カテゴリ:読書日記
本多孝好の文章はとても好きです。
書き換えのきかない表現だけで、小説が成り立っているところがとても好き。男性の一人称なのに、さっぱりしていて押し付けがましくありません。 自省をふくめて言ってしまえば、文章を書き物事を語る人間の「過剰」ないやらしさが表現からすけてみえる、そこを抑えようとする平易な文章に、プライドの高さがほのみえて、一人称の「ぼく」の姿が浮かんできます。 恋人を突然なくす話はいくつか読んだけれど、男性の書いた話のなかでは、この小説がいちばん好きだと思いました。読んだ直後だからそう思うのかもしれないけど。 この人の小説をもっとたくさん読みたいけれど、新作を読むたびに、もう次はないのかも、と思います。あんまり瑞瑞しいんだもの。こんな魂と向き合うような文章で小説を織り上げていくのは、さぞかし、くたびれることでしょう。 あ、こんな恥ずかしい表現をしていると「ぼく」に失笑されてしまうわ。 本屋さんに行って本多孝好の文庫本(今のとこは2冊)が平積みされていたら、なんとなく安心します。本屋さんめぐりをしていると、手描きポップがいちばん多い文庫本でもあります。 ひさしぶりに、本を抱いてまるまって眠りました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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