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カテゴリ:東宮~永遠の記憶に眠る愛~全55話
东宫 Goodbye my princess 第35話「皇后の企み」 李承鄞(リショウギン)は唯品閣で店主に服の仕立てを頼んだ。 しかし寸法が分からず、巻尺を借りて小楓(ショウフウ)を奥の部屋に呼ぶ。 「瑟瑟(シツシツ)の代わりに君の寸法を測る」 「なぜそなたが?店主に頼め」 「…では女子だと知られてもいいのか?それに夫婦だから構わないだろう?」 「ゥッ…早くしてくれ」 すると李承鄞はこの機会を利用して愛しい小楓に密着しながら、無事に採寸を終えた。 李承鄞と小楓が唯品閣を出ると、偶然、露店で買い物している顧剣(コケン)とミロがいた。 咄嗟に引き返そうとする小楓、すると李承鄞はわざと小楓の手を握りしめ、顧剣に見せびらかすように引っ張って行く。 ミロは小楓に気づいて声をかけようとしたが、なぜか小楓は気まずそうに通り過ぎた。 「顧剣?小楓と一緒にいたのは誰?なぜ知らん顔して行ってしまったのかしら?」 しかし顧剣はむすっとして帰ってしまう。 李承鄞は小楓の手を握りしめたまま宮殿に戻った。 一体、どういう風の吹き回しなのか…。 小楓は困惑しながらふと立ち止まり、もう着いたと声をかけた。 すると李承鄞は急に態度を一変させ、小楓の手を放して先に行ってしまう。 (´⊙ω⊙)<何あれ?訳わからんわ アドゥは一足先に酒楼についた。 しかしまだ小楓が来ていないと知り、顧剣を訪ねる。 すると酒楼の裏庭で薪割りをしている顧剣が急に喀血する姿を目撃した。 驚いたアドゥは顧剣が何か隠していると気づき、白状しないと公主に話すと脅す。 仕方なく顧剣は崖から落ちた時に深手を負ったと教え、身体は万全ではないが大丈夫だと嘘をついた。 アドゥは自分が刺したせいだと責任を感じたが、顧剣は小楓の心の傷に比べれば何でもないという。 「恐れているのは小楓の記憶が戻ることだ…私を恨むに違いない、そして己を責めるだろう アドゥ、分かっている、君も辛いだろう…忘れたくても忘れられないんだからな…存分に泣け」 アドゥが顧剣の胸を借りて泣いていると、小楓の声が聞こえた。 咄嗟に涙をふいたアドゥだったが、駆けつけた小楓はアドゥの目が赤いことに気づく。 「どうしたの?顧剣がいじめたの?」 「んなわけないだろう?」 顧剣は否定したが、小楓は店内に戻っても疑っていた。 「私はいじめていないぞ?君こそ友人を放って男と会うなんて酷すぎる」 「師父がそんなこと弟子に言うか?」 「師父?これからは知らん顔するのかと思ったよ」 顧剣は自分を無視した小楓に嫌味を言ったが、そこへミロがやって来た。 「小楓、さっき殿方と一緒にいたわね?あの人が夫君(フクン)なの?」 「…ぅん」 小楓がしぶしぶ認めると、ミロはお似合いだと褒めた。 しかし今日は側室の衣装選びに付き合っただけ、小楓は夫と仲良くないと打ち明ける。 ただ不思議なことに以前、側室と一緒に湖に落ちた時、夫がなぜか自分を助けたと首を傾げた。 ここの葡萄酒を側室に届けた時も、滑って倒れそうになった自分を助け、結局、側室が手に傷を負ったという。 「私のことが嫌いなのに、なぜ助けるのかな?」 一方、皇后から夕餉に誘われていた李承鄞は清寧宮を訪ねた。 そこで勧められるまま梨花(リカ)酒を飲み、やがて酔いつぶれてしまう。 女官・容霜(ヨウソウ)は太監と一緒に皇太子を寝所へ運び込むと、そこにはすでに緒娘(ショウジョウ)が待っていた。 「分かっているわね?…そなたの赤子は富と名誉を手にできる、お勤めをしっかり果たすのよ?」 その頃、承恩殿では小楓がミロの言葉を思い出していた。 …話を聞く限り、夫君はあなたを嫌っていない …人は驚くと本心が出る、最初の反応が真実なのよ …あなたを先に助けた、つまり夫君はあなたを気にしているってこと 小楓は李承鄞の気持ちが分からず、ひとり悶々としていた。 …殿方って不思議なものよ? …好いた女子との接し方が分からないの、だから悪態をつく、好意を胸の奥に隠しているだけよ 「でもあの人が好きなのは瑟瑟…私なんて眼中にないはずだわ」 今夜も皇太子は青鸞(セイラン)殿に来なかった。 瑟瑟は刺繍をしながら待ち続けていたが、もしや自分に飽きてしまったのではと不安がよぎる。 「殿下は私に一途だと思っていた、でも太子妃への眼差しが…」 皇太子を失うのではと怯える瑟瑟、まさか李承鄞が他の女子と共寝しているとは夢にも思うまい。 その時、李承鄞の隣にはあられもない姿の緒娘がいた。 緒娘は恐る恐る皇太子の胸に手を伸ばしたが、その時、突然、李承鄞に手をつかまれてしまう。 瑟瑟はふと思い出し、錦児(キンジ)に李承鄞との出会を聞かせていた。 「初めて宮中に上がった時よ、永寧や他の公主にいじめられてね… 山に置き去りにされて転んで怪我をしたの、いくら泣き叫んでも誰も来なかった… 寒いし、暗くて怖かったわ〜そこに現れたのか殿下だったの」 李承鄞は怪我をした瑟瑟を背負い、橋を渡って宮中へ戻ってくれたという。 その背中はなぜかとても安心できた。 瑟瑟はその時、李承鄞こそ自分が嫁ぐべき相手だと確信したという。 「殿下は私を幸せにするとおっしゃった…私ったらバカね」 瑟瑟は皇太子を少しでも疑ったことを後悔し、錦児に東宮へ夜食を届けるよう命じた。 小楓は寝付けず、寝殿を出て月を眺めていた。 そこへ偶然、夜番の裴照が通りかかる。 「裴照が太子妃にご挨拶を…」 「今夜は星がきれいね…でも都で見る星は遠すぎるの、遠くて手が届かないわ でも西州の草原は違う、見上げれば満天の星空、手を伸ばせば届きそうなの…」 「太子妃、家が恋しいのですね?」 すると小楓は悩み事があると教え、思わず李承鄞のことが分からないと訴えた。 皇太子の側近である裴照には李承鄞の自分への気持ちがどう見えるのだろうか。 しかし裴照は家事のことに口を挟む資格はないという。 小楓は皇太子妃としてではなく朋友として意見を求めたと言ったが、あきらめて空を見上げた。 孤独な小楓、そんな寂しそうな皇太子妃の背中を見た裴照は励まさずにいられなくなる。 「太子も太子妃に関心をお持ちかと… ただ良き夫君になるために模索しておいでなのです、時間を差し上げてください」 そんな2人の様子を錦児が見ていた。 翌朝、清寧宮の離れに泊まった李承鄞は皇后と朝食をとっていた。 そこへ容霜が血相を変えて駆けつけたが、皇太子の顔色をうかがうって口ごもってしまう。 李承鄞は仕方なく自ら緒娘を見たのかと聞いた。 「離れに片付けに行ったら…殿下の寝台で緒娘が寝ていました…」 皇后はわざとらしく驚いて見せると、気に入ったのなら側に置くよう勧める。 しかし李承鄞は酔っていたせいだと言い訳し、瑟瑟一筋だと訴えた。 そこで瑟瑟の機嫌が直るまで東宮に迎えるのは待って欲しいという。 皇后はそこまで良娣を気遣う息子に呆れたが、李承鄞は自分の要求を拒むなら母に従わないと口答えして帰ってしまう。 東宮に戻った李承鄞は裴照を呼んだ。 そこで昨夜、緒娘という侍女が寝所に送り込まれたと教える。 実は李承鄞と緒娘の間には何も起きなかった。 緒娘は皇太子が間違いを犯すよう手を伸ばしてみたが、李承鄞がその手をつかんで止める。 すると李承鄞は今夜の件を決して口外するなと命じ、水の入った桶に顔をつけて酔いを覚ました。 「皇后の狙いは何だ?瑟瑟以外にも側妃を持てと言うのは分からなくもない… だが、なぜ緒娘なんだ?」 李承鄞は裴照に緒娘を調べるよう頼んだ。 一方、皇帝は身分を隠したまま鳴玉坊(メイギョクボウ)の明月(メイゲツ)を訪ねた。 すると明月のもてなしが、かつて寵愛した顧淑妃の姿を思い出させる。 実は李承鄞は亡き生母・顧玉瑤(コギョクヨウ)に仕えていた侍女を探し出し、母の習慣を聞き出して明月に伝えていた。 「(はっ)もしや明月、心の傷に触れてしまいましたか?」 気がつくと皇帝の頰を一筋の涙が流れた。 「いや、思い出しただけだ、昔の楽しかった日々をな…」 皇帝はこれ以上、明月を欺きたくないと話し、自ら身分を明かした。 裴照は皇太子に緒娘について報告した。 緒娘は宮中に使えて5年、真面目に働いていたが、最近は羽林軍の張参(チョウサン)と親しいという。 良い噂は聞かないが、張参は皇后の再従弟だった。 唯品閣から衣が届いた。 李承鄞はすぐ青鸞殿に届けると、喜んだ瑟瑟は早速、着替えて披露する。 こうして機嫌を取ったところで、李承鄞は″狼の牙″を返してもらうことにした。 「あれは小楓の物だった、拾った物なので知らなかったのだ」 「太子妃の物でしたか…」 「…小楓の祖父がしとめた狼王の牙らしい そう言うことなら返そうと思ってな、それに君には不吉だ」 瑟瑟は皇太子妃の物なら返すのは当然だと、物分かり良く箱に入った狼の牙を持ってきた。 すると李承鄞は中を確認するでもなく瑟瑟の手からさっさと取り返し、その代わり玉佩(ギョクハイ)を授ける。 瑟瑟は感謝したが、明らかに不満そうだった。 高于明(コウウメイ)は皇太子の思惑がつかめず、苛立ちを募らせていた。 世継ぎがいない皇后は恐るるに足らず、最後は高家を頼るしかない。 しかし皇太子はある程度、力を蓄えたら高家と距離を置くような気がしていた。 そこで愛娘の如意(ニョイ)を宮中に上げ、もし皇子を授かれば高家は今後、一切の憂いがなくなると期待する。 すると高坤(コウコン)は皇后から知らせがあり、この数日中にも如意が夜伽に呼ばれると教えた。 つづく |ω・`)で、狼王って何匹いるの?w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.01.05 23:17:40
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