Ibra's Opera Fan ![]() オペラ・コンサート予定2023年11月~ ![]() Richard Wagner for Kids "Die Meistersinger von Nürnberg" Photo: ©Shevaibra, courtesy of Spring Festival in Tokyo
カテゴリ:OPERA
![]() 2023年11月26日(日)14:00 藤沢市民会館 大ホール 【オテッロ】宮里直樹 【デズデーモナ】砂川涼子 【エルミーロ】妻屋秀和 【ロドリーゴ】小堀勇介 【イアーゴ】山本康寛 【エミーリア】中島郁子 【ルーチョ/ゴンドラ漕ぎ】石井基幾 【総督】平尾啓 指揮:園田隆一郎 合唱指揮:浅野深雪 藤沢市民交響楽団 コンサートマスター平澤仁 藤沢市合唱連盟 副指揮:松川智哉/柴田慎平 贅沢すぎる時間でした! 日本最高レヴェルのキャストが揃ったアジリタバトル選手権でした。 ロドリーゴ小堀さんの超ドヤ顔いただきました!(^^) 彼は水を得た魚のように自由に泳ぎ回りました。 HighC連発は当たり前 HighDにもあげて BとかHとか、音程上げまくりで歌いました。 彼はこのオペラをよく知ってる。だからこそできる自由自在な演奏っぷり。オケを牽引し小堀ワールド大展開でした。 おめでとうございます。 そしてオテッロの宮里直樹さん。 リリコスピントのとんでもないパワーで彼もHighC量産でした。重量級テノールがHighCやHやB出しまくりで見事!さすが!もう脱帽です。 ヤーゴ山本さんも陰影のある特徴的なロッシーニテノール声でいきなり超高音(High D?)かまして度肝を抜いてました。 悪役の視線が鋭くて射抜かれるようでした。 デズデモーナ砂川さんはやはり聖女でした。彼女は演奏会形式という枠にとらわれず、完全に役に入ってました。物憂げな悲哀を浮かべたその眼差しはどこまでも透徹で心を打ちました。❤️ 演奏もパワフルでまさにDIVAでした。 そんなデズデーモナを支えるエミーリアの中島さんも本当にすばらしい美しい艶のある声で魅了しました。しかしエミーリアの声種はソプラノです。デズデーモナより軽い声の人が歌う役なのでここは逆転のキャスティングでした。 デズデーモナの父、わからず屋のエルミーロは盤石の妻屋さん。さすがのアンサンブルでした。 ゴンドラ漕ぎとルーチョの石井さんもいい声でした。リリックテノールでした。 オケはめっちゃうまくなってました。 今回はRossini歌いだけではなく通常もっと重い役を歌っている人を意識的にキャスティングしているところが冒険でもあり、見世物として秀逸だったところでもあります。その賭けはいい方に転がって、出役のRossiniチャレンジはほぼうまく行っていたのではないでしょうか。 すばらしい万能型テノール宮里直樹さんはやはり「マクベス」のマクダフのような「チョイ役」で高音がAまでの役ではなくHigh Cもある役で聴きたいのがファンの本音。 しかし本人にとっては相当のプレッシャーであったに間違いなく、大成功でうまく歌ったことに、彼の勇気に、本当に感動しましたし、賞賛に値します。 彼の次の全幕オペラも待たれるところですがしばらくは第九漬けになっちゃうのかなあw *** Otello was premiered in Naples, 4 December 1816 Otello tenor Desdemona soprano Rodrigo tenor Iago tenor Emilia soprano Elmiro bass The Doge of Venice tenor Lucio tenor A gondolier tenor The plot of the libretto differs greatly from Shakespeare's play in that it takes place wholly in Venice, not mainly on Cyprus, and the dramatic conflict develops in a different manner. The role of Iago is much less diabolical than Shakespeare's play or Verdi's 1887 opera Otello, which was also based on it. ーーーIn further contrast, the role of Roderigo, a sub-plot in Shakespeare and Verdi, is very prominent in Rossini's version— some of the most difficult and brilliant music being assigned to the character Rodrigo. The roles of Otello, Iago, and Rodrigo are all composed for the tenor voice. ーーーFrom Wikipedia (ロッシーニの『オテッロ』は)台本のプロットがシェークスピアの戯曲とはだいぶ異なっている。キプロスではなくすべてヴェネツィアが舞台となっている。 ドラマの対立関係の展開も異なる。ヤーゴはシェークスピアやヴェルディが描いたような悪魔的キャラクターの味はだいぶ薄い。 ロデリーゴ(ロドリーゴ)はシェークスピアにもヴェルディにも脇役として出てくるが、ロッシーニでは主要な役である。このロドリーゴには最も難度が高く輝かしい音楽が書かれている。 オテッロとヤーゴ、ロドリーゴは皆テノールのために作曲されている。(From Wikipedia *** 序曲 第1幕 オテッロの凱旋 オテッロのアリア Ah si, per voi gia sento ものすごい歌唱で度肝を抜くオテッロ宮里さん。 高音 H 出しまくりです! 参考…Michael Spyres - Ah si, per voi gia sento (Rossini: Otello) 「バリテノール」マイクル・スパイアーズ。お聴きになってわかるようにマイクル・スパイアーズは宮里さんよりはるかにバリトンに近い声です。宮里さんは当たり前ですが「バリテノール」ではありません! Ma allor sarò felice quando il coroni Amor で最高音H!(マイクル・スパイアーズ参照) Amor, dirada il nembo このアリアはテッシトゥーラはAまでで最高音Hなのでしょうか。マイクル・スパイアーズはアジリタでHigh Dまで上げていますが…。 エルミーロとロドリーゴ エルミーロ退場 イアーゴとロドリーゴ 二重唱 No, non temer イアーゴの見せ場 ここでいきなりHigh Dあたりまで上げるヤーゴ山本。 参考…OTELLO - Duetto "No, non temer" Jago: Juan José Lopera Rodrigo: William Matteuzzi マッテウッツィがアジリタすごいなー。軽やか。High Cも。演奏もスピーディですごい。 デスデモーナとエミーリア エルミーロとロドリーゴ 結婚式 期待に反し現れたのはロドリーゴ ロドリーゴを見てデズデモーナは悲嘆する そこにオテロが来る 重唱 第2幕 ロドリーゴとデズデモーナ ロドリーゴ Che ascolto? ahimè, che dici? ロドリーゴのアリア Ah! come mai non senti Che ascolto? ahimè, che dici? ゆっくり感情込めて歌う 高音 B 早いテンポのパート Ah come mai non senti 超高音 High C 繰り返し部分はヴァリエーション 変則でアジリタを付加し、高い音程に変えて歌う。 High C High C → High D 超高音からのさらに上げ (音程はJDFの演奏をもとにした推測です。JDFやラリー・ブラウンリーはHigh Cまでしか出していないのですが(つまり楽譜はHigh Cまで書かれているということだが)小堀さんはHighD出していたようだ。) 参考…Tenor Lawrence Brownlee performs Otello: “Che ascolto? ahimé, che dici?” いやこれまじすごかったです。まさにコボリ独壇場! 小堀さんのChe ascolto? ahimè, che dici?から始まるこのアリアは何度も小堀さんのガラコンなどでお聴きしているので、まったく心配していなかった。というか彼がこのアリアをようやくオケと一緒に全幕で披露できるということで非常に喜びに満ちていることが感じられた。また燃えるような闘志も。Rossini tenorだけを日本で歌っていくということは不可能なので、Fach change し普通のリリックテノールの道を選ぶことも充分に可能な彼だが、とどまることが大変な超絶技巧の世界にまだとどまってくれていることが尊い。ありがたい。声楽の難度ということでRossiniに勝るものはない。 ヤーゴはオテロにデズデモーナの筆跡の手紙を見せる。 オテロとイアーゴ 二重唱 Non m'inganno; al mio rivale オテロ: Non m'inganno; al mio rivale l'infedel vergato ha il foglio; più non reggo al mio cordoglio! Io mi sento lacerar. オテッロは打ちのめされる オテッロ No, più crudele un'anima こんなひどい仕打ちは… ヤーゴ: No, più contenta un'anima 最高に楽しい展開… 美しく残酷な二重唱 巧妙にデズデモーナを殺すように仕向けていくヤーゴ オテッロ: Morrò, ma vendicato. Sì,… dopo lei morrò. 参考… Otello, Act 2: "Non m'inganno" - "Al mio rivale" (Otello, Iago) Michael Spyres · Lawrence Brownlee オテロとロドリーゴ 二重唱 Ah vieni, nel tuo sangue le offese ロドリーゴ: Ah vieni, nel tuo sangue le offese vendicherò: Se un vano amor t'accese, distruggerlo saprò オテッロ: Or ora vedrai qual chiudo giusto furor nel seno: Sì, vendicarmi appieno di lei, di te dovrò 聴きどころのロドリーゴとオテッロの対決シーン このシーンはお互いHigh Cを出す応酬シーンがある屈指の難所。 ロドリーゴはHigh CだけでなくHigh Dも披露。 オテッロの宮里さんも負けずにパワフルなHigh C! 二人: Qual gioia! all'armi! all'armi! Il traditor già parmi veder traffito al suol. 参考…Javier Camarena & Lawrence Brownlee - Rossini - Otello この映像はラリーがオテッロでカマレナがロドリーゴ。現在ベルカントテノールの最高峰の二人です。二人ともHighDまで上げてます。カマレナ来日待たれるな~~~ 演奏会形式ではここまで遊んでも良かったな。 デズデモーナが来る 三重唱 Che fiero punto è questo! 決闘のため二人は去り デズデモーナは気絶する。 エミーリアの介抱 Che smania. Oimè! che affanno! 人々が来て オテロの無事を確かめたいデズデモーナ 父に許しを懇願するデズデモーナ L'error d'un'infelice イアーゴが愛し合う人々に見せる憎悪 第3幕 哀しみに沈むデズデモーナとエミーリア ゴンドラ漕ぎの歌 Nessun maggior dolore そでで歌う石井さん。 美しくもパワフルな声、レッジェーロではなく、リリックテノールです。 さまざまなテノールの声のヴァリエーションが楽しめるのも贅沢ですね。 デズデモーナのイザウラについて歌う「柳の歌」 Assisa a piè d'un salice アリア「柳の根元に座り」 まさに入魂の演唱。聴かせます! ハープも美しい! 参考…Joyce DiDonato & David Zobel - Rossini - Otello - 'Assisa al piè d’un salice ... Deh, calma' - 2014 ダブルアリアで、祈りのようなアリアが続く。ヴェルディの「オテロ」の構成、柳の歌→アヴェマリアを彷彿とさせる構成です。 ようやく眠りについたデズデモーナ そこに オテロが来る… オテロは彼女の寝顔を見る デズデモーナがつぶやく Amato ben! 目を覚ましたデズデモーナ。オテッロとの言い争い。 劇的な音楽と共にオテッロはデズデモーナを刺し殺す(演技はない) そこに皆が来て、オテロの追放処分が解かれたことが告げられる。父のエルミーロは娘とオテッロの結婚を薦める。ロドリーゴもオテッロへの憎しみが愛に変わったと告げる。オテッロはデズデモーナの遺骸を見せる。一同驚く中、オテッロは自害する。悲しい最期。 このRossiniヴァージョンは死なないハッピーエンディングもあるみたいですので、演奏会形式ならそっちもありだったかも⁉演奏会形式は超絶技巧を聴かせるための設定だと思うので。 お疲れ様でした。 *** Related links Libretto 2023年1月20日 ロッシーニ「オテッロ」Day1 詳細続く。
最終更新日
2023年11月27日 12時01分59秒
|
|