|
テーマ:純粋バカ一代(1051)
カテゴリ:純粋バカ一代
【第2章】
しかたがない、歌を歌っていくか。ひとりで歌うのか。知床の大自然の中で。恥ずかしいけど、熊が近づいてきて襲われたら・・終わりだしな。 登別の熊牧場で檻の中の熊を見たことがある。小熊は、丸くてあたたかそうでかわいかった。その小熊が急に興奮して「ガルル~!」と金網を駆け上がった。 いっしょに行った子は、すぐ後ろに引いたけど、オレはびっくりして動けなかった。かわいいと思ってた小熊が、固く長い爪をむき出しにして金網にへばりついている。 もし この金網がなかったら、確実にオレの体はズタズタにされていたはずだ。小熊にして、このパワーなのだから、親熊に出会って ひとたたきされたら・・終わりだ。 誰も聞いてないんだから、恥ずかしいこともないか と歌いながら歩き出した。意外と『あがらずに』歌えた。 「あるぅひ もりのなかぁ くまさんにであったぁ。はなさくもりのなぁかぁ~…」この歌は縁起悪いな。曲変更。 自然の中のせいか童謡系の歌が歌いやすかった。うろ覚えの歌詞を適当に歌った。とにかく声を出すのが大事なのだから。 その必要もなかったけど、手足をおおきく振って大きな声で歌いながら進むと、前方が明るくなってきた。出口が近いな。当然だが、ここまで熊には出会っていない。もう少しだと思うと、気持ちも軽くなった。 「チャンチャラチャラララチャンチャンチャン・・パフッ…」 『笑点』のテーマだ。 「そろそろ お別れの時間ですねぇ~…」熊と、それに遭遇する恐怖からもお別れだ。 「山田隆夫の生活のためにも、来週も見てくださいねぇ」 そこまで言って、広い駐車場に無事脱出できた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.05.14 08:10:40
コメント(0) | コメントを書く
[純粋バカ一代] カテゴリの最新記事
|