モーリス・ラヴェル作曲:左手のためのピアノ協奏曲である
。第一次世界大戦で右手を失ったパウル・ヴィットゲンシュタインがモーリス・ラヴェルに作曲を依頼して書き上げた左手だけでピアノを演奏するピアノ協奏曲である。ひょっとしてこの珍しさゆえ、この曲を高校の音楽の授業で音楽鑑賞の曲として聴いたことがある人があるかもしれない。
ヴィットゲンシュタイン自身のピアノ演奏で1931年に初演されたらしいが、余りの難しさゆえ楽譜通りに弾き切れず勝手に手を加えて演奏し、その上余りに難技巧に走りすぎて音楽性がないなどとラベルを非難したものだから、その後2人の仲が険悪になったとことである。
自分はピアノの演奏については詳しくはないのだが、
音楽評論家の吉田秀和氏の
か何かを読んで、20年位前にフランスのピアニストのサンソン・フランソワの演奏でこの曲のCDを購入したのだが、その時も
ちょっと聴いただけでも「これ本当に左手だけで演奏してるの?」と感じるほど、多分両手で弾いても結構難しい曲であろうと思う。
このフランソワの演奏の映像がYouTubeにアップされていて、見入ってしまったのだが、確かに左手だけで弾いているなぁと、しかもあのムラッ気の多いフランソワが力強く凄い演奏をしていて感動してしまった。
ところでこの曲を聴いて
何だかジャズミュージシャンのチック・コリアのフレーズに似てるなぁと思っていたのだが、ラヴェルの母親はスペイン人なのだそうで、なるほどと二人ともラテン系の血が流れてるのかと妙に納得してしまったのである。