テーマ:本のある暮らし(3301)
カテゴリ:読書日記
加納朋子 文藝春秋
加納朋子は「駒子」シリーズの「ななつのこ」と「魔法飛行」が一番好きで、あと「ガラスの麒麟」がすごく好き。 「アリス」や「ささらさや」も好きなのだけど、全般、初期の頃の方がおもしろいと思ってる。(とか言ってて「ささらさや」読んで泣いたんですよ、この人。) 加納朋子さんはとても優しい人なのだと思う。 お書きになる話はどれも優しいし、やわらかい。 デビューの頃は駒子と印象かぶるくらいに、それでも茶目な感じがした。 年がたつごとに当たり前だけど、落ち着いてきた。 それもなんだか、お母さんぽい感じに落ち着いた。 庭先走り回るこどもをみつめて、怪我をしたら細い指で絆創膏を貼ってくれる。 ケンカもコミュニュケーションのうち、とやわらかにみつめて、度を越しそうになったら、穏やかに止めに入る。 すべては、母様のてのひらの上。 「てるてるあした」とか「スペース」とか、そんな印象強くて、読んでいてちょっと窮屈だった。 おもしろいんだけれど、やさしくてやわらかいんだけど、ちょっと過剰で居心地悪い感じ。 好きな作家さんには変わりないけれど、もう「大好きな話」には出会えないかもしれないなって、ちょっとだけあきらめてた。 けど、「モノレールねこ」は違ったよ。 家族がテーマだって言うから、覚悟して読んだのに、そんなに重たい感じがしなかった。 優しくてやわらかいのは同じなんだけど、からりとした感じ。これなら読めると思った。 初期の作品が、ふわふわのフレアスカートとするでしょう。薄くて、軽くて、風にそよいで、羽みたいな。 次の時期の作品は、お腹のとこがゆるいローウエストのスカートと、前開きのガーゼのブラウス。お化粧とかしてなくて、でもとても幸せそうな母の顔。 で、今は。 こどもが大きくなって、ある程度手を離れたから、ちょっと一人でデパートまで出かけてみようかなって。フレアスカートは相変わらずなんだけど、しっかり裏地がついたスカートで、ブラウスの襟もきっちり。早足で歩いて、電車の中ではお腹の大きなお母さんにスマートに席をゆずる。 そんな感じ。 これからがすごく楽しみ! きっともっと、おもしろくなる。 「モノレールねこ」の中では、ザリガニ目線で書かれた「バルタン最期の日」が好きでした。「ポトスの樹」もお気に入り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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