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カテゴリ:夢幻の桃花~三生三世枕上書~全56話
三生三世枕上书 Eternal Love of Dream 第42話「帝君の告白」 東華帝君(トウカテイクン)は緲落(ビョウラク)の化身と激しい戦いとなった。 その間に白鳳九(ハクホウキュウ)の元神は本人の身体に戻り、棺に眠っていた鳳九が目を覚ます。 ( ˙꒳˙ )<あれ?なぜこんな所に?…本当の私に戻れたの? なぜか額の鳳羽花(ホウウカ)が熱っぽく感じる鳳九、その時、激しい剣戟(ケンゲキ)の音が聞こえた。 白鳳九は空中戦を繰り広げる東華帝君と妖女を見つけた。 「ディジュン…?」 すると東華帝君は白鳳九が元神を取り戻したと気づき、急いで戻って来る。 「小白…目覚めたか、良かった」 「ディジュン!小心!」 鳳九は妖女の攻撃に気づき、咄嗟に叫んだ。 しかし東華帝君はそのまま鳳九を抱きしめ、背中でまともに一撃を浴びてしまう。 「さあ、隠れなさい」 東華帝君は鳳九を物陰に座らせ、再び戦いに戻った。 |ω・)<あれは…梵音谷(ボンオンコク)で帝君が戦っていた妖女よね? 東華帝君は白鳳九を守るため、緲楽を遠ざけた。 やがて静かになると、鳳九は心配になって東華帝君を探しに向かう。 すると山中で東華帝君の金色の血がついた岩を見つけ、血痕を頼りに行方を追った。 一方、王宮では王后が橘諾(キツダク)を慰めていた。 沈曄(シンヨウ)は先王に命を救われた恩があり、恐らく恩返しのため今回、橘諾を救出してくれたという。 橘諾は許嫁の沈曄に一途だったが、沈曄のあいまいな態度に悩み、つい魔が差して密通していた。 王后はそんな娘の辛さを理解し、しばらく王宮で静養する許可を大王からもらったという。 「追放の件は私に任せなさい、時機が来たら私がお前を王宮に戻すわ」 断腸山は激しい雷雨となった。 白鳳九は洞窟の入り口で雨宿りしていたが、ふと風に乗って血の匂いが届く。 そこで暗闇の洞窟の中へ入ってみると、うっかり足を踏み外し、地下へと転がり落ちてしまう。 鳳九は夜明珠を招喚、明かりを頼りに歩き出したが、そこへ肩から血を流している東華帝君が現れた。 「ついに目覚めたか…」 すると東華帝君は鳳九の顔に優しく触れ、思わず口づけしてしまう。 鳳九はそのまま岩の壁に押し付けられ、身動きが取れなかった。 「ぁ…いけないわ、手当てしないと」 「何も言うな…傷が痛む…そなたに身体を預けていたいのだ」 「…薪を拾って来ます、さあ、歩いて(ハイハイ…おじいちゃん)」 鳳九は東華帝君を支えると、横になれそうな石まで連れて行った。 ↓背中が痛いよ〜(꒦ິ⌑꒦ີ) 白鳳九は焚き火で暖を取り、東華帝君の肩の傷に包帯を巻いた。 「帝君はなぜここに?」 「そなたを追って来た」 「姫蘅(キコウ)と愛し合っているのになぜ?…思い出したの 私がどうしても欲しかった頻婆果(ビンバカ)、姫蘅に頼まれるとすぐに渡したわ 姫蘅が好きだから機嫌を取ったのでしょう?」 東華帝君は鳳九が誤解していると知り、素直に謝った。 「実は始めからそなたに渡す気はなかった 姫蘅が秋水(シュウスイ)の毒に使うと言って来たので渡した、それだけだ」 鳳九は東華帝君と姫蘅が示し合わせた訳ではないと分かったが、なぜ自分に渡す気がなかったのか納得がいかない。 すると東華帝君は何とも言いにくそうに理由を明かした。 「なぜかと言うとだな…そなたに渡せば燕池悟(エンチゴ)に菓子を作るだろう?…嫉妬じゃ」 「嫉妬?なぜ燕池悟に嫉妬を?」 「…小白、何を怒っている?あの者たちはどうでも良い…信じてくれ、私はそなたが好きだ」 東華帝君は鳳九の手を握りしめ、自分の胸に当てた。 「私の心の臓を捧げれば信じるか?好きだからこそ阿蘭若の夢まで追って来た これまで良く尽くしてくれたな」 しかし鳳九はどこか半信半疑だった。 少しずつ記憶が戻り、まだおぼろげではあるが全て思い出したという。 東華帝君はぼんやりしてきた鳳九の額に手を当てると、鳳九を引き寄せて抱きしめた。 「私を追ってここに来た?…独りには慣れてる、でも何度も裏切られるとやっぱり辛いの…」 …小白、そなたは誤解している、阿蘭若の夢はひどく奇妙だ …そなたの元神は身体に戻ったばかりで不純な気が混じっており不安定なのだ …ここに留まれば危ない、阿蘭若の夢から出よう、そしてそなたの誤解を解こう 「小白、深手を負ったゆえ記憶がないのだろう、私は負傷したそなたに血を与えて治療した 夢に入ったのは傷を癒すため、本当だ、そなたのためである 夢の中で私は息澤(ソクタク)で、そなたは阿蘭若だ、私たちは夫婦なのだ そなたを守る、全てが終わったら真相を話そう」 「あなたが息澤で私の夫?」 「月令花(ゲツレイカ)を見ながら歌ってくれただろう?」 「ええ、覚えてる」 東華帝君はもう一度、あの歌を歌って欲しいと頼んだ。 東華帝君は白鳳九の膝枕で月令花の歌を聴いた。 しかし月令花は例え咲いても月を見られないという切ない歌、東華帝君は二度と鳳九を悲しませないと約束する。 「あの夜の話を覚えていたのね…」 「全部、覚えている…今度は私が幼い頃に聞いた歌をそなたに歌ってやろう」 鳳九は聞いたことがある歌だと気づいたが、最後の歌詞だけ違うと指摘した。 「♪この花を摘んで飴を作ろう?確か″花を摘んで嫁入り道具にする″だったわ? そんなに飴が好きなの?」 「…うむ、好きになったであろうな、孤児の私は当時、飴など無縁だった 食べられる者が羨ましかった、食べさせてくれるか?」 「飴細工は得意なの」 「…夢から出たら一緒に家に帰ろう」 記憶が回復したせいか、鳳九は急に家が恋しくなった。 「青丘(セイキュウ)に帰りたい…」 「では先に青丘に帰ろう」 すると鳳九はふいに蘇陌葉(ソハクヨウ)の言葉を思い出した。 阿蘭若の夢から出るには阿蘭若の一生を全うする必要があるという。 東華帝君はそれに倣うと決め、あとは自分に任せろと安心させた。 一方、沈曄は阿蘭若の屋敷で軟禁生活を送ることになった。 執事に案内されて居所となる孟春(モウシュン)院へ向かう沈曄、その時、庭石に彫られた詩に気づいて足を止める。 「愁心(シュウシン)遣(オク)りがたし 何ぞ急ぐことあるや 浮世の変化(ヘンゲ)は天命の定め 憂いや畏れ おのずと時ありて尽く…」 「公主は書がお好きで詩を揮毫(キゴウ)されます」 「なるほど、阿蘭若の字だ」 沈曄は孟春院に入った。 この200年で何度も夢を繰り返し、再びここまで来たと感慨深い。 その頃、白鳳九は東華帝君の腕の中ですっかり眠っていた。 それにしても鳳九と阿蘭若は瓜二つ、何より不思議なことに元神が鳳九の身体に勝手に戻っている。 すると東華帝君は鳳九の鳳羽花を消し、水月潭へ阿蘭若を探しに向かった。 しかしなぜか阿蘭若の姿はない。 「小白は阿蘭若の転生か?…阿蘭若が生まれた数百年前、小白は青丘にいたはず さらに人間界に行くまで、青丘を長く離れたことはない つまり阿蘭若が生まれた頃、梵音谷にはいなかった…だが何らかの縁がある」 東華帝君は阿蘭若の前世と今世を妙華鏡(ミョウゲキョウ)に映し出せば、全てが明らかになると考えた。 翌朝、白鳳九が目を覚ますと、すでに王宮の居所に戻っていた。 どうやら東華帝君の腕枕で寝ていたらしい。 「ぁぁ~(ヨッコイショ)身体が痛い~あまり眠れなかった~」 「(はあ?)あまり眠れなかったあ?それは私の台詞だ」 東華帝君は自分の腕を差し出すと、鳳九は責任を感じてあんまを始める。 ( ̄꒳ ̄)ノคค˙꒳˙ )トントン! すると東華帝君は鳳九の狐の手を叩いて止めた。 「私は岐南(キナン)神宮に戻るがしっかり静養せよ 神宮へ来ても構わないが、あくまで阿蘭若と息澤として振る舞う、面倒を避けるためだ 額の鳳羽花は消した、周囲には修正術をかけたゆえ、そなたは阿蘭若として堂々とせよ」 …小白、何も危険はないぞ」 「(*゚▽゚)*。_。)ウン」 鳳九が東華帝君を見送ると、侍女・茶茶(チャチャ)がやって来た。 昨夜、沈曄が到着したが、なぜか邸宅の内部をよく知っていて、案内の必要もなかったという。 すると鳳九は茶茶に茶を入れて欲しいと頼んだ。 …阿蘭若の夢は少し面倒だけど、息澤に扮した帝君と夫婦として結ばれて穏やかな毎日を送れる …この上ない幸せよ 蘇陌葉が心配して阿蘭若を訪ねた。 すると白鳳九は手の包帯を見せ、危うく白虎に殺されるところだったと憤慨する。 責任を感じた蘇陌葉は丁重に謝罪したが、鳳九が急に失笑した。 「冗談よ~帝君に治してもらったからもう平気なの♪」 「(帝君って…)記憶が戻ったのか?!」 「ん!まさに怪我の功名ってやつね~記憶が戻って元神も体内に戻ったわ」 「何だって?これがそなたの身体だと?」 蘇陌葉は阿蘭若とそっくりで見分けがつかないと驚いた。 そこで鳳九はこっそり包帯をはずして傷がないと教え、阿蘭若ではないと証明する。 「話せば長いの~目覚めたら水月潭にいてね、本当の私は水辺の棺に安置されてた 自分の身体に触れると、たちまち元神が体内に戻って記憶も蘇ったわ …それが変なの~阿蘭若の身体は消えちゃった」 「消えた?!ありえない…」 蘇陌葉は驚愕し、上の空になった。 「そうだ、沈曄が来たけど、私は何をすればいいの?…陌少?」 「…阿蘭若の身体が消えたなんて(ボソッ」 「陌少?…陌少?!どうかしたの?」 「(はっ!)ああ、ここで暮らした頃の沈曄は部屋にこもりきりだった そこで阿蘭若は文を書いて気晴らしをしてやった だから阿蘭若の筆跡を真似て文を書いて欲しい」 しかし鳳九は字が下手だった。 蘇陌葉は仕方なく文の件を引き受けたが、どこか腑に落ちない。 「殿下、気がついているだろうか、阿蘭若の夢は実に奇妙だ 私でさえ魔物に取り憑かれた気がして時々、自分を見失う 私は夢の中にいるのか、それとも現実に生きているのか… 殿下と阿蘭若の間には奇縁がある、油断は禁物だ、くれぐれも慎重に」 「この夢はあなたの生涯の一部よ?当事者だから迷うの あなたは自由に見えるけど、心の奥では阿蘭若に縛られている つまり自分の心に魔物が潜んでいるの、私は悩まないわ~他者の生涯だもん 私が気がかりなのは帝君だけ、帝君がいれば何も怖くないわ」 蘇陌葉は弟子に啓発されたと失笑し、まさに魔物の仕業だという。 ともかく鳳九は阿蘭若の人生を完結させて蘇陌葉が答えを見つければ自分も帰れると言った。 一方、岐南神宮に戻った東華帝君は、窯を開いて妙華鏡を作ることにした。 つづく (  ̄꒳ ̄)これはファンにとって神回、管理人には介g …ゲフンゲフン でもいいの〜ラバちゃんが幸せそうなら(笑 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.01.06 21:32:27
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