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カテゴリ:BALLET
ジョン・ノイマイヤー自作を語る
Part4 質疑応答 Q:きのうみた作品「人魚姫」について。二人の修道女が出てくるが、カリカチュアして描かれていた。これは皮肉なのか? ノイマイヤー:(しばらくして)Ja-!(はい)そうです。私の意図したとおり理解していただいた。アイロニーです。これは現実の世界ではありません。実際修道女、彼女たちは厳しい人たちだと知っているので。嫌な感じを持たれたのですか?私にとっては(この質問は)意外なので。小さいときにカトリック系の学校で修道女に絵を習ったことがありました。 Q:(意味が)わからなかった。人魚姫が救われる場面でどうして修道女が出てこなかったか疑問だ。 ノイマイヤー:(ヘンリエッタ)王女が厳しい教育を受けたことを示したかった。いいおうちの出だと示したかった。 Q:アメリカで生まれイギリスで教育を受け、今ドイツにいらっしゃるノイマイヤーさんですが、ドイツの国民性、地域性、歴史性が与える影響はあったりするのですか? ノイマイヤー:それほど(ない)。ドイツに行ったのは偶然。ほとんど影響ないですね。(ロイヤルの?学校出た時に、)イギリスで働くのは難しかった。アメリカに帰るつもりだった。ニネット・ド・バロワ女史が親切にしてくれて、「あなた今後どうするの?」帰るつもりだった。(アメリカにはジョージ・バランシンの)NYCBとかあるし。バロワ女史に、「ジョージ(バランシン)のところに行きなさい」と言われた。さきほど見たVTRに出てきたヴェーヴァーのパートナーだった人(?))に(シュトゥットガルトを勧められ(?))、そこがどこなのかも知らなかったが、シュトゥットガルト・バレエのジョン・クランコに「シカゴの公演を見たよ」と話してくれた。それでシュトゥットガルト・バレエと契約した。3日後にバロワ女史と会ったら、彼女は「ジョージ(バランシン)と話したわよ!」でももう遅かった。その時NYに帰っていたら、どのみち振付家にはなっていたでしょうが。植物が日本で育つのかシカゴで育つのかの違いで。違う道を歩いていたかもしれない。あるいは、シラーとかゲーテが私をドイツに運んだのかもしれない。もっとヨーロッパを知りたかった。(イタリアが好きで)シカゴよりもシュトゥットガルトの方がフィレンツェに近いと思った(一同笑)。これでヨーロッパの文化に近づけると思った。私の内面的な直観に従ったと言えるかもしれない。そこにとどまることになった。 三浦:それは良かった!バランシンのとこだったらどうなってたことか(笑)。―がノイマイヤーさんがヨーロッパの人に見えたと言っていた。さっきのカリカチュアの話、トウ・シューズへのカリカチュアというのもあると思います。私は話が長いから気をつけろと言われているが(笑)。 Q:(きのうの)「人魚姫」は良かった。最後の場面は「死」には見えなかった。より精神的に高みに導かれた。精神性を持った詩人が「私があなたのパートナー」と言ったような。私もきのう赤い色の服を着ていた。ノーマルな人からはみ出していても―する、私は人魚姫と自分が重なってしまう。 ノイマイヤー:アンデルセンの「人魚姫」はご存知でしょう。本当はディズニーの「リトル・マーメイド」とは大分違います。もっと複雑なんです。 人魚姫は愛を貫くため人間の世界に入ります。愛はかなわず、人魚の世界に戻りたいと思う。王子を殺せば人魚の世界に戻ることができる。しかしそれはできずに自分より「死」を選ぶのです。アンデルセンの原作では、彼女は人間のまま海に飛び込んで自殺しようとするが救われるのです。大気の精(娘)になるのです。大気の精は働かなくてはいけません。300年空気をきれいにするために奉仕します。その後解放されるのです。(この作品にはアンデルセンの)自伝的要素があります。愛はかなわないが、作品が存続することによって自分が解放されるのです。アシェンバハの愛と仕事ぶりはアンデルセンの芸術と似ています。アンデルセンは永遠の秘密を手にするわけです。 三浦:「ベニスに死す」のクリエイターとクリエイションの関係にも反映している。冒頭のライティングは(ノイマイヤーの手によるものだが)すばらしい。 アンデルセンの昔の伝記には書かれていません。これは最近出た本ですけど(と本を示す)。ノイマイヤーさんの作品を見るためには本をたくさん読まなくてはいけないんですよ。「かもめ」「ニジンスキー」。ショスタコーヴィチを調べ始めるとますます… Q:ノイマイヤーさんは音楽をどうやって見つけてくるのですか?それと、振付にあたっての音楽の意味を教えてほしい。 ノイマイヤー:いろいろです。いろんな音楽を聴いて直観的にわかるんです。それを頭に入れてCDを買います。あるいはあるテーマ、印象を受けているテーマに(沿うものを探すことも)「椿姫」はこれをやりたい!と音楽を見つける前に思っていた作品です。これを自分が振り付けると確信していた。ヴェルディの音楽を使うのか?それはやらない方がいい。リハーサルの直前まで音楽が決まっていなかった。若い指揮者の友達(ゲルハルト・マルクソン)がもっと若い頃ピアノをやっていて、彼にどうしたらいい?と聞いたらショパン、ベルリオーズ、あるいはその両方だと応えました。偶然なんですよね。 音楽は誰かに依頼することもできます。「ペールギュント」でもそうしました。有名なロシアの作曲家に依頼しました。作曲には時間がかかるのです。まず私がリブレット(台本)を作らなくてはいけない。それを渡して依頼する。作曲家は3年から5年かけて音楽を作る。それを聴きながら考えなくてはいけない。時間がかかるんです。それに作曲家を100%信用しなくてはいけない。若い頃「オテロ」の音楽を依頼しましたがその音楽には振付できなかったのです。もちろんお支払いはしましたが(一同笑)。その人間を100%信頼しなくてはいけない。自分とおなじ考え、価値観を持つ人でなくてはならない。それでないとできません。 音楽をいろいろ聴くのでいろんなアイディアも出てきます。私は(作品を作るために)いろいろ取材をします。本を読むし、歴史も調べます。しかしリハーサルの部屋に入ると、私は本を20冊持ち込むわけにはいきません。裸(=素)になって入るのです。料理の本とは違うんです。材料(レシピ)が書いてあるわけではありません。音楽しかないんです。それ以外は素の状態です。音楽は作品ができるまで、私の(唯一の)パートナーなのです。 三浦:「ベニスに死す」のピアノ曲はどうやって見つけたのですか? ノイマイヤー:(この話には)時間がかかりますよ。私は二つの種類の音楽が必要だと考えました。バッハとワーグナー。対立的なもの。ワーグナーはアシェンバハの手本だった。しかしワーグナー用のオーケストラとバッハ用のオーケストラをもうひとつ使うことは難しい。セクステット(六重奏楽団)を使うことはあり得なかったんです。かといってテープ演奏もおもしろくない。ではピアノじゃないか?ワーグナーはいいピアノ曲も書いている。数回「タンホイザー」も聴きました。「タンホイザー」の、ピアノ用に編曲した曲もあるのです。(ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の)「愛の死」(=Liebestod)この曲、オーケストラを使うか?テープはあまり良くない。この曲の根源である「トリスタンとイゾルデ」への距離ができてしまうので。 (だから「愛の死」をピアノ用に編曲した曲を使用したのです。) 三浦:だから「愛の死」をピアノ用に編曲した曲を使用したのですね。次回の日本公演で「ベニスに死す」をやってもらいたい人は拍手!(拍手) Q:2006年の「人魚姫」のプレミアを(ハンブルクで)見ました。なぜ(エドヴァルトがやるのが)ゴルフだったんでしょう?王子が単純で純真な男の子だとわかりやすいためかと自分では解釈したが。あと王子が人魚姫にやる(こぶしでアッパーカットするような)しぐさ、かわいくて好きなんですが、ドイツでそういうしぐさをやるものなのですか? ノイマイヤー:こたえにくいですね(笑)。一方的な愛なんです。バランスの取れない愛。女性が非常に王子を愛してしまう。自分を捧げてもいい。愛が得られるなら醜くなっても、痛みを受けてもいい。しかしその男性は彼女をまったく愛していないのです。愛が返ってくるとは限らないのです。終わりのない痛みです。私にとって重要なのは、王子の愛らしさを示すことでした。子供のようなしぐさをさせたかった。それは「あなたの愛を受け入れるよ」という意味ですが大きな意味は持っていないのです。 ゴルフ…(一同笑)。私は全然知らない、小さなボールを追っかけて歩きまわるスポーツなんですけど、この男性はそういう好人物だと示したかった。プリンス・エドワードは結婚した時、ヨットの甲板の上でゴルフの練習をしたんです。これがわかると私の評判が悪くなる(笑)。ばかばかしいマッチョなことを好んでする人間として描きたかった(一同笑)。 三浦:いい質問でしたね。私はきのうの観客に感動しました。みんなスタンディングオべーションを自然にしていました。きょうのここにいる皆さんもとてもノイマイヤーの作品を愛していると感じられてうれしい。 (了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年02月14日 21時09分21秒
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