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カテゴリ:OPERA
ドレスデン国立歌劇場 「タンホイザー」最終公演Part2
第2幕 コンヴィチュニー演出は、人間を神さまとか英雄とかにしておかない。 「魔笛」ではザラストロが肉欲を抱く殺人犯だったんだからね。 この第2幕では、タンホイザーは究極の「KY」男として描かれる。 神殿で歌うエリーザベト。 いきなり足元に額をこすりつけるタンホイザー 「フュルスティン!」 「あなたったらどこに行ってらしたの?」 「遠い、遠いところだよ。実は忘れてしまったんだ!」ヴォルフラムに目配せするタンホイザー。女に二枚舌。ヴェーヌスの元を去ったのは単に彼女に飽きたから。彼女の部下たちの残虐な遊びに肝を冷やしたから。 またエリーザベトを誘惑するのに言葉を惜しまない。 「じゃあどうして帰ってらしたの?」 「奇跡ですよ!(ヴンダー)」 「不思議な奇跡が起きたんです!」 なんて調子のいいやつ。 幸せの二重唱。 落胆して離れていくヴォルフラム。 幸せな二人は彼の気持ちを思いやれない。 まるでティーンエージャーのように幸せをひけらかす。 タンホイザーだけじゃない。ここではエリーザベトだって充分愚かに描かれている。 タンホイザーは調子に乗ってエリーザベトの肩を引き起こし、強くつかんで歌う。 エリーザベトは「痛い!痛いわ!」というそぶり。 エリーザベトが彼への怨み節みたいな恋歌を歌うと、ヴォルフラムをこずいて自慢。 笑顔満開でほんと可愛い。 エリーザベトのマントを半分切り取って、タンホイザーのケープにする。タンホイザーは変わりに自分の甲冑をエリーザベトに渡す。 タンホイザーはひざまずき、エリーザベトはまるでナイトに爵位を授けるようなしぐさを剣でして二人で子供のようにはしゃぐ。遊んでる… タンホイザーは退場する。 エリーザベトは夢見ごごち。手にタンホイザーの甲冑をはめて寝転ぶ。 おじさんのヘルマンがやってきた。 二人は歌合戦の準備をするが実に楽しそう。 めちゃ演技がうまい二人。 客が登場し、歌い手たちも登場する。タンホイザーは相変わらず一人で浮かれている。客人に小躍りしながら手を振る。 ヘルマンのあいさつとタンホイザーの紹介。 タンホイザーは呼ばれもしないのに手を振って出て行く。 ヴァルターが「引っ込め!」という仕種をすると、 「なんだよ! いけず。」という顔をして下がる。 KY。 ヘルマンが歌のお題を出す。 「愛の本質を『品位よく』明らかにしてほしい。」 (würdigsten = worthiest なのでここはやっぱり「もっとも価値高く」と訳すべきだが、字幕ではこうなっていたのである。) タンホイザーは『品位よく』の部分を聞いてなかったらしい。 歌い手たちはそれぞれエリーザベトに礼をして下がる。 ところがタンホイザーだけはエリーザベートと顔を近づけて「イ~~!!」なんてやって遊んでいる。子供か? アンネがすごく可愛い。 ヴォルフラムが歌う。 ここはベックメッサーのアカペラと同じで、実につまんない旋律でつまんないことを歌うように元々意図して書かれている。 タイトスの歌はゆっくり過ぎて、「もっと早く歌えないのか?」といらいらしてしまった。これも狙いか?タンホイザーの歌はどれもメロディアスでテンポが速い。 タンホイザーはヴォルフラムの歌を茶化すように歌う。エリーザベトは大喜び。受けまくり。 ヴァルターが歌う。 ヴァルターのマルティン・ホムリッヒ、良かった~ すばらしい美声。ドン・オッターヴィオとか似合いそう。 またしても否定するタンホイザー。 ビテロルフが怒りにまかせて登場し、竪琴を奪うと、タンホイザーはエリーザベトの後ろに寝転んでにやにや。いちゃいちゃ。 エリーザベトに「しいっ、ちゃんと聞いて」と怒られるがエリーザベトも半分笑いが止まらない。 タンホイザーは返す歌で完全にビテロルフを馬鹿にして侮辱する。 タンホイザーは歌い終わると竪琴を自分の顔に押し付けて「べ~!」と舌を出す始末。 次にヴォルフラムが歌うと、タンホイザーは下手の滑り台に寝そべっている。見かねたヘルマンが彼の足をつかんで引き摺り下ろす。笑うところですよ。 ヴォルフラムのキーワードは"Sterne"(=星)。手の届かない崇高なものの象徴。 タンホイザーは後ろに連れてかれる。 タンホイザーはついに切れて、舞い戻り、ヴォルフラムの竪琴を奪うと激しく床に叩きつける。 そしてついに禁断の歌唱を開始する。ヴェーヌス讃歌を狂おしく歌う。 "Zieht hin, zieht in den Berg der Venus ein" 「ヴェーヌスの山にでも行けよ!」 人々の怒声が響くが、 タンホイザーはまったく気づかない。 KY。 剣を振り回して笑いながら浮かれている。しかしエリーザベトが彼の正面に立ちにらみつけると剣の先がエリーザベトに向かってぴたっと止まる。 さーーっと青ざめるタンホイザー。まるで叱られた子供。 だんだんひくひくと震えだし下手の下に下りる。 Elisabeth " Ich fleh fur ihn, ich fleh fur sein Leben, Der Mut des Glaubens sei ihm neu gegeben, dass auch fur ihn einst der Erloser litt!" エリーザベト「彼の命を助けてください。 信仰の勇気を彼に与えてください…」 "Du gabst ihr Tod, sie bitter fur dein Leben" "Darf ich auch nicht dem Schuldigen vergeben" "dem Himmelswort kann nicht widerstehn" 人々「タンホイザーはエリーザベトに死を与えたのに、彼女は彼の命ごいをしている。」 「罪あるものを許さざるを得ない。」 「天の言葉にどうして抗えようか!」 Tannhauser" Erbarm dich mein! Erbarm dich mein!" タンホイザー「我を哀れみたまえ!」 エリーザベトが歌う中、這いずってエリーザベトのところまで行く。 エリーザベトにケープを渡す。 エリーザベトは甲冑をがちゃんと落とす。 タンホイザーは手が震えていて受け取れないのだ。 ヘルマンは追放を宣言する。 エリーザベトはおじさんの顔を責めるように凝視する。 タンホイザーは茫然自失でひくひく震えるばかり。 そして自分への怒りで堪えられず、上着を脱ぎ捨てる。 人々が圧倒的に彼に対して怒りをこめて歌う中、 彼は自分への怒りでおかしくなっている。 上着を投げ、靴を片方ずつ投げる。 そして彼の幻想の世界に入る。 突如人々の動きがかくかくとコマ送りになる。 これは彼の幻想の世界。こういう風に彼には見えているのだ。 巡礼の歌の幻聴が聞こえてくる。人々はストップモーションになる。 ヴァルターは彼の上着を上に突き出し、静止している。 友人2人(激似の二人)はそれぞれタンホイザーの靴を上に突き上げている。(笑) タンホイザーは幻聴めざしてかけ去り、長い階段を上がっていく。 階段の中腹で、スポットライトを浴び、 「ローマへ!」と夢からさめたように叫ぶと、人々も動き出し、 「ローマへ!」と追随する。 第2幕了。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年11月22日 23時22分01秒
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