テーマ:障害児と生きる日常(4430)
カテゴリ:ホームヘルプ的日常にある試行錯誤
ここでは何度か登場した方のホームヘルプ(→今まで)。
4月より施設に通い始めた彼 行動援護に該当する方なので、予防的対応や見守り、制御的対応などの支援が必要。 (支援内容については→「行動援護」について) 自宅に伺うと、施設から帰宅したであろう彼が、自宅周辺の確認行動を取っている。 大概は自室内、または自宅内で待機しているが、今日は違う。 (彼にとって確認作業はルーティーンの類と思われる。) 今日はその確認行動が施設でエスカレートして、 施設にスタッフが駆けつけているという話をお母様から聞き、 今日は散歩を止めて、自室での見守りにしようと判断。 しかし、自室または自宅に戻っては、また玄関の外に行き確認作業。 室内に入るたびに鍵をかけるので、 外に行く時は自分で鍵を開けて出て行かないように、本人以外が鍵を開ける様にしている。 それでも、その頻度があまりに多く、外に行き来する度に興奮の状態がエスカレート。 構造化してある自宅内の、入ってはいけない場所にも、 興奮状態で入っていく。 本人の興奮状態のエスカレート具合による屋外での危機回避の為と、 夜以降に興奮が収まり、自室で過ごせる状態を作る為を目的に、 玄関の出入りをやむなく制止した。 当の本人はそれが意に反するので、自傷行為、パニックに走る。 自室内で怪我にならないように見守りを行いながら、 パニック、自傷行為が収まるのを待つ。 その空間には、絶対に外に行かせない空気と、 興奮が収まるのを温かく見守る空気と両方が入り交ざる。 彼の刺激になるものを遮断し、これ以上を許さない壁になる。 パニックといっても、暫く見守っていれば収まってくる。 彼のパニックは初めて見るが、大体予測ができた。 落ち着いた頃合を見て、彼にスケジュールを提示して、 その流れに沿って過ごして頂く。 結局、その後は私がフェードアウトしても、普段どおりの夕刻を過ごす。 玄関で制止してもパニックに発展することはなかった。 なぜにこんなに興奮、混乱してしまっているのか。 可能性の一つに施設での過ごし方に引き金があると考えられる。 施設で制止場面などが多くなったり、確認行動が多く、 その状態を引きずったまま、自宅に戻ることが一つ。 そして、その引きずったまま自宅に戻ることで、 それのハケグチを自宅周辺の確認行動に求める。 しかし、その確認行動自体が、彼のストレスになり、 要求通りに行かないと、怒りとして表出される。 施設(家庭外)と家庭とは別々ではなく、線として繋がっている。 なので、それぞれの場所でそこで起こったことは昇華させてくるのが理想。 施設でのことが家庭へ、家庭のことが施設へ、ホームヘルプのことが家庭へと、 それぞれに影響しあっている。 かといって、彼の行動を制止することなく、要求をずっと飲み続けていると、 今日の状態では、彼の家庭自体が成り立たない恐れも感じた(*)。 なので、あえてパニック覚悟で「制止」をして、 これ以上の要求は飲めないという姿勢を彼に示した。 これ以上進めないという壁として態度を示す。 そうでもしなければ、彼の飽くなき「こだわり行動」に歯止めが掛からない。 →私が「こだわり」という言葉に抵抗を感じる理由 しかし、ヘルパーがいる間は、屋外への確認行動に移さないというのではいけない。 いつもいつもヘルパーが介入できる状況ではない。 ご家族で彼の生活を安定させる為の知恵を絞らなければならない。 おそらく、現状が彼にとってその「線引き」がとても曖昧になっており、 あの時はOKなのに、この時はダメという環境整理がわかりにくい。 また、自らのルーティーンを守りたい執着に駆られる環境や体調なのかも知れない。 薬などの医学的な見地も考慮しながら、 彼が安定した日常を送れる手立てを見出さないと、 本当に家庭生活が困難なものになる。 すでに、ご家族は疲弊している。 ご本人もご家族も地域での生活を望んでいる。 何とか、この状況を手を携えて乗り越えていきたいものである。 *変化への抵抗と反復的活動 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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