櫻御殿妖怪姫紫歌日記

母は、今日長姉の所へ出かけました。
年末に会ったきりですからほぼ2ヶ月ぶりです。

この伯母は四人姉妹の長女ですが農家へ嫁ぎました。
お姑さんはお里が元武家だったそうです。
26才で夫を亡くし女手一つで3男3女を育て上げました女傑です。

そこの長男の嫁ですから大変でした。
伯母が嫁いだ時は女の小姑さんは皆様嫁ぎ
末っ子の男の小姑さんが残ってました。

朝、古い大きな土間の台所で冬暖かく夏涼しい下駄は履けず
ゴムの音の立たない草履を履いて朝餉の支度したそうです。

それは何故かと言うと姑が溺愛した末弟さんが物音に
神経質で目を覚ますからです。

その弟さんも独立して別に家を構え農家からお嫁さんを貰い
農作業を手伝いに来るようになりました。

伯母はほとんど農作業は出来ませんでした。
姑に仕事を比べられとても辛い日々だったそうです。

また一番上のお義姉さんが近くに嫁いでいてしょっちゅう
お里帰りしてお蔵の書画骨董を持ち帰ったのです。

そのお義姉さんも痴呆になり末弟さんは早死にして
義妹さんも寝たきりになり口も利けません。

34年間姑に支え、その間に自分の長男婚約者を残し不慮の事故死
末娘は出産後直ぐ無くなり長女は遠くへ嫁ぎ次男が後を継いだのですが
嫁が不承不承なので自分の親の所へ入り浸りです。

農閑期には選果場へ勤め家計を助け必死で働きました。
そのせいか足腰が使いすぎで老化、今は歩くのに不自由してます。

母と嫁の留守に電話でお喋りするのと
実家の墓参りや温泉へ行くぐらいの楽しみです。

母は早くに夫に先立たれましたが、この伯母とどちらが幸せでしょうね。

焚き火をば　今朝も早くに　農婦居り

選を通りました掲載句です。