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2006年06月11日
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カテゴリ:読書日記
江戸川乱歩

「ハハハ……、おまえたちの手にはおえないよ。相手はインドの魔法使いだからねえ。(略)インド人は今、地面に種をまいたかと思うと、みるみる、それが芽を出し、茎がのび、葉がはえ、花が咲くというようなことは、朝飯前にやってのける人種だからねえ」

なんだ、そんな魔法。インド人もびっくりだよ。

二十面相が謎のインド人に化けて、世の中を恐怖せしめるお話でした。でもって、前作の「怪人二十面相事件」を機会に結成された少年探偵団が大活躍です。それにしてもどうして、二十面相は、よりにもよって少年探偵団の団員の家をターゲットにするんでしょうか。このときには団員はまだ十人しかいないのに、世間が狭すぎます。
ああ、楽しい。むきになっちゃって、かわいいなあ、二十面相。

昭和12年に発表された小説です。今読んでも読みやすいし、おもしろい。大乱歩が、こども相手のものだからって、ちっとも手を抜いていないからだと思うのです。自分の知っているもの書けるものすべて、少年たちを楽しませるために、惜しみなく投げ出している。

二十面相は9日後に宝物を頂戴しますって予告状を出して、次の日には「8」と書いた葉書を送る。その翌日には、電話をかけて「あと6日」、さらに翌日にはお店のショーウインドウに「7」の数字を書きなぐる。
(あ、これは「緋色の研究」と同じじゃないかしらん。)
読みながら、はるか英国の名探偵に思いをはせ、素直にどきどきする。
だって次の日には、もっと近くに数字が近づいてくる。二十面相は、どこにいる?
家内の、誰に、化けている?

二十面相は最初、「黒い魔物」とやらに化けているのですが、これが最高。
月の美しい夜に、あなたの影に化けるのです。
足元に、あなたの影が横たわる。あなたが動いても、影は動かない。あなたは不気味に思って走って逃げる。影はそこに置き去りにされたまま。こわごわ、置き去りの影をみつめると、影がけらけらと笑い声を上げる。真っ黒い顔のなか、白い歯をむきだしにして。

昭和12年。夜は今よりももっと暗く、月は今よりもはるか明るかったのでしょう。
そうしてロマンチストな怪盗と、ダンディな探偵。赤い頬の少年たち。
オレンヂの夢の中、いまだ燦燦、かがやいている。





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最終更新日  2006年06月11日 15時04分07秒
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