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カテゴリ:ミカン
昨日は県の果樹研究同志会の定例総代会があったので高松へ出かけました。
議事が終了した後、5月29日から始まる「ポジティブ・リスト」の説明がありました。この制度は輸入農産物と国産農産物の二重価格を定着させるためには絶対に必要な制度なのだろうとtetywestは考えています。しかしそのためには、間違っても国産農産物が「ポジティブ・リスト」に違反してはならないのです。農薬の使用基準を守って栽培している限り大丈夫なのですが、一番問題視されているのは作目の違う隣接圃地からのドリフト(飛散)です。隣の作物には使用基準以内でも、こちらの作物には基準以上の濃度になる可能性はじゅうぶんにありうるのです。耕地が狭く、多くの種類の農作物を栽培している香川県などは特に注意しなければなりません。 このあと、県内の果樹農家3名に自分の経営について話をしてもらおうという時間になっていて、実はtetywestにも白羽の矢が立っていたのです。 A課長:「NHKに出演したんで、『袋かけみかん』の話をして欲しい言いよんやけど」 tetywest:「持ち時間は?」 A課長:「10分」 tetywest:「20年の歴史を10分では、なんぼ何でも無理やろ」 A課長:「もうちょっと長うてもええで」 tetywest:「いや、最低1時間は要るで。それより『WEB営農指導システム』はどうやろ?一番ホットな話題やし・・・」 A課長:「ほんだら、それで行くな」 というような事前の打ち合わせ(・・・と言えるんやろか)によって・・・ tetywestの順番は2番目でした。一応原稿はA4用紙に2枚書いてあります。 自己紹介 10分で「越冬袋かけミカン」の話は不可能。これは又の機会にということで 三豊営農センターで一番ホットな話題 WEB柑橘営農指導システム 光センサー撰果機のデータと連動している。 撰果報告書は毎回戻ってくるが、それを集計するのは農家にとって大変な作業。 JAも合併したことだし、何とかこれを農家に代わって農協がやれないものか、ということで仁尾の果樹部会はJA合併当初からお願いしていたが、いろいろな障害のためになかなか実現しなかった。 三豊営農センターが立ち上がって、ようやく平成17年度の県の「多彩な園芸産地等育成推進事業」の補助を頂けるようになり、この3月に完成したばかり。今はまだ試験運用中で6月から本格稼動する。おそらく、日本で最初のシステム。 21世紀の営農指導はこうなるだろうというモデルになること請け合い 1.「あなたの園地の通信簿」 2.ニュースの配信・営農指導相談 3.園地ごとの栽培管理指導 過去5年間の園地ごとのデータをインターネットで家に居ながらにして全部わかることが出来る。 一年間終わった時点で、園地、品種ごとに、 販売数量 平均糖度 平均酸度 平均単価 その園地の粗収入 その園地がその品種の部会全体の中で評価点で何位なのか がわかる。しかも、これらのデータが5年間分です。 農家は自分の作ったミカンは結構いいミカンだと思っている。しかし、本当のところはわからない。ところが、このシステムでは、「早生ミカン350園地の中であなたのミカンは283番です」とシビアに順位が出る。 自分の位置がわかることによって、具体的な努力目標ができる。5年間のデータが残っているので、その成果も確認できる。 また、その園地の粗収入がわかるので、「この園は儲かっているのかいないのか」の判断ができる。儲かっていない園はどういう対策をとるかを考えなくてはならないだろう。 そうすると、こんどはインターネットで「営農相談」ができるようになっている。また、今までに他の人からどんな質問があって、どんな答えが返ってきたのかを検索したり調べたりできる。 質問がなくても、JAや部会からのニュースはいつもトップページでチェックすることができる。たとえば、「ポジティブリストが始まったので、枇杷の近くではオルトラン系の農薬散布に注意してください」とか マル曽ブランドの看板である袋かけミカンでは7月と8月に品質調査を行い、その結果をふまえて増糖予想・減酸予想式から割り出して今後どのような栽培管理をしなくてはならないかを知らせてくれる。 まあ、ざっとこのようなことが出来るシステムです。 これは、農家サイドからみた「WEB柑橘営農指導システム」 実は、もう1つの顔がある。「裏WEB柑橘営農指導システム」 営農指導員はこれからどのように「産地指導」をやっていくのか。また生産部会は産地をどのような方向に改革していくのかが大きな問題 そのためには、まず確かなデータを持つことが必要。その中でも個々の農家の園地データを把握することは必須だったが、これまでは長年の経験とカンに頼るところが多かった。このシステムはそれを数値として示しているという点で画期的。 もう1つ、指導員や生産部会側が陥りやすい盲点は、「産地をどのように改革するか」は結局個々の農家の経営判断が基本になっていなければ成功しないということ。例えば「ふくろかけ完熟ミカン」がいかに日本一の価格で売れようが、それを1戸の農家が10万袋も栽培することは不可能。個々の農家の実情にあった品種構成や栽培指導が必須となる。そのためにも、この「裏WEB柑橘営農指導システム」は大きな武器となる。 面白いことに「WEB柑橘営農指導システム」は県の「多彩な園芸産地等育成推進事業」ではソフト事業となっている。しかし、使う側にしてみれば、ようやくこれだけのインフラが整備されたわけで、現時点ではハードの部分が完成したに過ぎない。このまま何も運用しなければイランや北朝鮮の核兵器と同じで宝の持ち腐れ。運用次第ではものすごい武器になる。 かつて、オランダの花産業が世界一になったのは「情報」をコントロールできたからだと言われたが、「WEB柑橘営農指導システム」によって三豊営農センターのミカンが日本を制覇することも夢ではないのではないか ということで、私の持ち時間が終了しました。これで終わりにします。 ところが、実際に話を始めるとこの通りは行きません。どこかで横道にそれ、軌道修正するうちに時間が押してくる。おまけに原稿を12ポイントで印刷してしまったので読みづらい。 「え~い、この辺で強引に終わってしまえ!」 と話を締め括ったのが13分。あれ、イランや北朝鮮の話もすっ飛んでしまったぞ・・・・まあいいか・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年05月18日 01時06分28秒
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