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カテゴリ:今日読んだ本
北朝鮮はるかなり 金正日官邸で暮らした20年 上下巻
ソン ヘラン著 文芸春秋 1714円+税 筆者はキムジョンイルの息子、正男の母の姉で北朝鮮に居た時から文章を書いていた為、この手の他の本と比べるとかなり詳しく我々日本人が疑問に思う北朝鮮の体制に答えてくれます。 しかも息子がソウルで謎の殺され方をしている為、言論統制や国民の命をを政治取引に利用する韓国にも行きたくない、とヨーロッパの第三国に亡命しているのです。 日本語版は韓国版のように検閲が無いのでヘラン女史の原文が採用されました。 キムジョンイルがまだ大した権力を手に入れていなかった頃、 新しいパーマ液を手に入れたから実験台にしてやるよ と冗談めいた口調で筆者の息子、一男を可愛がっていた事、 何も知らない学生だった一男がジュネーブから南朝鮮にかどわかされて連れて行かれ、拷問を受け、探されないように整形までされて10数年をすごしていた事、 息子をを狂ったように探そうとした著者にキムジョンイルが最大限の金と力を与え、助けようとした事などが書いてあります。 また、北の官僚達が粗野な言葉や態度を取らないとブルジョア的だ、と批判しあっていたからキムジョンイルもそれに従がわざるをえない教育を受けて育ちああなった訳で、彼を暗殺すれば北の体制が変わるわけではない事も良くわかりました。 また、筆者の母が女性解放を目指して革命に参加したこと、彼女と金正日が金日成体制では許されなかった外国の文学書や童話を何千冊も収集し、後にアンデルセンやイソップを北の子供達に読ませられたときに味わった満足感の下りは感心しました。 独裁者の父に逆らいバイクに乗り映画を撮影し、父が決めた正妻より6つ年上で人妻、映画女優であり芸術論を話せる筆者の妹を愛し、精神の病に彼女が倒れても見捨てずに、ロシアで何年も治療させていた人間金正日のことなども書いてあります。 ちなみに三人目の妻は差別対象の日系同胞、これも彼女らが表舞台に出られない訳だそうです。 今まで読んだ脱北者の著書の中では一番お勧めです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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