんだか初めてゆっくり
いろんな話ができたような気がするよ

一緒にいないときも
お家にいるときでも
私のことを考えちゃうことがあるって言ってた
「かみさんに申し訳ないな～と思うんだけど」
だって
でも嬉しかった
私はいつもいつも
あの人のことを考えてるもの
少しは彼の気持ちを信じてもいいのかなって
初めて思えた

「もうこういうの、やめたい？」
って聞いたら黙っちゃったけど
しばらくして
「自分はずるいと思うんだけど。
『やめよう』って言わなくちゃいけないってわかってるんだけど」
やめたいって言われたら
本当にやめようと思ってた
でもあの人は言わなかった
もうこれで共犯だよ

そしてやっぱり話は
「抱いてくれないの？」ってことになって

彼は家庭があるから
私を抱けないのだと思っていたけど
あの人を留めているのは
それももちろんそうなのだけど
普段一緒に仕事をしなくちゃいけないことが大きいんだって
「今でも充分、平常心で仕事するの難しいのに
そんなことしちゃったら、もう一緒に仕事できない」
彼は本当に本当に
レンアイに慣れた人ではなくて
本当に本当に
私と仕事するのやりづらそうなんだよね

水曜日はデート
「また誘惑するよ。『抱いて』って言っちゃうよ。
それが嫌なら水曜日、会うのやめよう。」
ってイジワル言った
またすっごく困ってたから
「ちゃんと今日みたいに『ダメ』って断ればいいんだよ」
って言ったら
「じゃあ飲みにだけ行こう」
だって
「私ってよっぽど魅力ないんだね」
ってもっともっとイジワル言った
「そんなこと言わないでよ」
って
「抱きたいと思ってるよ」
って
それが聞けたらからいいよ

あの人が私を抱いてくれることはないだろうな
でも
私は彼にとって特別になれたのだと思う
私のことを大切に思ってくれてるのだと思う
ちょっとだけ自信が持てた

いっぱい抱きしめてもらったし
いっぱいキスしてもらったし

彼をたくさん充電したから
また明日から頑張ろう

水曜日は
あんまりイジワルしないことにしよう

多分ね