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カテゴリ:斛珠夫人~真珠の涙~全48話
斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse 第30話「愛する人の幸せ」 偽物の褚琳琅(チョリンロウ)は皇帝の暗殺に失敗、捕縛された。 旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)と清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は黒幕を明かせば命は取らないと約束したが、偽物は決して口を割ろうとしない。 しかし鑑明はすでに偽物が汾陽(ブンヨウ)郡王の娘・聶若菱(ジョウジャクリョウ)だと調べをつけていた。 汾陽郡王・聶敬汶一(ジョウケイブン)は聶妃の実弟であり、褚季昶(チョリチョウ)と焉陵帝姫(エンリョウテイキ)の母方の叔父にあたる。 「そなたは帝姫の従姉妹ゆえ、容姿が似ているのだな?」 汾陽郡王は儀(ギ)王に追随して九族皆殺しとなったが、聶若菱は網をかいくぐって逃げ延びていた。 全てが明るみに出た聶若菱は褚仲旭を正当な血筋ではないと非難、かんざしを抜いて自分の胸に突き刺してしまう。 結局、聶若菱は蘇鳴(ソメイ)との結託は認めたものの、首謀者を明かさぬまま息絶えた。 偽帝姫と通じていた崔(サイ)太監は清海公の話を盗み聞きさせていた仲間を連れて逃げることにした。 しかし少府監から出たところで方卓英(ホウタクエイ)に捕まり、御前に引っ立てられてしまう。 巻き込まれた施霖(シリン)は何も知らなかったと涙ながらに許しを請うたが、崔太監は暗君に命乞いするなと開き直った。 「白状する!全て私がやった!この者は私の命に従っただけ!」 すると褚仲旭は2人を尋問するよう命じ、施霖も投獄されてしまう。 今回の案件が解決したものの頭を抱える褚仲旭、しかし今では愛しい緹蘭(テイラン)がそばにいてくれた。 一方、方海市(ホウハイシー)は周幼度(シュウヨウド)と酒楼で酒を酌み交わし、命を捨ててまで守ってくれる人がいながら反逆した聶若菱に憤る。 「譲れぬ志を持つ孤高の人間は皆、迷いがないのか? 自分を愛してくれる人がいても志は捨てられないと?」 「…孤高の人間は常人とは違う覚悟があり、多くの犠牲を払う 大切なものを犠牲にしなければ愛する人や自分自身を守り抜けないのだろう」 「常人には持てぬ覚悟?」 その時、周幼度は酒楼の前で黙って傘を差し、海市が出てくるのを待っている方鑑明の姿を見つけた。 周幼度が泥酔した海市を連れて店を出ると、方鑑明が待ち構えていた。 「迎えに来た…」 すると方鑑明はまるで周幼度から海市を奪い返すように抱きかかえ、馬車で帰ってしまう。 ↓イヤイヤイヤイヤ…周幼度一択でしょう?w 方鑑明は海市を居所へ運び、寝かせた。 酔って悪態をついていた無邪気な海市、その寝顔を見ながら鑑明は複雑な想いに揺れる。 海市は師匠に嫌われているとぼやいていたが、海市を想う自分の心など誰も知るはずがない。 鑑明は重い身体を引きずって居所に戻ったが、そのままばったり倒れてしまう。 方鑑明が目を覚ますと海市が付き添っていた。 「師父!目が覚めましたか?!3日も眠っていたんですよ?毒にあたってたのに黙っているなんて…」 実は鑑明が昏睡している間に方卓英と陳哨子(チンショウシ)が都に潜んでいた蘇鳴の手下を一掃、残党は全て廷尉に引き渡されて断罪されていた。 六翼将(ロクヨクショウ)の案件も方鑑明をおとしめるための嘘だと皇帝が民に告示を出し、名誉は回復され職務にも復帰できるという。 「薬を煎じて来ます、横になって…」 海市は師匠へのわだかまりが解け、以前のように明るく振る舞った。 侍医の話ではこれ以上、傷を重ねぬよう清海公に警告していたが、毒にまであたり非常に好ましくない状態だという。 『このまま無理をし続ければ数年で命を落としかねません』 一方、褚仲旭は自分をかばって毒にあたった褚季昶を見舞っていた。 すると褚季昶は皇兄が優しく気遣ってくれるように皇兄に尽くしたいと殊勝なことを言う。 「皇兄の命より大事なものはありません」 褚仲旭は弟の献身に胸を打たれ、目頭が熱くなった。 鵠庫(コクコ)左部の左菩敦(サホトン)王・奪洛(ダツラク)は蘇鳴を信じ過ぎたと後悔していた。 蘇鳴が潜ませた間者も一掃され、損失は大きい。 しかし精鋭を託さなかったことは不幸中の幸いだった。 「安心しろ、手は打ってある…数日後、天啓(テンケイ)に潜ませた間者に指示を送る 良く見ていろ、方鑑明と旭帝がどんな最期を遂げるのかをな…」 方卓英は静養中の師匠を訪ね、綾錦(リョウキン)司を害したのは崔太監だったと報告した。 しかし方鑑明はやけに簡単に罪を認めたことを怪しみ、首謀を守るための捨て駒かもしれないという。 「黄泉関(コウセンカン)の間者との関連を示す手がかりは?」 「今のところは何も…」 「探せ」 卓英が拝命して下がると、入れ違いで海市が薬を持って来た。 海市は今回の件でひとつ解せないことがあると言った。 皇帝が宗室を探せと命じたのは悪意ある者に罠を仕掛けるためだろう。 「蘇鳴が鵠庫に逃亡したあとも手下や間者は天啓に潜んでいた… だから陛下と師父で餌をまいたのですね? 蘇鳴は顧陳(コチン)氏に師父を訴えさせ、一夜のうちに天啓中に噂を広めさせた 師父から兵権を奪おうとして…だから師父は蘇鳴の策を逆手に取り、わざと職を辞した 兵権を奪われても宮中の警備は厳重で、蘇鳴も容易に手は出せない そこで蘇鳴は婚儀を利用して陛下の暗殺を企んだのですね しかしことを急ぐあまり迂闊にも手下を全員、動かしてしまった 師父は蘇鳴の焦りを利用して順調に事を進めた…でもなぜ帝姫が偽物だと分かったんです?」 実は帝姫の乳母は鑑明が送り込んだ間者だった。 劉(リュウ)嬷嬷(モーモー)が手に入れた薬の煎じかすを調べたところ、偽物は牡丹で喘息を起こすことが分かったという。 その事実を暴かれる前にと焦り、偽物は婚姻を願い出たのだ。 「人間は焦ると馬脚を表す」 「師父って本当にすごい!」 海市の言葉に悪い気はしない鑑明、すると海市は少し休むよう促した。 その夜、すでに休んでいた緹蘭は激しい雷鳴を聞いて飛び起きた。 その時、ちょうど緹蘭の様子を見に来た皇帝が現れる。 褚仲旭は緹蘭が眠れるようそばにいると告げ、添い寝して手をつないだ。 「陛下…雷がなるといつもこうして紫簪(シサン)姐姐のそばに?」 「いいや、紫簪には怖いものなどないように見えた」 すると緹蘭は紫簪が最も恐れていたのは皇帝が苦しむことだったはずだという。 「大切な人が傷つき悲しむ姿は見たくない…陛下の幸せだけを願っていたはずです」 確かに生前、紫簪は自分の願いは褚仲旭が幸せで永遠に楽しく暮らすことだと話してくれた。 褚仲旭は緹蘭の言葉で紫簪の願いを思い出し、ついに過去の悲しみと決別しようと決めた。 そこで穆徳慶(ボクトクケイ)に紫簪の肖像画や思い出の品を全て片付けるよう命じる。 「今後は朕の心の中に紫簪をしまっておく…」 海市が清海公の薬を煎じていると周幼度がやって来た。 清海公に雪参(セツサン)を届けに来たという。 すると周幼度は薬材を海市に渡し、清海公の書斎に向かった。 周幼度は清海公に堂々と海市が好きだと宣言した。 しかし海市の心には別の人がいるため伝えることができないという。 「私や他の人間が割り込む隙がない」 すると周幼度は清海公も海市を愛しているなら、なぜ応えてやらないのか聞いた。 方鑑明は周幼度の挑発的な態度にいささか憮然としたが、正直に長く生きられない男では幸せを与えられないという。 「寿命が短ければ海市を不幸にすると思うのですか? 海市は愛する人といられるなら、きっとそれが1日でも幸せなはずです」 海市には幸せでいて欲しい… 例えわずかでも愛する人との美しい思い出を作れたら、長い人生で悔いを残さずに済むはずです」 周幼度の思いがけない指摘は方鑑明の胸に突き刺さった。 方卓英は久しぶりに綾錦司(リョウキンシ)へ鞠柘榴(キクシャリュウ)を訪ねた。 柘榴はちょうど中庭でうさぎの小白(ショウハク)と小乖(ショウカイ)に餌をあげている。 それにしても少府監の間者が偽の帝姫と繋がっていたとは驚きだった。 柘榴はふと叔母のおかしな密書のことを思い出し、偽の帝姫と崔太監が鵠庫と結託していた証しとなる刺繍された布を見たいと頼む。 しかし卓英は柘榴を巻き込まないよう、自分に任せろと言った。 つづく (´-ω-。` )ビィシャ…今回はウルっと来たわ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.16 14:12:08
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