カテゴリ:美術
つまり貨狄は、たまたま水に浮かぶ柳の葉に乗ったクモが、風に吹かれて流れ行くのを見てハタと思いつき、舟を発明したというのです。この屏風でも、画面の上から薄墨の柳が垂れ、その下の水面には、柳の葉に乗った蜘蛛が描かれています。注意して見ないと、見逃してしまうのですが……。 一方、12歳で元服した光源氏は、すぐ桐壺帝の意向にそって左大臣のひとり娘、つまり葵の上と結婚することになります。しかし葵の上は4歳も年上であり、その端正にとりすました人柄に、源氏はなじむことができませんでした。 そうした源氏の胸中には、元服ののち席を同じくすることが許されなくなった藤壺の面影がつねに抱かれていました。源氏は新しく造営された里邸の二条院に、藤壺のような理想の女性を迎えてともに暮らしたいものと夢見るようになります。そこに現れたのが紫の上でした。
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最終更新日
2017.02.03 06:00:06
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