テーマ:私のPC生活(7397)
カテゴリ:その他いろいろ
コイルの半径a、電流Iとすると、コイル中心軸(z軸)上の磁場は簡単な式で計算できます。
コイルの円形対称性を利用してビオ・サバールの式を積分すると得られるのはご存知の通り。 では、軸上に無い(オフアクシスの)任意の点の磁場は? 残念なことに解析解はないそうです。 ベクトルポテンシャルは求まるらしいですが、なんだかんだ大変なので、結局は数値計算してしまうほうが早いらしいです。 http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Gelmg06/Gem_chap09.pdf 過去には数表も発表されています(電気学会雑誌9(1965)114)が、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/85/924/85_924_1550/_pdf/-char/ja コンピューターパワーの発達した今では、すなおに都度計算するほうがラクで早くて高精度です。 要するにアレでしょ? ヘルムホルツコイルを作って磁場を発生させたとき、径方向にどれぐらいの成分が出るのか、つまりどれぐらいの領域なら平行磁場と言っていいのか、を簡単に知りたいんでしょ? だから軸上じゃないオフアクシスの磁場を知りたいんでしょ? ええ、私はそうです。 で、簡単に計算できるコードを作りました。 バカなんで、ベクトルポテンシャルを展開して近似式を求めようとかそんな気はさらさらありません。計算機パワー万歳。 要するにビオ・サバールの微小要素を、コイルのカタチに回して和を求めればそれでいい。 ビオ・サバールの式というと、教科書にはヘビみたいな図と、下のような式が出てくるのが定番ですが 私はこれ、どうもわかりにくいと思うんですよね。 どこがθなのか、dHはどっち向いているんだか、コイルに落とし込むとしたら何を計算したらいいんだか、なんだかよくわからない。 実は一見ややこしそうなベクトル外積表示の式の方がわかりやすいんじゃないかと思います。 そもそもヘビみたいな経路はなんの意味もありません。微小要素を中心に書き直してみるとこんな感じ。 「微小電流要素を流れる電流(ベクトルdI)は、ベクトルr離れたところにある点Pに、dIとrの作る面に垂直な磁場dHを作る」 というのがビオサバールの法則です。こっちのほうが直感的だと思うけど、いかがだろう。 つまり磁場ベクトルdHの方向は、dIとrの外積になります。 どうでもいいけど、外積っていう言葉、大嫌いなんですよ。 外積っていうよくわからない用語でベクトル解析がイヤになった人がたくさんいるんじゃないか? 内積は英語でinner product、これは素直でいいと思うんです。二つのベクトルの間の面積なんだなって分かる。 一方、外積は二つのベクトルの両方に垂直なベクトルを表し、電磁場のように相互に直角に作用する物理量(つまりx,y軸に対してz軸)を表現するのに便利なんですが、外積は英語でcross productっていうんですね。 これがどうやったら「外」積っていう訳になるのか?素直に日本語にすると「直交積(ベクトル)」じゃないのか?誰?「外積」なんて意味不明な和訳考えた奴は? 「内積」と表記が似てるし、方向は内積面から外向くからcross product=「外積」だな、こんなスマートな和訳考えた俺カッケー とか思っていたんだったら、タイムマシンで時空をさかのぼって剣山のように釘の刺さったバットで100回ほど思いっきりぶん殴ってやりたい。 さて、外積って面倒くさそうな気がしますが、座標系に落とすと大したことないです。 微小電流要素Cの座標を(Cx, Cy, Cz) 磁場を計算したい点の座標を(Px, Py, Pz) すると微小電流要素から求めたい点に伸びるベクトルrの成分は (Px-Cx, Py-Cy, Pz-Cz)ですね。 ビオサバールのベクトル式の定数部分をAと書くと、 微小要素を流れる電流ベクトルdIの成分を(Ix, Iy, Iz)とすると、誘起される磁場のベクトルdH=(Hx, Hy, Hz)は、dIとrの外積なので、単純に ということで、よくわからないθとかdHの向きとかに悩まないでも、xyzのそれぞれの磁場成分が計算ができます。 いじょ。 なっとくする電磁気学には近い表記がされていますが、やっぱりちょっと昔の本だけあって、図がシンプル。 なっとくする電磁気学【電子書籍】[ 後藤尚久 ] 今の教科書はカラフルで見やすいw・・・ ちなみに、求めたい点PがdIの真横にあれば(dIを法線とする平面上にあれば)、θ=90度です。 dHは面内になる。 コイルの場合は、微小電流要素が円形に連なっているのでこんな感じ。 Pの座標を固定して、微小電流要素Cの座標と電流ベクトルdIを円環電流のカタチに沿ってにぐるっと360度回してやればコイルの磁場になります。 磁場を求めたい点Pがコイルの中心軸上のどこかあるとすると dHは、こんな風にコイル軸方向の成分dHrと径方向の成分dHrに分かれます。 ヘビのようなあの図よりも、断然わかりやすいと思うけど・・・ じゃあコイル軸上と全く無関係な点なら? 点PがdIの作る平面上にある場合はともかく、そうでない場合はθ<>90度になってしまい、いちいちθを計算しなおさないといけません。 それを連続的に円環電流の形状に合わせて表現する解析式を作ることはムリということなのです。 なので座標で計算ができる外積形式で、数値的に積分する方が早いってことです。 前置きが長くなりましたが、コード作りました。 明日に続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.17 22:12:22
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