風起花抄~宮廷に咲く琉璃色の恋~#24 あらすじ
风起霓裳 Weaving a Tale of Love第24話「守りたい人」皇帝・李世民(リセイミン)は裏庭で自ら製糸の作業に汗を流している皇太子・李治(リチ)の姿を見て感激した。しかし妃たちに絹織の技を教えたのが皇太子の覚えがめでたい豆子(トウシ)だと知る。楊(ヨウ)妃と曹(ソウ)王・李明(リメイ)は皇帝の判断を待ったが、結局、皇帝は豆子に褒賞を賜った。機嫌を良くした皇帝は嘉徳(カトク)之殿で皇太子たちと談笑した。すると才人・武媚娘(ブビジョウ)が急に気分が悪くなり、殿内で妙な香りがするという。皇帝も確かに身体がほてるようだと訴え、どんな香を焚いているのか聞いた。焦った元朗(ゲンロウ)は香炉を慌てて片付けることにしたが、裴行倹(ハイコウケン)が止める。「陛下、これは催淫効果のある迷情香(メイジョウコウ)です」楊妃はこの機を利用して皇太子の失脚を企んだ。皇太子が男色という噂がある上、殿内で迷情香を使っているとなれば、皇帝と大唐の威信に関わるという。しかし武媚娘は何者かの企みではないかと牽制した。裴行倹も元朗から首謀者を聞き出すよう上奏したが、その時、莫坤(バクコン)が駆けつける。「元朗の部屋から迷情香の袋を発見しました」皇帝は逆上し、元朗に黒幕を明かすよう迫った。すると元朗は黒幕などいないと否定し、皇太子が男色だと聞いて寵愛を受けようと企んだと嘘をつく。皇帝は即刻、棒打ちでの死罪を申し渡したが、誰が黒幕なのか察しはついていた。皇帝は東宮を出ると、やがて我慢の限界にきた。楊妃と曹王は皇太子の男色の証拠を見せるため、蓮を口実に自分を東宮へ誘き出したのだろう。「ひざまずけ!」宮道で皇帝の怒号が響き渡った。楊妃は自分たち母子は無関係だと訴えたが、皇帝は東宮で叱責しなかったのがせめてもの情けだと言って足早に帰ってしまう。すると側仕えの高全(コウゼン)だけが引き返してきた。「陛下のお言葉です、″楊妃は体面を保つため寝宮に戻ってからひざまずけ″と… ″曹王の務めは将来、太子を補佐すること、勘違いして自分を傷つけるな″とのことです」実は裴行倹はあらぬ噂が立たぬよう武才人に皇太子と琉璃(ルリ)が2人きりにならないよう頼んでいた。しかし今日は武才人が不在の上、元朗が頑として謁見を許さず、不審に思ったという。裴行倹は密かに屋根に登って殿内をのぞくと、皇太子と琉璃の姿を見つけた。そこで窓から侵入して皇太子を点穴で眠らせ、迷情香が原因だと分かったという。裴行倹は直ちに王伏勝(オウフクショウ)に気つけの氷を持って嘉徳之殿に行くよう指示、殿内で合流した。『元朗を遠ざけてください、もうすぐ陛下が来るはず、敵の裏をかきます』裴行倹の読み通り元朗は曹王の間者だった。元朗から知らせを受けた曹王は皇帝に皇太子の男色の現場を見せようと企んだのだろう。琉璃は男女の別がいかに大切かを身をもって体験し、改めて恐怖を感じていた。すると裴行倹は独り泣いている琉璃を見つけ、今まで以上に守ると誓う。一方、武媚娘は王伏勝から今回の経緯を聞きながら、改めて確認した。「失礼だけど、太子の安全のために聞くわ…太子と豆子の噂は本当なの?」「まさか!2人は純粋に君臣の仲です!」しかし李治は寝殿で悶々としていた。正気を失っていたとは言え、豆子の怯えた顔を思い出すとやるせなくなってしまう。その夜、裴行倹は豆子に薬湯を差し入れたが留守だった。仕方なく尚服局の内侍・雲海(ウンカイ)に預けたが、そこへ孫徳成(ソントクセイ)が豆子に桂花糕(ケイカコウ)の差し入れにやって来る。すると雲海が不思議そうな顔をした。豆子なら孫内侍の書き置きを見て不禄(フロク)院に出かけたはずだという。「まずい!」裴行倹は慌てて飛び出した。琉璃は刺客に捕まり、門に吊されていた。裴行倹は短剣を放って縄を切ると、背後にいた刺客も腹を切られてしまう。刺客は慌てて逃げ出したが、その際、腰牌を落としていた。琉璃は意識がなく、すでに呼吸も止まっていた。無我夢中で口から空気を送る裴行倹、しかしどんなに呼びかけても琉璃は目を開けない。もはや愛する人を失ったかと絶望したが、その時、琉璃がついに息を吹き返した。「…なぜ泣いているの?あなたが守ってくれるから私は死なないわ」裴行倹は安堵したが、刺客の腰牌を見つけて怒りが込み上げた。「曹王府か…暗殺の指令を元から断つ必要がある」実は曹王は皇太子と武才人に手を出すのが難しいと断念、豆子が元凶だと逆恨みして抹殺しようとしていた。裴行倹は琉璃を送り届け、直ちに刺客の捜査にあたった。するとちょうど刺客を見つけた孫徳成が助けを呼ぶ声が聞こえる。裴行倹は短剣を放って孫徳成を助けたが、そのまま刺客を見逃した。「ここは私に任せて豆子のところへ」刺客は錦楽(キンガク)宮に消えた。衛兵は楊妃の寝宮まで踏み込むことができなかったが、翌朝、捜査の協力を申し出る。実は刺客が曹王府の腰牌を持っており、今や宮中では盂蘭盆会の件で豆子を恨む楊妃と曹王の仕業だと噂が広まっていた。楊妃と李明は仕方なく捜査を認めたが、しばらく豆子に手が出せなくなってしまう。李治は豆子が襲われたと聞いて尚服局に駆けつけた。しかし合わせる顔がなく、結局、東宮へ引き返す。「豆子の命が狙われたのは私のせいだ…今後は二度と他人を巻き込まないよう行動を慎もう」卓錦娘(タクキンジョウ)はようやく動けるようになった。そこで鄧七娘(トウシチジョウ)に頼み、豆子が長孫(チョウソン)皇后に作ったという牡丹の衣を見るため立成(リッセイ)殿を訪ねる。「これは…双面繍(ソウメンシュウ)?!信じられないわ!」双面繍は安(アン)氏の死と共に途絶えた技法で、卓錦娘もできない刺繍だった。豆子は遅くまで工房に残り、独りで刺繍を続けていた。そこへ鄧七娘が現れ、豆子の双面繍に気づいて目を見張る。「七娘姉、ちょうど良かった!お手伝いできればと韋(イ)夫人の披帛(ヒハク)を作っていました」「双面繍でしょう?こんな高度な技を披露して、私に盗まれても平気なの?」「学びたいなら教えますよ?」すると豆子は七娘を座らせ、コツを教えた。実は卓大家は基本が大事だと口実をつけて七娘に高度な技術を決して教えてくれなかったという。「あなたは知り合ってまだ数ヶ月の私に絶技を教えてくれるのね…不利になると思わないの?」「あなたは恩人です、私に不利になるはずありません、喜んでくれるだけで嬉しいです」そこへ雲海が豆子を呼びに来た。七娘は卓大家が長孫皇后の衣を見たため、恐らく双面繍について質問すると警告する。「安氏と共に途絶えた技だと言っていたわ」琉璃は母がこの技を誰にも伝授していなかったとは知らず、我ながらうかつだったと後悔した。「安氏と関係があるの?」「まさか!一介の医官が天下第一針と関係あるはずありません」つづく( ̄▽ ̄;)まだまだ男装も続く…?