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风起陇西(ふうきろうせい) 第二十計「魏を囲んで趙を救う」 柳瑩(リュウエイ)は間諜だと認めなかったが、荀詡(ジュンク)がそう思うなら捕まえてくれと言った。 しかし荀詡は結局、柳瑩を逃すと決める。 「この令牌があれば城門を出られる…お願いだ、この地を離れてくれ」 すると柳瑩は思わず荀詡に抱きつき、黙って帰って行った。 そこへ見張りをしていた裴緒(ハイショ)が駆けつける。 「林良(リンリョウ)が近くにいるので追わせます」 「必要ない…」 すると荀詡は陳恭(チンキョウ)にも言うなと釘を刺した。 一方、陳恭も″連環の計″の前に不安の種を除くべく馮膺(フウヨウ)を茶に誘った。 いつかこの日が来ると覚悟していた馮膺、するとやはり陳恭は建安23年の資中(シチュウ)県での敗戦について知りたいという。 「何と答えたらよいか…予想もつかないことが起こった、翟悦(テキエツ)のことがそうだ お前も五仙道に侵入した時、翟悦を失うとは思わず己の使命のみを考えたはずだ」 馮膺は当時、賊軍に資中県を包囲させることが自分たちの戦略だったと明かした。 10年前、先帝・劉備(リュウビ)は陽平閣で川を挟み夏侯淵(カコウエン)と対峙していた。 夏侯淵の守りは堅固でつけ入る隙がなかったが、ちょうどその時、郭淮(カクワイ)が夏侯淵を助けるため″囲魏救趙(イギキュウチョウ)の計″を仕掛ける。 すると楊儀(ヨウギ)が急ぎ先帝の密詔を届けた。 密命は馮膺に資中県の守備状況を密かに曹魏に流させることだったという。 諸葛亮(ショカツリョウ)は曹魏の″囲魏救趙の計″を逆手に取ったのだ。 馬秦(バシン)・高勝(コウショウ)の資中県の乱の後、定軍山の曹魏軍は判断を誤って攻撃に転じ大敗、夏侯淵は戦死する。 「陳黻(チンスウ)の死は決して作戦の本意ではない、私は命に従い動いた、それは嘘ではない」 馮膺はそれまでも命に従い郭淮に情報を売ったことを認め、信じられねば楊儀に直接、聞いて欲しいと訴えた。 確かにこれまで多くの犠牲を払ったが、国の利益と個々の命なら前者を選ぶという。 「それがこの馮膺の信念だ…過去にとらわれないで欲しい、敵対せぬ事を願う」 「ご心配なく、この陳恭も大義を選ぶ人間です…で、高堂秉(コウドウヘイ)の死は?」 「私が手配した、この件はお前とは何の関係もない」 陳恭は荀詡が馮膺を調べていると警告したが、馮膺はなぜか構わないと許した。 「それより楊長史と会え、丞相の将令を得る手はずを整えろ」 ↓(´-ω-`)うむ1 一方、李厳(リゲン)と狐忠(コチュウ)は馬岱(バタイ)を計画に引き込むため紫煙(シエン)閣に呼びつけていた。 しかし実直な馬岱は到底、謀反に賛同できるはずがない。 すると李厳が皇帝からの密詔と馮膺や陳恭の署名がある誓約状を見せた。 「なるほど…諸将の支持がこれだけあれば何の憂いもない」 馬岱は皇帝の勅命を受け、自ら署名押印し杯を交わした。 ↓(´-ω-`)うむ2 間軍司の梁倹(リョウケン)が天水(テンスイ)郡守の役所に駆けつけた。 諸葛亮が大軍を率いて漢中に入り、先鋒の将軍・魏延(ギエン)は秦嶺(シンレイ)山脈に沿って進み武都・陽平の両郡へ、しかしもう1つ謎の部隊が密かに進んでいるという。 その部隊は祁(キ)山の南側から建威(ケンイ)に出るようだ。 郭剛(カクゴウ)はどちらが主力部隊なのか調べるよう命じたが、郭淮は今回の蜀の侵攻が奇怪なことに気づく。 そこでしばし武都と陽平をあきらめ、祁山に戻って上邽(ジョウケイ)と天水の一線を守ると決めた。 東呉と西蜀に侵略され兵を分ける余裕がない。 「諸将に告ぐ!天水の全軍を出動させ、渭水(イスイ)に布陣し蜀軍を迎え撃つ!」 陳恭は荀詡を訪ねた。 相変わらず歩行訓練に余念がない荀詡、今では杖がなくてもわずかに歩けるようになっている。 荀詡は柳瑩に会ったと話し、布石を打ったので出方を待つと言った。 すると裴緒が馮膺に動きはなかったものの、実は曹掾(ソウエン)の部屋の門に誰かが墨で円を書いたと報告する。 「小さい円なので馮曹掾が拭き取らねば気づきませんでした」 荀詡は密偵の連絡方法だと気づき、これでも問題ないかと陳恭に詰め寄る。 そこで陳恭は確かに今日、妙だと感じたことがあったと教えた。 「馮膺が青石谷(セイセキコク)の赤岩(セキガン)峰へ行く手配を命じていた…何でも道人に会って占うそうだ 明日の夜明けに出ても到着は巳の刻(10時頃)だろうな」 「この多忙な時に占いだと?!ばかばかしい!」 荀詡は異変があれば打って出たいと奮起したが、司聞司の司尉(シイ)ごときに何ができようかと嘆いた。 しかし思いがけず陳恭が令牌を差し出す。 「楊長史に会って来た…丞相の将令を受けた」 「よかった!」 一方、漢中に戻った黄預(コウヨ)は五仙道の生き残りと合流していた。 諸葛亮が大軍を率いて北伐に向かうが、これが五仙道復興の絶好の機会になるという。 そこで郭淮の指示通り、散(サン)関の北に潜入して蜀軍の補給路を断ち、西郷場外の関所を攻撃するよう命じた。 成都を発った諸葛亮の大軍は明日、申の刻(16時)に南鄭に到着する予定だった。 孫令(ソンレイ)は青石谷から急いで戻っても間に合わないと言ったが、馮膺は心配無用だという。 こうして馮膺は孫令と従者を連れて青雲殿に到着、その様子を荀詡たちが見張っていた。 ↓(´-ω-`)うむ3 青雲道人は亀卜(キボク)の結果に顔をしかめたが、率直に伝えた。 「3日以内に投獄されるという結果が…」 しかし馮膺はどこか達観しているように見える。 「生死が定めでも難を逃れる手はないものか?」 「″君子は生死を超え天命を成す″という」 「つまりいかなる手も無益なのか…」 孫令は帰りの道すがら、不吉な占いに憤慨した。 「戻ったら侍衛を差し向け、青雲殿を叩き壊してやる!」 「馬鹿を言うな」 馮膺は叱ったが、その時、山中に潜んでいた兵士が現れ、包囲されてしまう。 すると荀詡が姿を現した。 「馮曹掾は曹魏と通じ、機密を漏洩した…捕えよ」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)踊らされている荀詡、うすうす感じてはいるけれどいつ気づくのかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話] カテゴリの最新記事
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