|
テーマ:暮らしを楽しむ(388351)
カテゴリ:公費負担医療制度
保険薬剤師として「調剤報酬」について知識を有しておくのは当然のこととして、「公費負担医療制度」については一般職の方にまかして、なかなか手が回らないところです。そこで、少しづつですが、「公費負担医療制度」について勉強を進めたいと考えています。
公費負担医療制度とは、個々の法律に基づいて、国や地方自治体が特定の疾患や生活困窮者に対し、医療費を公費で負担する制度のことです。 公費負担医療の種類 公費負担医療はその性質から大きく3つに分類することができます。 このような公費負担医療には様々な種類があります。 法別番号 公費負担者番号の最初の2つの数字は法別番号といい、公費の種類を表しています。どの公費に対しどの法別番号が対応するのかは後ほど説明しますが、この番号を見ればどの公費が適用となるのか、知ることができます。 例)この場合、法別番号は12です。5ページの一覧を確認すると、法別番号12は「生活保護」を表すことがわかります。
以後の説明の中で「生活保護(12)」というようにかっこ内に示す、または「12公費」と数字で示すことがあります。 公費負担医療の受給資格 公費負担医療の適用を受けるためには、それぞれの法令ごとに所定の審査があり、受給資格を取得した者には受給者証明書等が交付されます。公費負担を取り扱う薬局では、必要に応じて処方箋受付時にこれらの証明書を確認します。 公費負担医療を取り扱うために 薬局で公費負担医療を取り扱うためには、特別な申請を行い取扱機関として指定されなければならない場合があります。ゆう薬局では開局時に各種申請を行い指定を受けていますが、取り扱ったことのない公費の記載がある処方箋を受け付けた際は、必要な申請が行われているかどうか指定通知書などで確認してください。 公費負担医療の給付割合 調剤報酬の全額を給付するものから、一部のみを給付するものまで、公費負担医療の療養の給付率はそれぞれの法令によって異なります。個別の法令については5ページ以降にまとめています。 医療保険と公費負担医療 たとえば「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」の「認定疾病医療(18)」は患者が健康保険・国民健康保険の対象者であっても、全額が公費で支払われます。一方「特定疾患治療研究事業(51)」は調剤報酬から保険で給付された金額を控除した残りの自己負担分について公費で支払われます。 このように、公費負担医療は、医療保険に優先して一定の給付率で支払われるものもあれば、医療保険で支払われた残りの部分を公費で負担する場合もあります。したがって、保険薬局においては、医療保険と公費負担医療とが併用される場合、その関係を把握しておかなければなりません。 介護保険と公費負担医療 公費の種類によっては、介護保険において適用されるものとされないものがあります。 公費単独医療(公費単独) 医療保険をまったく使用しない、あるいは保険資格を持たない場合で、公費のみを使用して医療費を請求すること。調剤報酬請求の全額が公費から支払われます。生活保護による公費単独が多いですが、精神通院医療(21)などでも公費単独の場合があります。 公費単独の場合の多くは「支払基金」へ請求をおこないます。 複数の公費の併用 複数の公費負担医療受給者証を患者様が持参された場合、優先順位に従い、先順位の番号は処方箋の第一公費欄に、後順位の公費は処方箋の第二公費欄にそれぞれ記載されるようになっています。それぞれの優先順位に注意し、給付率を把握したうえで処理を行う必要があります。 どちらの公費も保険優先なので医療保険が7割負担し、自己負担1割になるように21公費が2割を負担。残った自己負担1割について44公費が適用され、44公費が1割負担。結果として、自己負担額はゼロになります。 国の公費負担医療制度 国が責任を持って行うべき医療を法制度化し、その法律の下で行われます。運営主体は国であり、財源は税金です。 自己負担上限額 自立支援法(21・15・16)、難病(54)などの場合、月ごとの自己負担額に上限が設けられている場合があります。これが自己負担上限額です。自己負担上限額が設定されている患者の場合、保険医療機関の窓口での合計が上限額に達するまで、自己負担金が発生しますが、上限額に達した後には自己負担金がゼロになり、その分も公費が負担するようになります。 上限額管理票 上限額管理票は左図のようなものです。(地域・制度によってデザインが変わります。毎回受付時に預かり、累計額が月額自己負担上限額に達するまで、調剤日・薬局名・自己負担額・累計額を記入し、押印していきます。 ②のように月間負担額累計額が上限額に達した時には、一番上の欄(①)にも調剤日・薬局名を記載し、押印します。①がすでに他医療機関によって記入されている場合は、自己負担額は発生しません。 上限額に達した後は、管理票に記入していく必要はありません。 上限額に達する前から自己負担がない場合 上限額に達するまでの間に発生する自己負担額を市町村が負担する場合があります。 別の公費と併用、あるいは市町村から自己負担額にあたる給付金が出るなどして実質的に自己負担が発生しなかった場合も、「本来なら発生したであろう自己負担額」を記載します。 この場合実際には自己負担額は発生しませんが、21公費の上限額管理票には「44公費がなければ本来自己負担になっていたはず」の100円を、上限額管理票の自己負担額の欄に記入します。 すぐに役立つ公費負担医療の実際知識 実例・図解による請求事務マニュアル 2021年版/安藤秀雄/栗林令子【3000円以上送料無料】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.09.15 22:31:12
コメント(0) | コメントを書く
[公費負担医療制度] カテゴリの最新記事
|