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カテゴリ:OPERA
ミャゴラトーリ×岩田達宗第3弾!! 小劇場演劇的オペラ ベッリーニ作曲「カプレーティとモンテッキ」 原語上演 オリジナル字幕付き Day 1 2016年8月5日(金)18時半開場 19時開演 牛込箪笥区民ホール (地下鉄大江戸線 牛込神楽坂駅直結) 指揮 柴田真郁 演出 岩田達宗 ピアノ 星和代 5日(金) ロメオ 寺田宗永 ジュリエッタ 高橋絵理 カペッリオ 大沼 徹 ロレンツォ 大澤恒夫 テバルド 布施雅也 舞台監督 荒牧大道 照明 しもだめぐみ 主催・制作 NPO法人オペラ普及団体ミャゴラトーリ 首藤史織 チケット 全席自由¥5,000 チケット予約・問い合わせ NPOミャゴラトーリ shuto@miagolatori.com ホームページから http://www.miagolatori.com/msj-form.php *** テンション高過ぎMAXでしょ!オペラでこんなに演劇的なものは他にない。 小劇場的濃い濃い密度。 牛込箪笥ホール満員御礼状態。 P席まで出現! ワクワクするこの感覚。 30年前の夢の遊民者や如月小春の舞台以来。 高橋絵理&寺田さんのゴールデン・コンビ復活! 二人ともイタリア帰りでさらに進化を遂げていた! 全員しょっぱなから鬼気迫る演技でいっちゃってる感ありあり。 岩田さんの読み替えは常に原作を損なうことがない。 にもかかわらず今の世界情勢への風刺に満ちている。 面白かった〜! 悲劇の若い二人のゾーンに入った演唱がすごい! 主役の2人を取り巻く3人もそれぞれ歌手それぞれの個性を生かした演出で唸らされる! まさにオペラの新しい形はこれかも⁉︎と気づかされる。 皆様 お疲れ様でした! 大沼徹氏の演じたカペッリオ(=キャピュレット)は北野武の極道映画のビートたけし演じるヤクザものみたいだった。 まさに狂犬。 その男 凶暴につき、アンコントロール!! この獰猛な人物カペッリオを演じるにあたって芝居する側には大変な苦労があったようだ。普通のオペラの舞台ではここまで激しい立ち回りが演じられることはない。限界までの表現を肉体的にも精神的にも要求され、実際に歌手の繊細な肉体を危険なもので殴りつけるわけで、けがをさせないように大変神経を使ったそうです。大沼氏の弁「花束のシーンは、本物を使えるのがゲネプロからだったのと、怪我させないようにするので結構神経を使いましたね。毎回謝ってました(笑)拳銃も危ないですし。次は誰も傷つかないオペラがいいですが、」いかに真剣に取り組んでいるかですよね!本当にお疲れさまでした。 *** ベッリーニのオペラ「カプレーティとモンテッキ」は通常の上演ではロメオをメゾソプラノが歌う設定になっている。しかし今回はテノールの寺田さんがロメオを演じる。これはいったいどんなことになるのか絶対聞き逃せないと思った。 実際聞いてみて、そんなに私はメゾソプラノ版を聞き込んでいなかったので、非常に素直に入り込めて感情移入でき、感動した。音楽的にどこをどう変えたのかは素人なうえ勉強不足でわからなかったが興味深いシーンの連続であった。テノール2人の重唱があり、実に興味深かったし、やはりジュリエットとロミオのシーンは男女が演じると演劇的には説得力がある。 実際に男声テノールがロメオを演じたヴァージョンが最近他にあったのかどうか知りたいものだ。 ベッリーニのオペラ「カプレーティとモンテッキ」はシェークスピアの原作からかなり変わっている。とおしで見てみてドニゼッティのルチアに似た構成だなと思った。もちろんベッリーニの方が年代的には早いはずだが。合唱とロメオ(エドガルド)の関係性とかがすごく似ていた。 テバルド(ティボルト)は登場するが原作におけるパリス(許婚)の位置づけで、ジュリエットのお兄さんがロメオに殺された設定になっているが原作ではいとこのティボルトがロメオに殺されたのである。マーキューシオとベンボーリオは登場しない。とにかく大筋はロミジュリなのだが、全体としてはロミジュリと同じシーンはほとんどないのである。※ そこもなかなか興味深かった。そしてさらにそれをどう岩田氏が読み替えていくかもワクワクどきどきな思いで見入った。来年も続くのならやはりこういったレアものを取り上げてほしいと思った。 ※調べたらそれもそのはず。このオペラの原作はシェークスピアではないそうです。もともとイタリアにあった民話を元にしたということ。グノーのロメジュリとは別物なわけですね。 *** 最初に出てきたのは…死神 死神が誰なのかは見たらわかるのだが… 死神が舞台を動き回ると死人が出る。 死神は白い顔をしていて唇が真っ赤に裂けている 黒めがねをかけた黒尽くめの男たちが駆け込んでくる。 出入りだ。 ヤクザの組の抗争が始まったのだ。 カプレーティ組の若頭はテバルド(布施雅也)だ。 モンテッキ組の組長の息子ロメオが抗争の終結を打診してきたと 怒り沸騰で歌うテバルド。 高く美しい声。清澄な声だ。 そこに親方のカペッリオ(大沼徹)が現れる。 杖をついていて足をひきずって歩く。以前の抗争で撃たれて負傷したのだろうか? 髪もひげも白く染めることなく黒髪に黒いあごひげ。 彼の目は凶暴な獰猛さに満たされている 彼は一同を恐怖で支配している Giammai! ロレンツォは黒い衣装ではなく役どころとしては医者か弁護士。 唯一狂犬カペッリオに助言できる立場だ。 彼は抗争の終結を助言する しかし跡目を継がそうと思っていた息子(ジュリエットの兄)をロメオに殺されたカペッリオの恨みは深い。 ロレンツォは老人なのか膝が痛いのか常に膝を折っている。 カペッリオが恐ろしいのかもしれない。 テバルドは娘のジュリエットとの結婚を願い出る。 E serbato a questo acciaro すばらしい! カペッリオは承知する。 カバレッタ L'amo tanto, e m'è si cara, すばらしい! ロレンツォは伏せっているジュリエッタには 無理なことを示唆しようとするが カペッリオの言葉は絶対だ。 ジュリエッタに告げるために出て行くロレンツォ 平和の使者たちが到着する。 書状と花束を持ってきた大使一行が3名、そしてスポークスマンの男性。めがねをかけている弁護士風の男、実はロメオその人だった。 魅力あふれる甘い美しい声! 和平の申し出を憎憎しげな表情で聞いていたカペッリオはついにきれて暴れだす。 使者に捧げられた花束をつかむとそれを振りかざし大使とおつきをさんざん殴りつける。 あまりの剣幕に誰も制止できない。 ロメオの怒りのカバレッタ 大使一行は止めようとするが ロメオも沸点に達している La tremenda ultrice spada 全員が銃を構える Guerra a morte カペッリオはロミオの胸に狙いをつける。 かちっ 緊張感が高まる しかし次の瞬間…! 一瞬にしてその場は血の海に。 皆殺しだ。 撃たれた大使役の藪内さんの倒れ方がすごかった! まるで映画だった。 もんどりうって激しく後ろに吹っ飛び倒れる。 おけがしなかったでしょうか? 大使のおつき2人は大勢に羽交い絞めにされ、のどをかっ切られる。 ロメオは逃げる 残された遺体に黒い布をかけていく死神。 死んだ人間はおぞましいゾンビになって生まれ変わり、その場を徘徊し始める。 この死んだ人間の恐ろしい恨みの気持ちがさらなる悲劇を増幅させていくのだ。 そう恐怖の連鎖だ。 これは今の世界情勢を暗示しているようだ。 *** ジュリエッタの部屋。 枕を胸に抱えて歩いてくるジュリエッタ。 まだあどけなさが残る少女なのだ。 彼女は女性なのでロメオの言うように 逃げたりできない 家に縛り付けられている 女性が駆け落ちすればどういう運命が待っているかわかっている それに父親を愛している。 Oh! quante volte, oh quante ロレンツォが来る 駆け寄って抱きしめるジュリエッタ ロレンツォはロメオを連れてきた ヴェローナに戻ってきたロメオとの再会 もうめがねを外している このへんから主役の2人は完全にゾーンに入っていた。 もう2つの清浄な魂がそこに乗り移って息づいているようだった。 Fuggire? Che dici? いっしょに逃げようというロメオの願いを激しく拒絶するジュリエッタ はだしのジュリエッタが段を駆け下りたり、走り回って揺れる女心を表現する。 *** ジュリエッタの婚礼が行われるはずだったが、ロメオの連れてきた部隊がカプレーティ陣営を襲撃し、婚礼は延期された。 ロメオは変装してジュリエッタを連れ出しに来る。 しかし… Ferma. ロメオはカペッリオとテバルドに見つかってしまう。 ロメオをかばおうとするジュリエッタに疑念を募らせる一同 ロメオとジュリエッタは衆人環視の中、口付けをする ここで初めて暴力や死、恐怖に対抗するものとして「愛」が示される。 まさに捨て身の愛 人々(死せるものたち)は衝撃を受ける。 仲間の襲撃でロメオは逃れる *** 第2幕 ジュリエッタ 途方にくれている ロレンツォが来る ロミオは生きている よかった! ひとつだけ方法がある なんなのおっしゃって! 勇気はありますか 薬を取り出す 死んだように見せかける薬です 恐ろしがるジュリエッタ そこに父親が。 薬を胸元に隠すジュリエッタ まだ起きてたのか? Deh! padre mio, deh padre mio! このうちから出て行くことを決意したジュリエッタは悲壮な気持ちで父親に頼む 私を抱きしめて! 父親に抱きつくジュリエッタ 父親は驚くが娘の前では虚勢を張り続ける どけ。 カペッリオは娘を突き飛ばす この一連のシーン、とても胸が痛かったです 涙ながらに抱擁をせがむ娘 一貫してきつくあたる父親 誰もが胸を打たれるシーンでしょう。 行け! お願い… 部屋に戻るんだ 許してください… 再度ジュリエッタを払いのける ついにはカペッリオは杖を振り上げ倒れたジュリエッタを叩きのめそうとする ロレンツォが割ってはいる。 カペッリオはロレンツォをも突き飛ばす カペッリオはロレンツォにも不信感を抱く。 カペッリオが出て行くとジュリエッタはすぐに仮死状態になる薬を飲む *** ばかもん! テバルドはロメオとついに対決しようとする Stolto! a un sol mio grido テノール二人の二重唱、聞き応えがありました~~ しかしジュリエッタが亡くなったという報せが… 2人は凍りつく テバルドは拳銃をロメオに向ける しかし… 一人残されたテバルドはゆっくり銃を持ったまま歩き去る そして… 銃声が響く テバルドはジュリエッタのいない世界は耐えられなかった。それほどまでに彼女を愛していたのだ。演じていた布施さんにもテバルドの魂が乗り移っていた。それは布施さんらしい純粋な愛の思いを持つ魂だった。この作品ではテバルドは悪役ではなく、時と場所が変わっていればロメオの盟友ともなってしかるべき存在だった。ジュリエッタを真剣に愛していたからこそ彼女を得るために父親の前でせいいっぱい突っ張っていたが心根はとても純粋で優しかった。ロメオを殺さなかったのもそれでだ。演じていた布施さんは謙虚に語っている。「ただただ、必死に演じました。それが少しでもお伝えできたなら、テバルドも浮かばれます。」思いが伝わってくる一言だった。お疲れさまでした。 *** ジュリエッタの遺骸が墓に安置される このへんの幻想的な演出も見事 モンテッキのロメオの手下たちが灯りを携えてくる。しかし実は彼らはもう死んでいるのだ。彼らは魂になってロメオに付き添っているに過ぎない。彼らはさきほどの抗争ですでに殺されているのだ。彼らが持っている灯りは魂の暗示だ。 ロメオは仲間を去らせる やっと二人きりだよ… Deh! tu, bell'anima, ロメオは指輪に入れた毒薬を飲む ah--- ジュリエットが小さくため息を漏らす ロメオ様… 驚愕の瞬間 ジュリエットが起き上がる 喜ぶジュリエット。 ロレンツォから何も聞いてないの? 聞いてない。 行きましょう! 僕は永遠にここを出られない。 毒を飲んだのだ だめだ! 君は生きるんだ! ロメオは倒れて目を見開いたまま絶命する ジュリエットはショックで段の上に倒れて息絶える 人々は2人の姿に… そしてその人々は… 最後に残ったのは… 独裁者の末路。独裁者はたった一人になる。周りの人間は皆死に、この世にたった一人で残される。それが一番の罰なのではないか。そして後世まで呪われる。マクベスの独白のアリアにあるように、その墓はRespectされることなく、ひっそりとしている。 全幕了 悲劇の物語ロメジュリを超えて何重もの重層的な人間模様とトリックが仕掛けられていて大変心かき乱される公演でした。さすが岩田演出。最後にがーんと何重ものあっといわせる仕掛け!オペラの枠を超えて本当に演劇だったと思う。彼の要求に応えるのは歌手にとっても大変demandingなことだったと思う。お疲れさまでした! 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