|
テーマ:純粋バカ一代(1051)
カテゴリ:純粋バカ一代
【第1章】
車で宗谷岬についた。ここが日本最北端の地だ。 北海道をまわってるだけで、広いなぁと感じるんだから、日本全体ではかなり広いだろうと思う。普段は、天気予報で見る日本地図から、日本はけっこう狭いと感じるものだが、実際に地上を移動してみると感覚が違うことに気がついていいものだ。 その日は曇りで残念だったが、晴れた日には樺太が見えるという。ここから北は海を挟んで外国かと思うと、日本の地面や風景が好きになれそうな感覚になった。日本の最北端から南の方向を見て、日本全部を見た気になった。 岬の北端までいくと、塔が立っている。『なんの塔』か忘れたが、近くにスピーカーがあり音楽が流れている。 芹洋子の『宗谷岬』だ。あの高齢者向けブリッコの芹洋子かぁと聞き入ってみたが、なかなかさわやかで夏の潮風にも合ういい歌だった。 が、『宗谷岬』が終わると次も『宗谷岬』だ。海を眺めてお土産店のほうへ歩いてきても『宗谷岬』だ。『最北端ラーメン』の店はパスして隣の土産店に入る。やっぱり『宗谷岬』が追っかけてくる。 土産店主らしいおにいさんに 「あの歌は1日中流れてるの?休みなく」 「…ああ、あれか鳴ってるよ。朝から晩まで」 「昼休みなしで流れてるの?」 「ああ、飯食ってるときも聞こえるんだよ。うるせぇから切れって言ったんだけどな」 「聞き入れてもらえなかったんだ」 「そうなんだよ。いくら言ってもわかんねぇんだよ」 「困ったもんだね」 日本最北端の土産店主の本音が聞けた。静かな宗谷岬も、情緒があっていいものだろうが、『騒音』で寂しくならないようにもしてある。少しの時間滞在する観光客はいいだろうけど、いつもそこにいる店主には、いらつく空の声なんだろうな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.05.16 09:59:41
コメント(0) | コメントを書く
[純粋バカ一代] カテゴリの最新記事
|