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2023.02.12
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皎若云间月 Bright as the moon
第38話「ほどける糸」

三皇子・夜天逸(ヤテンイツ)は金鑾(キンラン)殿に到着、玉座はもう目の前だった。
一方、藍漪(ランイ)は皇帝・天賜(テンシ)が偏殿にいると知り、配下を引き連れ駆けつける。
すると偏殿の前に雲浅月(ウンセンゲツ)が立っていた。
「これは皇后…太后と皇帝の居場所を言えば見逃してやろう」
「藍大人(ダーレン)…遅かったのね」
その時、御林軍が駆けつけ反乱軍を包囲、驚いた蒼亭(ソウテイ)は藍漪を逃して犠牲になった。

三皇子はついに玉座に腰を下ろした。
御前で拝跪する容景、その時、突然、門が閉まり、梁に潜んでいた弦歌(ゲンカ)たちが鉄鎖を持って飛び降りて来る。
三皇子が気がついた時には鉄鎖でがんじがらめ、すると殿前に控えていた容楓(ヨウフウ)が呼応し、墨閣(ボッカク)の兵たちが一斉に反乱軍に襲いかかった。



三皇子はようやく容景に謀られたと気づいた。
(꒪ꇴ꒪〣)<なぜなのだ?どこをどう取っても私と対立する理由などない!
「情、理屈、利害を考えればそうです…だが″義″をお忘れでは?」
四皇子には仁義があり、天下の民を愛していた。
しかし三皇子は権力に目が眩み、殺戮を重ねて民を蔑ろにしてきたという。
「そんな皇帝では淇(キ)国の惨劇が繰り返されてしまう…あなたは心の魔に負けたのです」
すると激高した三皇子はわずかに動く手で暗器を放ち、鉄鎖から抜け出した。

三皇子は剣を抜いて容景に戦いを挑んだ。
しかし容景に蹴り飛ばされ、剣を突きつけられてしまう。
そこへ冷邵卓(レイショウタク)が現れた。
「やめろ!」
三皇子は助けが来たと喜んだが、冷邵卓は容景の側に立った。
(꒪ꇴ꒪〣)<ブルータス、お前もか…
実は浅月が持ち帰った進軍経路図は本物だった。
密かに容景と通じていた冷邵卓は自分の馬車で浅月を脱出させ、浅月が落とした偽の進軍図を拾って本物とすり替えたという。
浅月が崖から飛び降りるとは想定外だったが、2人の計画は成功した。

三皇子は冷邵卓の裏切りに唖然となった。
しかし冷邵卓は容景とは無関係で個人的な恨みがあるという。
( ゚ロ゚) なぜだ?
( ゚д゚) 全部、私のせいか?!
(ノ>∀<)ノ みんなで私を追い詰めるからだぁぁぁ!
冷邵卓は身勝手な三皇子に呆れ、父皇に認めてもらえなかった理由を暴露した。
「それはお前が不義の子であり、皇室の恥だからだ!…お前の父親は皇帝ではない、私の父だ」
冷邵卓と夜天逸は異母兄弟だった。

冷王は蕭(ショウ)妃と自分の息子を帝位に就かせようと企み、冷邵卓にも忠誠を誓わせた。
そのため冷邵卓は政敵となった秦(シン)家の娘・玉凝(ギョクギョウ)に想いを伝えることができず、2人の婚約が決まった時も口をつぐむしかなかったという。
しかし三皇子は自分が原因で辱めを受けた玉凝を気にかけるどころか、玉凝にとってたった1人の肉親である宰相まで殺していた。
冷邵卓は兄への恨みを募らせ、父たちの密通を知っていた皇帝が三皇子に皇位を渡すはずないと言い放つ。
( ๑≧ꇴ≦)<信じない!混じりっ気のないペットフードしか信じない!
三皇子はどうしても現実を受け入れられなかった。
すると冷邵卓はどんなに足掻いてもすでに勝敗が決したと諌め、今すぐ降伏すれば容景も命だけは助けてくれるという。
(´-ω-`)<オワタ…全て終わた…ここまでだ……んなわけあるか!(๑•̀ㅂ•́)و✧
諦めの悪い三皇子は隠し持っていた短剣をつかんで容景に向かって行った。
容景は三皇子に気づいて振り向きざまに剣を放ったが、その時、殿内に飛び込んで来た藍漪が身を挺して三皇子をかばう。
「藍漪!」

三皇子は自分の身代わりとなって刺された藍漪を抱き留めた。
「殿下に初めてお目にかかった時からお慕いしておりました…」
藍漪は三皇子の心に自分がいないと知りながら仕えてきたが、後悔していないという。
「藍家の花は私の心に永遠に咲き続ける…」
「殿下が私を抱きしめ労わってくださるなんて…それだけで…幸せです…」
すると藍漪は愛する三皇子の胸の中で絶命してしまう。
「藍漪!死ぬな…」
その時、反乱軍を鎮圧した浅月が御林軍を従え入ってきた。

思えば浅月が自分から離れた時から全ては始まった。
夜天逸はいつか浅月と2人でこの国を支えようと考えながら不遇に耐えて来たが、浅月が去ってようやく自分は愛されていないと気づいたという。
いくら愛しても浅月はまるで手に入らない水中花だった。
「人生最大の苦しみは戦場でも酷寒の国境でもない
 人に蔑まれることでも孤立無縁になることでもない
 もっと簡単な″不如意″ということだ
 ″国に智者はおらず知り合いさえいないのに故郷を懐かしめようか″
 分かっていれば7年前に戦場で命を絶っていたものを…
 何のために苦労して帝都へ戻り、はかない栄華のため心血を注いだのか…ふっ、まあ良い
 所詮は夢だ、夢ならこのままずっと眠り続ければ良い」
その時、金鑾殿に飛び込んで来た秦玉凝がいきなり三皇子の胸を刺した。
「そなたの想いに応えてやれなかった…命で命を贖えば貸し借りなしだな…」
夜天逸は一筋の涙をこぼし、刃をつかんで自ら深く差し込んでしまう。
「謝謝…これで死ねる」
すると夜天逸は後ろへばったり倒れた。
しかし復讐を果たした玉凝も首を斬り、自害してしまう。

冷邵卓は秦玉凝を抱きかかえて出て行った。
…私はどうすればいい?君はどれほど愛しても手の届かない人だった
…もう少しだけここにいてくれ
…君のためなら何でもできたのに、最後まで打ち明けられなかった
その頃、ある寺で大師が経を読んでいた。
隣にはまだ小さな子供が座っている。
するとそこへ上官茗月(ジョウカンメイゲツ)がやって来た。

三皇子の決起は失敗に終わり、帝都城は平定した。
金鑾殿に残った浅月は容景と対峙し、あと1回、恨みが残っていると迫る。
「あなたには最後の剣を受けてもらう…今日という日にこの場所でね」
浅月は容景の首に剣を突きつけ、最期に言い残すことはないか聞いた。
「ある…話したいことはたくさんある、だが話すべき時を逸してしまった…もう遅いんだ」
すると容景は剣先をつかんで自分の胸に刺してしまう。
見かねた玉洛瑤(ギョクラクヨウ)はあの時、雲王がすでに毒殺されていたと明かした。
実は先帝を殺したのも容景ではなく、死期を悟った夜軽染の自害だったという。



あの時、夜軽染は容景の剣をつかんで自分の胸を刺していた。
『殺されずとも、どうせもう生きられない…弱美人、この国とあの子を頼む…
 あの子の記憶喪失は私が施した呪術のせいなのだ
 術が効力を失うと反噬で五臓六腑が腐る…浅月はすでに記憶を取り戻してしまったのだろう
 だから私は死ぬ…私の最後の願いだ…あの子を頼んだぞ』

真実を知った浅月は剣を捨てた。
「つまり私が軽染を殺したのね、悪いのは私だった、ごめんなさい、軽染…」
浅月は涙に暮れた。
すると容景は自分が浅月を傷つけた事実は変わらず、気が済むなら殺してくれという。
「もう行って…凌(リョウ)児は死んだ…私たちの間にはもう何もない…」
しかしその時、上官茗月が大師と子供を連れてやって来た。
「凌児?…凌児なのね!」
浅月は死んだと思っていた我が子を抱きしめ、号泣した。

上官茗月は容景の代わりに行方不明になった凌を探し続けていた。
天のご加護か三皇子たちより先に凌を発見し、反乱が収まるまで密かに寺でかくまってもらっていたという。
「おかげで思いがけない出会いがあった…」
実はその大師こそ浅月と梁睿(リョウエイ)の父だった。

工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工

浅月は父が死んだとばかり思っていた。
すると大師はこれまでの経緯を静かに語り始める。
実は全てが慕容家の悲劇とつながっていた…

皇帝は冷王の告発に驚きを隠せず、雲王に極秘調査を任せた
しかし冷王は雲王がなぜしつこく再調査を要求したのか腑に落ちない
すると秦宰相は慕容将軍が貴族と交流があり、栄王とも懇意だと教えた
『頭の切れる慕容将軍が簡単に尻尾をつかませると思うか?
 雲王は確かに将軍をかばっていた、もし密かに2人が結託していたら決着には至らぬ』
『つまり宰相も慕容将軍の謀反を疑っていると?』
実は宰相は皇帝の迷いを払拭できる証拠を持っていた
それは慕容将軍が淇(キ)国の友人に宛てた文で、″淇国太子は名を変えて健やかだ″と書いてある
『私は心配なのだ、かの太子が成長したら将来、淇国滅亡の償いをあなたに求めるかもしれぬ』
『…ふん、お手並み拝見といこう、誰が生き延びるのか』

つづく


全滅?!かと思ったらパパ登場!







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最終更新日  2023.02.18 10:45:16
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