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ジェリュコ・ルチッチ インタビュー
Zeljko Lucic talks with Bing and Dennis in Classic Talk in Japanese Part3 (休憩後) D:また最初に戻りますけど、あなたのご両親も歌い手だったんですか? Z:歌い手でしたよ。でも音楽的教育を受けていたわけではないので、音楽については何も知らなかったです。でも生まれついての歌い手でした。 B:歌を楽しんでらした? Z:ええ。セルビアの民俗音楽を歌ってました。僕も大好きでいっしょに歌っていました。アカペラで歌うんですが、斉唱ではなく重唱していました。僕たち3人はいいコンビだったんですよ。 B:あなたの声はお父様譲り?それともお母様の方? Z:両方です。これは天性のものですから。 D:あなたが歌手になるって言った時最初はどう言われましたか? Z:最初は手強かったですね。その頃セルビアはユーゴスラビアの時代でしたから。社会主義、共産主義の時代で、父親は労働者階級でした。 D:お仕事は何をなさっていたのですか? Z:蒸気機関車を動かす仕事でした。英語で何て言うか知りませんけど。父は言いました。「でも歌は仕事しながらでもできるだろ?」 B:なるほどね。「本当の」仕事をね。 Z:だから父はこう問うてきました。「おまえは歌う以外に何をするつもりだい?歌はいいよ。歌はもちろんやっていいんだよ。俺は何もそれに反対しやしないよ。でも本当の仕事もしなくちゃいけないだろ、お前。」僕は答えました。「お父さん、すみませんけど、この仕事を僕の仕事にしたいんです。」「そうじゃないんだよ、お前は俺の言うことがわかってないな。」最初はこんな風でした。 D:お父様はあなたに何をさせたかったんですか? Z:同じ学校に入れて、代々の家風に従って、鉄道で働くことを望んでいました。父親も頑固だったので最初はけんかもしました。最初に僕は言いました。「いやです。僕は本当にこの仕事がやりたいんです。」教師の応援と母親の応援も得て、時が経つにつれて父の態度も軟化してきました。今はとても僕のことを誇りに思ってくれています。 D:まだご存命でいらっしゃる? Z:もちろん。 D:あなたの出ている公演を見に来ることができるのですか? Z:残念ながらできないですけど、セルビアでの公演には何回か来てくれて大変喜んでくれました。 B:セルビアの映画館ではメトのライブビューイングやってるのですか? Z:やってないですね。オペラを見るには劇場に行かないといけません。 D:セルビアには時々お帰りになるのですか? Z:時間がある時には、1回か2回歌ったりします。でも今のスケジュールではほとんど空き日程がないので行けるときだけです。 B:どの時点でお父様の考えが変わったんですか?あなたが美しく歌うのを聴いてからですか? Z:いや、多分僕が歌でお金を稼げるようになったからじゃないかな。 B:それは現実的ですね。 Z:まあそういうことなら続けていいよ。どうぞどうぞ、というわけです。 B:お父様やお母様に言ったことはありますか?『ほれ見たことか』って。 Z:ありません。だって父は自分が間違ってたってもうわかったわけですから。 D:何か一つご自身のブレイクのきっかけになった公演がありますか?最初の頃はずっとドイツの歌劇場で歌ってらっしゃったようですが。 Z:はい、1998年にセルビアからドイツに行き、フランクフルト歌劇場に10年在籍しました。ハンブルクやミュンヘンやベルリンでも歌いましたが、やっぱり僕にとってブレイクのきっかけとなったのはここメトでの数年前の「マクベス」のライブin HD です。 D:あれはすばらしかったです。 Z:あれが本当に僕を世界に知らしめてくれたというか。 B:お国には歌劇場はあるのですか? Z:セルビアはとても小さな国なので、2つしか歌劇場はありません。ノヴィ・サドと首都のベオグラードにあります。小さい国なのでそれで充分だと思います。 D:歌い手はしばし声が(出なくなって)キャリアの危機に瀕することがありますよね。そういうご経験はありますか?「大変だ!声が出なくなっちゃった!」って。 Z:幸いなことにまだないです。そういうことは自分に限って起きないだろうって思っていますけど、将来どうなるかわかりませんものね。残念なことにそうなってしまった仲間の例もあります。 B:それはご自分で気をつけていらっしゃるからですか?大事なことだと思うんですけど。 Z:そうです。「守らなくてはいけない決まりごと」があるんです。それがすべてです。ちゃんと考えて、自分の仕事やのどや声質に相反するような危うい事柄に敏感でないといけません。「ノー」と言わなくてはいけないのです。「きょうはレストランに行きたくない、」「パーティや誕生日会や結婚式に行きたくない、」などと、いろんななんやかやに…。 D:あなたは今もボイスティーチャーについているのですか?自分の調子をチェックしてくれる人が誰かいるのですか? Z:僕の先生は88歳ですが、一人で旅行します。ここニューヨークにも来てくれました。「マクベス」の時も「ラ・ジョコンダ」の時もそうでした。来てくれたらやはり聴いてくれて、あとでいろいろ教えてくれます。これとこれには気をつけなさいっていう風に。それに僕がメトに来ている時はあなた方のようないい耳を持っている方々に聴いていただいて、何がおかしいか教えていただけるので、自分で考えて是正して行けます。 B:世界中に有名な歌劇場がありますが、あなたが特にくつろげる、ホームのように感じる歌劇場はありますか? Z:メトです。自分なりの歌劇場のランキングリストを持っていますが、メトはナンバーワンです。4大歌劇場、メト、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ロイヤル・オペラ・ハウス(コヴェント・ガーデン)、これらは僕にとってオペラの神殿みたいなものです。ラッキーなことにこのすべてで僕は歌えるので、契約していますので、とても満足しています。 D:ではここでまた1曲聴いてみましょう。そのあとで教えてください。ではお願いします。 ***<ビデオ>ルチッチの歌う、"Cortigiani,vil razza dannata" 「リゴレット」から。ドレスデン・ゼンバー・オーパー公演 *** D:これはなじみ深い曲ですね。では教えてください。 Z:なじみ深いですね。数ヶ月前にここメトでも「リゴレット」をやりました。でもこれはドイツのドレスデン歌劇場の公演で、これが僕のロール・デビューだったんです。 D:ほんとですか。 Z:ほんとです。このプロダクションは指揮がファビオ・ルイージで彼は今はここの… D:メトの首席指揮者です。 Z:それです。このプロダクションが彼との最初のリゴレットです。ここでもやりましたが。とても良かったですよ。 D:これを見たらあなたの衣装について、シャツの色について伺わなくてはいけないんですけど。 Z:色ですか? くそったれの…(全員大笑い)あなた方は驚くかもしれませんが僕はそうでもないです。こういう演出は西ヨーロッパではよくあることで、特にドイツではすごいです。作品はとても現代的で、時には現代的すぎて、しまいにはまったく何の意味をなしてなかったりするはめに…。 D:そういう演出はあなたの本来の仕事を妨げるものですか? Z:いいえ。 D:集中できるんですか? Z:できます。僕は言葉に集中して、自分の感情を表現しなくてはなりません。これがもっとも大事なことです。何を着ているかなんてことは… D:問題じゃない? Z:そうです。 B:今おっしゃったように西ヨーロッパでは現代風に行き過ぎの演出が見受けられますが、これについてどう思ってらっしゃいますか?「わけわかんない」とおっしゃいましたが、じゃあなぜそういう演出をするんでしょう? Z:何か新しいことをやりたいのではないですか? D:人と違うことを? Z:違うことを。クラシックで伝統的な演出は古臭くてかっこ悪い… D:過去の遺物。 Z:過去の遺物。面白くないし退屈だ。そうじゃないのに。たとえば、きのうの「ナブッコ」の演出はあれ以上トラディショナルな作品はないぐらいのものでした。 B:すばらしいプロダクションですよ。 Z:ちゃんと成立しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年11月27日 23時02分12秒
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