テーマ:幻想的ナ物語ノコトナド(100)
カテゴリ:読書日記
恒川光太郎 角川書店
雷ひびく嵐の夜に惑う気持ちで読みきれる本。 冬と春のあいだに、雷季があるという。 人が消えるという。 死があるという。 二度と会えぬという。 光る刹那のイメージと、幼い頃の生々しい悪意の記憶、ひみつの冒険や真夜中の家出、不安定な感じ、夢でしかない感じ。 それがよかった。 薄い場面を短い文章で、ぱらぱらと重ねた感じ。プレパラートのカバーガラス、水で張り付いて、何枚重なっているか判らない感じ。かんぜんに、物語。それが、よかった。 前半のが好きだなあ。後半はちょっと、最近はやりの不条理マンガぽかったので。でもうまい。筆力でぐーっとひっぱった。これ文章ヘタな人が書いたら、きっと読んでいられない。ちっとも乱れないリズム。読み手のことを考えて文を書く人だと思った。だから、読んでいて、気持ちがいい。安心して、魔法にかかる。 醒める悪夢は楽しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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