食べたり読んだり笑ったり

[食べ歩き] カテゴリの記事

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• 道案内

  わたしは方向音痴なのですが、よく人様から道を聞かれます。（あと、写真を撮ってと頼まれます。）心から親切に質問にお答えしようと思うのですが、繰り返すようですが、私は方向音痴です。八丁堀のお好み焼き屋「みっちゃん」の前をとおったら、行列ができていました。（あー、お盆かー。）帰省された方や観光客がお寄りになっているんでしょう。「みっちゃん」は広島のお好み焼きの創始者の店の一つであるのです。次の交差点のところで、声をかけられました。「あのー、このあたりに、『みっちゃん』ってお好み焼き屋、ありますか？」「あ。みっちゃんなら、この角まがって、真ん中くらい。人並んでますから、すぐわかりますよ。」答えて、しばらく自転車で走って、ふと気がつきました。「みっちゃん」はあの「みっちゃん」でよかったのかしら？広島には「みっちゃん」ってお好み焼き屋さんがたくさんあります。お弟子さんたちなのか親戚なのか、どんな関係にあるのか、わからないのだけれど、その店店で味が違います。質問された場所から一番近い「みっちゃん」は八丁堀の「みっちゃん」だけれど、その場所から徒歩圏内で中央通の「みっちゃん」本通のはしっこにある「みっちゃん　いせや」少し遠いけど、私が一番のお気に入りである、橋本町の「みっちゃん」まてよ、「みっちゃん　いせや」は本通りのうらっかわ、立町になるのかな、あそこにもあるぞ。どの「みっちゃん」もおいしいし、どのお店もガイドブックに載っているので、お好み焼きを食べてみたいだけだったら、八丁堀の「みっちゃん」で大丈夫だと思うのだけど、まさかお友達と「みっちゃんで待ち合わせ」なんか、してないよね？ちゃんと気をつけてあげればよかった。ひーん、ごめんなさい！！さて。お気に入りの橋本町のみっちゃん、キャベツがたっぷりで、よく蒸されてて甘いところが大好きです。ソバがかなり太いのも特徴かな。５月に行ったら、店内に桜塚やっくんのサインがありました。焼くのに時間がかかるので、おやすみの日のお昼ごはんに、食べに行きます。この頃行ってないや、行きたいな。

  2007年08月14日

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• 勝

  お昼ごはんを食べに、とある喫茶店に入ったら先客がいました。職場の上司で、呑み友達です。相席させていただいて、つれづれお話していたところ、「なんか、お前の顔見てたら、豚足食べたくなってきた。今日、ヒマ？」「はーい、」って二つ返事で了解したんですけれど、もしかして失礼なこと言われていたのかしら。広島市は中区十日市の「勝」ってお店に行きました。焼肉とラーメンのお店……って看板は出ているけれど、カルビとかロースとか、おいてありません。ホルモン屋って方がぴったりくるかも。豚足とか豚耳とかレバーやタンを、お店の「勝っちゃん」っておじいさんがガスで焼いて出してくれます。生ビールは最初の一杯はついでくれるけど、二杯目からは、忙しくなると「セルフでついどくれ」って。カウンターのすみでは大鍋でおでんがぐつぐつ煮えていて、やっぱりセルフでとって食べます。おでんは串に差してあるから、お勘定のときに本数を数えて自己申告。勝っちゃんは小銭を数えるのがめんどうらしく、お勘定のときはおうおうにして１００円以下を切り捨てにしてくれます。こないだいったときは、５千円札だしたら、６千円おつりをくれた。どうも一万円札と見間違えたらしい。ちゃんと返しましたよ。返さないと、この店、つぶれちゃうもん。このお店の豚足と豚耳は絶品！ちっともくさくないし、身離れがよくて食べやすいし。お手洗いの鍵が運がよくなければかからないことなんか、気にしないもんね。（３回くらい試してやっと鍵がかかる。けどやっぱり怖いから、ずっと扉を押さえてないといけないのでした。お客さんも心得ていて、誰かがお手洗いに入っていると、決して扉に手をかけない。）ああ、食べた食べた。呑んだ呑んだ。４人で飲み食いしたんですけど、席を同じくした同い年の独身男性が「僕は爬虫類が好きで、キミの顔は爬虫類に似ているから、僕はキミの顔が好きだ」って言ってくれました。酔っ払いのたわごとなので、「まあ、ありがとうございます」くらいで返したんですが、たいがい失礼だと思うわ。「僕は美人じゃない人が好きだ」って、やたら繰り返して言ってくださいましたわよ。どうせ美人じゃないですよーだ。まあいいけど。楽しかった！

  2006年05月02日

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• 

  ソバ屋で憩う

  　あこがれてたんだ、「ソバ屋で憩う」新潮文庫をぱらり立ち読みしたのは、１０年ほど前のこと。食いしん坊っぷりは当時も今も変わってはないのですが、あのころ私は若かった。お酒なんか、呑めなかったもん。マクドナルドよりもロッテリア派、上京したらファーストキッチンで昼ごはん、シェーキーズで晩ごはんの私たちに、まったり蕎麦屋に突入する勇気も余裕もありゃしない。今週はお仕事が立て込んでいて、ばたばたばた。出張あり残業あり、お家になかなか帰れなくて、外食週間です。この日も１３時間労働で、ちょっとふらふら。もうスーパーも開いてないし、晩御飯、どうしようかな。あかるい明かりのついた蕎麦屋の前をとおりかかりました。（くたびれないものが、たべたいな。）ラーメンやだ。お好み焼きやだ。パスタやだ、パンもいや。コンビニ弁当は、塩辛いばかりで味がない。（えい、はいっちゃえ。）お客さんが誰もいない蕎麦屋に、ふらり、入りました。一人で蕎麦屋は初めてだー。（旅先では、あるよ。）ちょっと緊張。蕎麦味噌なめながら、熱燗一本頼んでもよかったのだけど、お酒を呑む体力がなくあきらめる。冬でも冷たい蕎麦を頼むのが通だとかいうけれど、野暮でもいいから食べたいものが食べたいの。貝柱そば、というのを頼みました。はじめてのメニュー。お蕎麦の上に海苔のお座布団をひいて、こんがり焼いた大きな貝柱がふたっつ、正座ましましてました。硬いくらいにしっかりした蕎麦（手打ち手きりなので太さがばらばら。食感が楽しい）と、かつおの味が濃すぎないだし、辛すぎず甘すぎず、おいしゅうございました。一人でお店ご飯を食べるのは、本を読むのに似ていると思います。自分の体が喜んでいるのを確かめながら、黙っておいしいものを食べる。そっと体の声をきく。（まだ、だいじょうぶ。）体があたたまり、背筋が伸びていく。広島市は西区横川の松風庵というお蕎麦屋さんです。通ごのみの方にも、限定十割蕎麦なぞ、お気に召すのはないですか？体力もどったら、酒のみに行くぞー、おーっ！

  2006年02月16日

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• ひまわり

  広島市中区八丁堀の「ひまわり」ってお店にいきました。「つけ麺、焼肉　ときどきシンガポールナスカレー」って看板が出ています。職場のお姉さんの行きつけのお店で、予約とってくれてたの。メニューのほとんどないお店で、焼肉はお店がおすすめを出してくれました。最初がびっくり、霜降りのお肉。「生でも食べれるよ、」って言いながら、マスターは生わさびを摩り下ろしてくれました。炭で表面を焼いて、まだ中身がとろりんとレアなところにわさびをのっけて、お醤油をちょっとつけて食べる。おいしかったー。続いて出してくれた手造りソーセージ。かじるとびっくりするくらいシソの味がします。ほとばしる肉汁。だけど、さっぱり。ホルモンも出してくれました。これがまた、おいしい。ぜーんぜん、臭みがないの。最後に野菜がたっぷりのったつけ麺を出してくださったのですけど、私はお腹いっぱいになりすぎて、途中でギブアップ。美味しいのに悔しいってじたばたしていると、周囲から箸が伸びて、食べるの手伝ってくれました。良かった。完食！ダイエットは、明日から。えへへ。

  2006年01月27日

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• さんしょううお

  新年会、新年会。広島市は中区十日市にある居酒屋さん、「さんしょううお」へ晩ごはんを食べにいきました。女性ばかり、三人で。まだあたらしいお店なので、お客さんはさほど多くありませんでした。ビールのんで長話してると、４時間もたっちゃった。さんしょううおって変わった名前だな、と思う。別にさんしょううおの煮つけだの、お刺身だのは、メニューになかったですよ。大根と水菜のサラダを頼んだら、水菜の入荷がなくて、サービスですって拍子に切った大根のサラダを出してくれました。この大根、全然、繊維が口にさわらなくて、甘いの。あれれってびっくりしていたら、お店のお姉さんが「特別に仕入れさせてもらってるんですよ。」って、ほっこり笑って言いました。お刺身のつまにも使うみたい。よかったら、食べてくださいって。ああ、好きになれるお店だな。コロッケおいしかったなー。薄切りタコのお刺身もよかったなー。おでんも塩辛くなかったし。ビールがすすむ、すすむ。よく飲んでるからおつまみにって、野菜を薄く切って揚げた野菜チップスもサービスで出してくれました。これもおいしかった！お勘定のとき、店長さんが出てきて「いつもこんなに飲まれるんですか？」「大体、こんなもんです。」じゃあって、名刺の裏に生ビールサービスって書いたのを記念にくれました。で、結局、何杯のんだんだか、覚えてないんですけど。７、８杯？もっとかも。酔っ払ったのは、たしか。あー、うまかった、うしまけた。

  2006年01月20日

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• 天下一品

  ここのとこ、お仕事が立て込んでいて、ばたばたばたとした毎日です。お昼休みもちゃんととれないし、なかなかお家に帰れません。ピアノのレッスンはさぼったし、図書館にも行けてません。なにより問題は、銀行のキャッシュコーナーに行けないことでしょーか。お財布が薄っぺらになっちゃって、いい加減おろしにいかなくちゃ。うわあ、手数料払いたくないよう。明日はなんとか、お昼に外に出れるかな？忙しくなると、むしょうに体に悪いことしたくなるんですよねえ。お仕事からの帰り道、「天下一品」でラーメン食べてきました。こってりしてて、塩辛くって、ヘンな匂いもする、ざらざらっとした舌触りのスープ。黄色い色の、断面の円い、太い麺。濃い味だなー、と感涙にむせぶ。最初はインパクトに驚き、半分食べ終るころには、味に飽きる。スープは飲まない。だって、濃いんだもん。このラーメン、美味しいのかまずいのか、よくわかんない。でもなんでだか、半年にいっぺんくらい食べたくなるんです。サービスで、食べ放題の小さなゆで卵がテーブルのカゴに積んであって、いっつも、ふたっつは食べます。コレストロールなんかに、負けないもんね。ふふん。闘志かきたてられて、お店を出る感じ。あと半年は「天下一品」のラーメン食べなくてすむかな。えい、がんばるぞ。がんばるぞ。

  2006年01月12日

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• 韓国料理「たましま」

  先輩と韓国料理を食べに行ったので、今、口のなか、ぽやんとゴマ油の匂いがします。おいしかったー。韓国料理って言っても、焼き肉屋さんじゃなくて、オープンキッチンの創作韓国料理・ダイニング居酒屋です。たとえば、アオリイカのお刺身。ふた切れほどのイカとシソとネギがのったサンチェに、コチュジャン風味のタレをかけて包んで一口で食べました。コースでお願いしたのですが、蒸し鶏のサラダとか、鳥のから揚げとか、一般的な居酒屋メニューも粉唐辛子のきいたタレにつけて食べると新鮮です。地鶏のから揚げ、あれは肉も良かったんでしょうけど。ひさびさにおいしいから揚げを食べた感じ。全然油っぽくなかったし。ビールがすすみまくりです。韓国料理。チヂミ２種類。骨付きカルビと手羽の焼き肉。小さなチゲで出た茶碗蒸しスープ。いうなれば若布スープの味をした茶碗蒸し。ほっとする味、卵あまいし、ってかみしめると唐辛子の輪切りを噛んでしまって、とんでもないことになりました。えい、意地を張って、黙ってこらえていたけれど。ちょっとしばらく味がわかんなかったよ。しめに韓国のりの一口おにぎりが出ました。「あー、前にテレビでやってた。辺見エミリが言ってたのかな。家で飲み会するとき、他の料理は買ってきたお惣菜でいいけど、最後だけ、おにぎりを作るといいんだって。手にゴマ油をつけて小さく握って、韓国ノリで包んで出したら、酒飲みの人にもいいし、男の人は一発でおちるって。」「そりゃ、俺も落ちる。君、やらないの？」「手が油でベタベタになるから、いや。」サラダ油で握ってくれてもいいのに、なんて、ぶつぶつ言ってました。あれれ、少しは元気になったかな？この先輩、最近落ち込んでいたから、心配してたんです。良かった。笑った。秘伝の伝授のおかげか何かで、とりあえずおごってもらえて良かったです。いい人だー。にこにこ。

  2005年12月14日

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• とおり・ゆう　フランス料理を食べに行く

  フランス料理、食べにいきました。フランス料理ですよ、おフランス料理！どきどきです。広島市中区は立町の「ルイス・キャロル」ってお店です。いちばんお手ごろなコースで七千円。値段のことから書いちゃってごめんなさい。だってこんなお高いお料理、食べたことないんだもん。お店の雰囲気は赤。絨毯も壁も臙脂なの。金色の蝋燭立て、窓の桟。重厚な木の椅子。真っ白なテーブルクロスの掛かった広いテーブル。まぶしくもなく薄暗くもない、夕暮れのような照明が静かに落ちていました。「お飲み物のご予算は？」ごそごそ、うろうろ座った私たちに、執事のような年配の男性が尋ねました。（コースの半額ぐらいが目安なんだって。）だから、それぐらいで。男性はゆっくりとうなずき、にこりと笑いました。スモークサーモンとホタテのサラダ。スパークリングワインで乾杯しながら。優しい執事の気配りで気もほぐれてきました。ぽつりぽつりとほどける会話。グリンピースのスープ。美味しい。未熟豆の濃い風味。海老のウニソース。白ワインが注がれます。甘くて酸味の少ない、フレッシュなワイン。私たちはすっかりくつろいで、会話のあぶくが弾けます。あちらと話して、こちらと笑う。次は、子羊の赤ワインソース。飲み物はもちろん赤ワイン。「赤ワインにはカンタンに砒素をしこめるんですよ。」注射器さえあれば、いいんです。ゆらゆらと冗談めかしていう執事。テイスティングをした友達がきゃあ、という。「みんな、死んだらごめんねえ。」「だいじょうぶ。砒素は即効性だから、入ってたらもう死んでるって、」愛想なしに言う私をちらりと見て執事は言います。「遅効性の毒、といえば入眠剤。美しいお嬢さんがた、男性と飲むときは気をつけて。」これがレストランなんだな、と、ふわり思いました。非日常な空間。魔術的な。なんて、楽しい。デザートまでしっかりたいらげて、お腹もいっぱい。しあわせ。しょっちゅうはできないけれど、たまにはいいな。おもしろいです、フランス料理。

  2005年07月25日

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• 紅坊のばんごはん

  来週で閉店することが決まっている広島市は西区の「上海家庭料理　紅坊」へ、晩御飯を食べにいきました。いつもランチに行っていたので、晩の来訪は初めてでした。小上がりの座敷（掘りごたつ）に席をとっていただいて、さて集まったのは４人。中華は４人くらいで行くのが一番楽しいのかもしれません。いろんな料理を少しずつ食べれるし、みんなの顔を見ながら話ができるし。楽しかった。おいしかった！まずは中華の前菜。お茶の風味のついた豚の胃袋の蒸したようなのとか、ねっとりしたゼラチン質があまくまとわりついたハムとか。初めて食べる味、だけど去年、台湾の途を歩いていた時に、してきた香り。定番のクラゲの酢の物もしゃきしゃき。おまけで出してもらったジャガイモの中華サラダ、生のジャガイモの風味が残っていて、そうだよ、これが６月の味だよ！それから中華の定番、季節の単一青菜の炒め物。私はこれが大好物、そういえば５年くらい前に上海に旅行に行って以来、恋してしまったお料理でした。現地で食べるより、すこしだけ緑の味が薄かったけれど、それは日本の風土で育った野菜のやさしい風味のせいだと思う。白身魚の紹興酒蒸し。卵白の衣をまとった白身魚が、ほろほろ口の中にほぐれていきます。淡雪のような食感。口の中にすっと残る、旨味。ホタテの貝柱のチリソース煮。ナスのトマト煮上海風。辛くなくて、しょっぱくなくて、油っぽくなくて。食べるとするする体の中に落ちていく。話に夢中になると箸の止まる人たちの集まりだったので、お店に失礼になったらいけないな、と最初は思っていました。どうして、どうして。お料理がきてとりわけていくと、そこから一分くらい、みんな黙っちゃうの。あっという間にお皿が、空になる。最初はビールで乾杯したのですが、途中から紹興酒に切り替えました。お燗した紹興酒に干し梅を入れて飲むの。初めて紹興酒を美味しいと思いました。デザートも最高。杏仁豆腐万才！八宝甘粥（赤い甘いシロップで何種類かの豆をお粥にした上海の三時のおやつ）、万才！！こんないいお店が来週までだなんて。神様、あんまりです。みんなに「どうしてもっと早く教えなかったんだ」と責められました。もう一回くらいは行けるよ。また行く？たくさん飲んで食べて笑ってしゃべって、口を休ませることのない３時間。まさに、口福。

  2005年06月30日

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• 上海家庭料理　紅坊

  大好きなお店。週に一回、お昼ご飯に通います。広島市西区の中広。牛肉ラーメンが秀逸。台湾で食べた牛肉麺の味。ラーメンっだって思って食べたら味になじみがなくてダメかもしれないけれど、「牛肉麺」って食べたら台湾で食べたのよりずっと美味しい。日替わりランチの炒め物もいいの。油っぽくないし、しょっぱくないし、野菜がしゃきしゃきたっぷりで、食べると体が喜ぶの。中国に旅行に行って、なんにでも醤油をかけて食べる人、刺身が食べたいって異国のご飯を食べる前から言っちゃう人には、合わないと思う。「中国行ったら毎日中華だよ、わーい中華中華。」なんてはしゃいじゃう人にお勧めの店。路地のすみっこに、つつましくあります。中国の方が二人して運営しています。開店して、ちょうど一年。こんなに素敵なお店なのに、今月いっぱいで閉店するんだって。どうしよう。どうしよう。店長さんは、淡々と、ただ淡々と、話してくれました。お店を開いたころの夢。おいしいものを作ればいいと思っていたのに、それだけではない経営の難しさ。日本の人がお店を開くより、ぼくたちには、ずっとたくさんの制約があるんです、って。まぶしいものを見る眼差しで、やさしい声で、へたくそな日本語で、まもなく失われる店の中、ぽつぽつ、彼は語りました。かたわらで、料理担当の男の子が笑っていました。２３歳、まだ若いです。彼とそんなに年が変わる風でもない店長は、ふんわりと彼を紹介してくれました。ども、って彼は言った。いい顔で、笑った。私が美少女だったら良かったのに。らちもないことを思いました。この人たちがこれから先何度も思い出すかもしれない、夢のお店の記憶の中で、うつくしい存在になりたかった。今月末までに、もう一回はこのお店に来ます。約束しました。大好きなの。大好きだったの、このお店。

  2005年06月24日

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• 恐るべきさぬきうどん　麺地巡礼の巻

  タイトルがいいですよね。水曜スペシャルみたいで、なんべん見てもうっとりしてしまいます。　（水曜スペシャル・・・今となってはマボロシのような番組。昭和５０年代、金曜プロレスとならんで我が家お茶の間テレビの定番でした。川口探検隊が世界の秘法・秘蹟を求めて命をかけて冒険に出るのです。たいていCＭの前に古代人の落書きとか毒サソリとかがみつかるので、見始めるとお風呂にも入れないし、トイレにも行けないのでした。）私の家にあるのは新潮社のOＨ文庫版。２００１年の発行です。もともとは１９９３年に（株）ホットカプセル発行の新書サイズの本、だったと思います。見かけたことがあるんです。当時広島にしかなかったコンビニ、ポプラでフェアを組んで売ってた時期があったので。本屋さんにはありませんでした。ちなみに（株）ホットカプセルとは、「タウン情報　かがわ」などを発行している地方の弱小（失礼！）出版社です。そう、この本は「タウン情報かがわ」の編集長が、若い編集部員ひきつれて、讃岐の穴場のうどん店を探検するレポート集のようなもの。閉店したお店もなかにはあるし、ローカルすぎて理解できない話題もときどき出てきますが、そのなまなましい勢いがおもしろいです。「グルメ本」にカテライズしたらつまんない。この本に掲載されたお店がすべて存在しなくても、この本は「読み物」として生き残ります。なんて軽妙な語り口！若き編集長は大石内蔵助に似た為人、田尾和俊さん。愉快です、痛快です。ところで、わが町広島にも、讃岐うどんに負けない名物、お好み焼きがございます。ちょっとだけ、この本にも出てきます。広島の人がお昼ご飯に「フラッとお好み焼き屋」に立ち寄ることに驚愕する田尾編集長。「フラッとうどん屋」とおんなじことかと納得をして、それでも飲み屋帰りのお好み焼きはないだろうと、類推を重ね章を変え、飲み屋帰りのおすすめ「うどん屋」の紹介がはじまります。あっまーい！ここのくだり読んだらいつも思うのですよね。広島の人間は、飲み屋帰りにお好み焼きを食べますよ。いつもいつもじゃないですし、みんながみんなじゃないですが、別に変わったことでもないです。個人的には飲んだあとには、皮ぱりぱりでキャベツ多めでモヤシ控えめ、それをよく押さえて薄っぺらになったお好み焼きが好みです。あ、もちろんソバ入りで。今日のカープの勝った負けたを話題にしながら、お好み焼きをつつくのです。まれに巨人ファンが店主のお店があるので要注意。そういえば、今週はお好み焼きを食べてないなあ。今日のお昼に行こうかな。

  2005年04月23日

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• かまたま

  初めて食べました、釜玉うどん。広島市は西区横川にある「うどんや」でいただきました。ゆであげたうどんに生卵をからめて、ねぎとしょうゆをふって食べます。和製カルボナーラの呼び声もあるというけど、違うよねえ。ベーコンが混じってるわけでも胡椒がふってあるわけでもないし。むしろ卵かけご飯に似ている味だと思いました。だけどうどんは、ご飯みたいに卵を吸ってふくらまないので、食感がとても良いです。つるりと飲んで滑らか、きゅんとかんで濃厚な、卵とうどんのハーモニー。おいしかったー。３００円の至福の昼ごはん。福岡に旅行に行くと、自分用に辛子明太子のきれっぱしの詰め合わせを買うことにしています。お土産用のきれいな形のパックより安くてお得です。広島までの帰りの新幹線に、白ご飯の多い駅弁と缶ビールを買って乗り込みます。冷たい白ご飯の、米の甘みの立ってるところに、ほぐれた辛子明太子をまぶして食べると、これ、最高。ビールがいくらだって飲めちゃいます。・・・という話を高脂血症の人に語って、泣かれたことがありました。あの病気は、とにかく卵をひかえないといけないんですってね。最近むしょうにうどんが食べたいのは、今、村上春樹の「海辺のカフカ」を読んでいるせいだと思います。村上春樹の本って食欲中枢に訴えるとこがあると思うんですが。高脂血症のお友達には、かまたまうどんと「海辺のカフカ」を内緒にしておかないといけません。特に「かまたまめんたいうどん」なんて美味しい存在があることを知られてはいけません。意地悪でいってるんじゃないですよ、彼の健康のために言ってるの。・・・今度、こっそり食べに行こう。

  2005年04月22日

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• ちっちゃいけれどぜいたくをしたおはなし

  モーニングセット食べました。ひさびさに。朝ごはんを旅行じゃなくてブランチじゃなくて、ちゃんと朝ごはんとして、お金だしておでかけしてお店で食べるのって、すごーく贅沢ですねえ。おでかけの場所は、広島市中区の鷹野橋商店街にある、ブラジルってパン屋さん。パン屋の奥が喫茶店になってます。ふっかふかのトースト２枚と、にんじん色のドレッシングのかかったミニサラダ。二つ目の目玉焼きに、その目玉焼きの真ん中にうずもれたウインナ。それからＴｅａ　Or　Ｃｏｆｆｅ？おかわりいかが。日本で一番さいしょにモーニングをはじめたお店だってグルメ本に載ってました。だけどお店のどこにもそんな説明はありません。たぶんすごく古くからあるお店です。お店はくたびれることなく、どっしりと落ち着いてそこにあります。喫茶室の窓からレンガの壁と、中庭が見えます。パン焼き釜もすこしだけ。焼きたてのパンがレンガ敷きの通路をワゴンで運ばれてきました。その向こう、冬の最後の雪がひとひらふたひら、ひびわれた紅いレンガに消えていき、蔦のみどりの葉がゆれる。モーニングセットを食べている人はたいてい一人で来ています。コーヒーだけ残してもらって経済新聞を熱心に読んでいるおじさん。パジャマみたいなジャージをきたおじいさん。緑のコートを椅子の背にかけた、きれいな女の子はレポートを書き始めました。大きな口であくびをするのは、よれよれのシャツを着た男の子。たぶん近所にあるミニシアターの深夜上映を見た帰り道。私はといえばカリカリの目玉焼きをフォークでもしゃもしゃ食べながら、この小さなトリップに興奮しっぱなし。おともは薄くて軽い文庫本、やっぱり一人で来ています。レジを打ってくれたのは、上品な小さなおばあさん。きっと昔はこの商店街の小町娘だった。ゆっくりと小銭を数えて、両手でおつりをくれました。鷹野橋商店街は広島の繁華街から少し遠くに位置します。ちょっと前までは学生街だったのだけど、広島大学が移転して静かな町になりました。広島の町はあの夏に焼けています。だからそんなに古い町ではないはずなのに、懐かしいにおいを濃くしながら、この町はひっそりとたくましく生きています。

  2005年03月27日

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