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■「利息制限法」と「出資法」の関係が問題 - 渡部
そこで知りたいのは、「利息制限法」と「出資法」の関係は いったいどうなっているのかということです。 ■上限金利は下がり続けた - 大島 金銭の貸借契約に際しては、原則として貸主と借主の間で 自由に利率を決めることができます。 原則的にいえば、私はこれでいいと考えています。 金利は自由に任せた方がいいというのが私の意見です。 余談ですが、昔、町奉行の遠山金四郎は「さすがだな」 と思える意見を吐いています。 当時も高利の金がありましたが、そういうものについて こう言っています。 「あまりにも高利だったら、そんな金は借りる人がいない。 だから、だいたいのことは任せておけばいい。 金の問題でぎゅうぎゅうやると、窮屈な世の中になる。 不自由になるよ」と。 これは当たっていると思います。 金利も自由に任せておけばいいのです。 ただし現実には「利息制限法」という法律があって、 金利の上限が定められています。 それが15%です。 ところが全部の貸借を利息制限法でやりなさいといったら どうなるか。 どういうことが起こるかといいますと、 アメリカのプライムレートは1980年前後のレーガン時代、 20.5%という時期がありました。 これが最優遇貸出金利、すなわち、日本でいえばみずほ銀行 のような大銀行が、新日鉄や東京電力のような巨大会社に 貸付ける金利なのです。 従って、日本の利息制限法(15%)を守れというのであれば、 アメリカの巨大銀行を全部ふん縛ってしまわないといけない。 あるいはアメリカの長期国債についても、その頃は、 18.5でしたから、アメリカ国家も利息制限法で ふん縛らなければいけなくなる。 こんな馬鹿な話はありません。 したがって、消費者金融や信販会社の小口ローン、 あるいは銀行系のクレジットなどでも15%の利息制限法で やっているところはありません。 資金コストというものは時代や状況によっていくらでも 伸び縮みします。 利息制限法を作った方々はそのあたりの事情をよく知って いたものですから、制限利率を決める一方で、 「債務者が任意に払った場合には返還請求はできない」 と決めています。 これが利息制限法の一条二項です。 また、利息制限法には違反者に対する罰則規定もありません。 金利契約は自由にやりなさいと、利息制限法はいっているのです。 では、もう一方の「出資法」とはどういう法律なのか。 利息というものは基本的に暴利はいけないという趣旨で つくられたのが出資法です。 そして利息制限法より高い上限金利が定められ、 違反者への罪則も決められました。 戦後すぐの昭和24年、山崎晃嗣という東大生が 「光クラブ」という闇金融の会社をつくって失敗し、 最後には自殺するという事件がありました。 続いて昭和29年には伊藤斗福のいわゆる「保全経済会事件」 が起き、それで出資法ができたのです。 最初は109.5%という上限金利が定められました。 消費者金融がものすごく伸びたのは、上限金利109.5% の時代に原始資本を蓄積できたからです。 ところが1980年代の初めあたりに、サラ金が社会問題に なりました。 すごいサラ金バッシングが続いた。 あの時、109.5%という金利は高かろうというので 貸金業法と出資法が改正され、73%に引き下げられたのです。 その後も徐々に下がっていくわけですが、わかりやすくいいますと、 ・109.5% (1983年以前) ・73% (1983年) ・54.75% (1986年) ・40.004%(1990年) ・29.2% (2000年) ということになります。 40.004%の段階は、借主にとっても貸主にとっても 非常にいい状況でした。 いってみればハネムーン関係が続いたわけですけれども、 我々が槍玉に挙げられた1999年の「商工ローン・バッシング」 を機に、一気に29.2%に下げられたのです。 そうすると、どうなったか。 かえって闇金融が跋扈するようになったのです。 というのも、29.2%が上限だというなら、 3、40%のあたりでちまちま違反して摘発されるくらいなら、 1000%とか2000%の暴利を取ってボロ儲けした方がよい ということになってしまったからです。 また、この29.2%ヘの金利引下げによって、 小規模ではあっても良質な金融業者も廃業を余儀なくされました。 その真空地帯に、山口組系五菱会系の闇金融グループ のような連中が闇金融として市場に登場してきた。 闇ですから被害は何兆円ともいわれています。 『異端の成功者が伝える億万長者(ビリオネア)の教科書』(渡部昇一氏・大島健伸氏共著)より お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.01.02 10:13:06
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