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风起陇西(ふうきろうせい) 第十四計「無中に有を生ず」 青萍(セイヒョウ)計画当日、燭龍(ショクリュウ)・高堂秉(コウドウヘイ)は陰輯(インシュウ)に譲ってもらった定軍(テイグン)山の巡視へ出発した。 一方、荀詡(ジュンク)も腹心の裴緒(ハイショ)に当直の代わりを頼み、偽造した通行証を持って南庭(ナンテイ)を発つ。 やがて日も暮れる頃、定軍山の関所に到着、荀詡は譙峻(ショウシュン)校尉へ急報を伝えに来たと嘘をついて総成部へ急いだ。 荀詡は途中で馬を草むらに隠し、巡回の兵を避けてついに総成部の正門に到着した。 そこで門衛に見つからぬよう橋の下を伝って堀を渡り切り、そこから崖伝いに裏門へ回る。 同じ頃、陳恭(チンキョウ)と五仙道の精鋭たちは蜀漢の兵士に扮し、黄預(コウヨ)の指示通り総成部の向かいにある崖を下っていた。 計画では黄預が西側の谷底で倉庫を燃やし、その後、信徒を率いて東側の谷底に撤退、設計図を盗んだ糜冲(ビチュウ)と合流することになっている。 直前には黄預に燭龍から今夜の暗号と倉庫の鍵が届き、陳恭は準備万端だった。 荀詡は崖を上って裏門に到着、鍵をこじ開けた。 その時、西側の倉庫から火の気が上がり、兵士たちが慌ただしくなる。 「倉庫が燃えた!消火に向かえ!」 すると総成部の正門が開き、兵士たちが飛び出して行った。 「行くぞ!」 陳恭は精鋭たちに合図、火事騒ぎのどさくさに紛れて正門から侵入することに成功する。 不意を突かれた守衛たちは次々と倒され、陳恭は難なく軍技司の密室へ到着、設計図を手に入れた。 しかし敵襲に気づいた蜀軍が戻って来てしまう。 関(カン)長老は陳恭を援護し、東の崖へ案内した。 ここから竹鵲(チクジャク)で脱出すれば、ちょうど大祭酒たちと合流できるという。 その時、陳恭がいきなり関長老を刺して逃げた。 関長老は虫の息となったが、急を知らせるためにも最後の力を振り絞って崖から転落してしまう。 その頃、兵糧の基地を視察した高堂秉は馬岱(バタイ)将軍の酒席に招かれていた。 すると急報が届き、総成部が襲撃され、譙峻校尉から援軍の要請が来たという。 「あんな奥地に敵兵が?」 「状況は不明です」 しかし朝廷の掟で兵糧の基地では勅命や兵符がなければ一兵卒さえ動かせなかった。 高堂秉は五仙道の青萍計画だと不安を煽ったが、将軍たちは自分たちを誘き出す作戦かもしれないと警戒する。 そこで高堂秉に白羽の矢が立った。 馬岱は自分の配下の手練れ200人を高堂秉に預け、軍技司を救うよう頼む。 「拝命します」 こうしてすべては燭龍の思惑通りに進んで行った。 陳恭は翟悦(テキエツ)の指示通り荀詡が開けてくれた裏門から脱出、竹鵲で崖から飛び降りた。 一方、荀詡は急いで南鄭へ戻ることにしたが、帰りの関所で暗号を言えず足止めされてしまう。 実は総成部が襲撃され、譙峻校尉は定軍山の周囲20里を封鎖していた。 「ここでお待ちください、譙峻校尉に確認してもらいます」 荀詡は譙峻校尉に偽造した馮膺の通行証を見せた。 通行証には確かに馮膺の官印があったが、念のため譙峻は合言葉を聞いてみる。 荀詡は言葉につまり、馮膺から聞いていないとごまかした。 「あり得ぬ、合言葉は馮曹掾が決めた、発案したのはお前ではないか!」 譙峻校尉は荀詡の嘘に困惑し、馮膺の確認が取れるまで拘束すると決めた。 南鄭の司聞曹に軍技司の使者が駆けつけた。 しかし馮膺が留守のため孫令が対応する。 何でも荀詡が曹掾の命で譙峻校尉に機密を伝えに行ったというのだ。 孫令はすぐ確認したが記録はなく、しかも今夜は荀詡が当直だと分かる。 そこで靖安司に駆けつけると、荀詡の衣を来た裴緒がいた。 「誰か!こいつを捕らえろ!」 孫令は馮膺の代わりに定軍山へ行くことになり、戻ってから裴緒を尋問することにした。 その頃、馮膺は柳瑩(リュウエイ)を連れて李厳(リゲン)の幕府を訪ねていた。 李厳は柳瑩の見事な演奏を聞くと、ふと昔を思い出して涙ぐんでしまう。 あれは建安23年、先帝・劉備(リュウビ)は陽平関で曹操配下の夏侯淵(カコウエン)らと対峙、一方、曹操は長安に赴き、陣頭指揮を執っていた。 その隙をついて馬秦(バシン)や高勝(コウショウ)が謀反を起こし、当時、まだしがない資中(シチュウ)県の県令だった李厳はわずか4千の兵士で対抗したという。 「柳姑娘の演奏を聞いて当時の激戦が目に浮かんだ…馮曹掾、よくぞ逸材を見つけてくれた」 そこで馮膺は柳瑩を幕府に残し、独りで帰ることにした。 夜が明けても糜冲は黄預たちが待つ東の谷底に現れなかった。 しかし崖下で関長老の骸が見つかる。 もし落ち合えなければ糜冲が燭龍に直接、設計図を渡してくれるはず、長老たちはこれ以上、留まれば逃げられないと訴えた。 その時、偵察から戻った信徒が現れ、すでに西郷(セイキョウ)の小道を塞がれ、古澗(コカン)渓には行けないと報告する。 すると黄預はついにあきらめ、重い腰を上げた。 「天水(テンスイ)へ行く」 夜が明けると総成部の凄惨な現場が明らかになった。 昨夜の奇襲は五仙道の精鋭で、倉庫の火事は目くらましだったという。 「狙いは設計図だったようです」 「荀詡め!」 激怒した譙峻は荀詡を尋問するため牢へ向かった。 すると一足先に尋問していた孫令が荀詡は一言も発しないと教える。 極秘任務で留守の馮膺にはまだ確認は取れていないが、明らかに軍技司への命は嘘だった。 「当直でありながら腹心を替え玉にし、我々を欺いたのだ」 譙峻は顔見知りの荀詡の裏切りに深く失望した。 設計図が盗まれたとなれば自分の命がかかっている。 その時、ようやく荀詡が口を開いた。 「譙峻校尉、命にかけて保証しよう、設計図はいずれ戻る…ただ詳しいことはまだ打ち明けられぬ」 しかし痺れを切らした譙峻は荀詡の胸ぐらをつかみ、五仙道を手引きしたのかと迫った。 驚いた孫令は掟通り司聞曹で尋問すると止めたが、譙峻は孫令を追い出して拷問を始めてしまう。 一方、陳恭は無事に着陸、竹鵲を壊して草むらに捨てた。 そして古澗渓へ向かうと、確かに入り口に大きな樟(クスノキ)がある。 燭龍が設計図を取りに来るのは巳の3刻だ。 つづく (  ̄꒳ ̄)おじいちゃん、イチコロな件 それにしても意味不明…見逃したかな?( ̄▽ ̄;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.11.10 22:56:51
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