『思い出さされた心無い流行語』
『1970年代終わりは、妖怪「口裂け女」が話題を独占した。・・・』で始まる地元紙のコラム記事があった。
私にとっては、誠にもって、心もとない人びとによる嫌な流行語であった。
と、いうのは、私が小学生の頃、私たちのクラスに病のせいであろうと思うが、口元が裂けていたので6年間ずっとマスク姿の女の子がいた。
昼には、当時は給食などなかったので、持参の弁当を、自分の席でクラスのみんなと一緒にマスクを半分外しながら、食べにくそうにしながら、すすりこむようにしながら食べていた。
医療のすすんだ今の時代なら、整形ですぐにでも直せることであろう。
何時の時代でもあるように、嫌な言葉を浴びせる者もいた。
しかし、今の時代ほど悪意に満ちたほどではなかった。
また、逆に、温かい目で彼女に普通に接する者も大勢いた。
彼女の、なにごとにもめげず6年間ほとんど休まずに通った姿には、敬服し、今でも忘れることがない。
彼女から、大きなものを学ばせてもらったことは、私の人生にとっても、人としてのあるべき姿を学ばせてもらった忘れることのできない貴重な小学生時代であった、と、思っている。
こんな経験を持つものとしては、それが例え妖怪であっても『口裂け女』の話題は、目と耳を背けたくなるほど、否、直ぐのでもこの世から葬りさるべき話題であった。
それを、忘れた頃に思いださせるとは、私にとっては、知らぬこととはいえ、許せないほど嫌なコラム記事であった。
知らぬこととは言え、経験がないがために心もとない言葉を発するということは、人として、恥ずかしいことである、と、思い起こされた一文でもあった。
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そう言えば、人権擁護委員をしていた折に、『子供の人権110番週間』の時に、リストカットするほど悩んでいた小学生の女の子からの手紙が届いたことがあった。
子供からの手紙は、子供の人権を守るために、学校や親などへの通報は、『本人の承諾が得られてから』ということが、子供たちにも知らされている。
にもかかわらず、この女の子の思い悩んだ上での手紙に、安直に反応した法務局の職員が、直ぐにでも学校に行って校長にも知らせておきましょう・・・と提案したのである。
私は唖然とした事を今でも覚えている。
上席の人権擁護委員が、『本人の承諾が得られていない』と、その法務局の職員をなだめたので、その職員はしぶしぶながらであったが、一応その場は収まった。
そうでなければ、たとえ末席であっても、私が同じような言葉で、法務局職員と上席の人権擁護委員を相手に、強硬にその場を収めようとする腹を固めていたのであった。
人は、言葉はもちろん身分や学歴や見てくれなど、所謂「外見や表向き」では判断しないことが、自分の身を守る唯一の手段であるということは、どんな時代であっても、通じることであろうか。
昔から、『若い時の苦労は買ってでもせよ』という言葉があるが、若い時に限らず、いくつになっても同じだろうなぁ~、と、思える次第であった。
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後日追記:
人権擁護委員は、市町村議会の意見を聴いて市町村長が推薦してその都道府県の弁護士会と人権擁護委員協議会の意見を聴いて、法務大臣から委嘱されますが、旅費・交通費の実費弁償は有りましたが、何処からも給与・手当など一切の報酬を受けることはありませんでした。
会議などの出席の場合でも交通費実費弁償はありますが、出席謝金はもちろん、活動費なども一切ない、所謂、完全な無報酬でした。
むしろ、委員間の葬礼など社交儀礼のための互助会費を自己負担で支払って、委員への香料や退任時の記念品代に充当していたほどでした。
国からの支給品といえば、法務大臣からの『委嘱状』と退任時の『感謝状』だけで、それも、感謝状を額縁に入れて掲げたい人は、その額縁は自己負担で・・・というほどでした。
従って、無報酬であるがゆえに、委嘱権者の法務大臣はもちろん、法務省職員であろうと、上席の人権擁護委員委員であろうと、誰にも忖度なんぞの気を遣う必要もなく、責任を持って正しいと考える自分の意見を述べ通すことが出来るのだと、今でも考えております。
また、(人権)相談者からの相談内容について、正しいと考えている自分の意見が間違っていると考えられるならば、潔く辞任すれば良いのだと、考えておりました。
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参考 (1)人権擁護委員は、法務大臣が委嘱する。(人権擁護委員法第六条 )
(2)人権擁護委員には、給与を支給しないものとする。(人権擁護委員法第八条)
人権擁護委員は、政令の定めるところにより、予算の範囲内で、職務を行うために要 する費用の弁償を受けることができる。
(3)人権擁護委員には、国家公務員法は適用されない。(人権擁護委員法第五条)
(4)人権擁護委員は、職務に関して、法務大臣の指揮監督を受ける。(人権擁護委員法第十四条)
(5)国家公務員に適用される国家公務員法第九十八条には
『職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。』
と、あります。
国家公務員は、上司に意見を述べることは出来るのでしょうが、最後は、「忠実に」従わなければならない・・・ということですね。
それができない人は・・・『推して知るべし…』と、いうことでしょうか?
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Last updated
2020.10.08 10:43:33
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