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■いかなる危機でも朗らかでいられるのが優れた司令官 - 渡部
司令官には天性のようなものが要求されます。 ドイツにはゼークト大将という軍人がいました。 ヒトラーが出てくる前の、最後の参謀総長です。 彼が第一次大戦のドイツ軍の戦闘をよく調べてみたら、 個々の戦いの作戦で、その時点から見て駄目だというのは 全くなかったといいます。 ところが、司令官として駄目な将軍はいた。 そのために、個々の作戦は良かったのだけれども、 ドイツ軍全体としては戦争がうまくいかなかったのです。 そこで彼の最終結論は、 「ドイツ参謀本部は理想的な参謀をつくるメソッドを発見した。 しかしながら、いい司令官を育成する方法はまだ見つかっていない。」 と、こうなるわけです。 ではいい司令官の条件とは何ぞやといったら、 いかなる危機に臨んでも朗らかな気持ちを維持できることである と、ゼークト大将はいいます。 それくらいしか定義のしようがないというのが司令官なのです。 それくらい司令官という立場はむずかしい。 ■「最後は勝つ」という思いが重要 - 大島 まさにそのとおりだと思います。 何かの危機に直面した時 - たとえ震えがくるような危機 であっても朗らかであれというのは、司令官に一番求められる 要素です。 言い換えれば、危機に直面した時、どれだけ早く恐怖感から 立ち直るか、それが司令官の器を決めます。 何秒で立ち直れるか。 何分で立ち直るか。 インドネシア駐在時代にバリ島に出張した時のことです。 あるトラブルが起きて、地元のポリスマンに実弾が入った ピストルを付きつけられたことがありました。 相手は本気で怒っているのです。 その時は自然に身体がブルブル震えましたね。 その震えがなかなか止まらないのです。 何分後かに辛うじて恐怖から立ち直り、ひたすら 「撃つな、話し合いしよう」と訴えて、 やっとのことで無事に危機を回避しました。 説得に6時間かかりました。 「日本人にはカミカゼ、ハラキリの精神がある。 絶対に嘘をつかないから、とにかく明日もう一度話し合いをしよう」 と言って説得したのです。 この時の経験から、恐怖感から素早く立ち直ることがいかに大変で、 重要なことかを学びました。 デリケートでセンシティブな人間であれば、 一兵卒でいるより将軍でいるほうが絶対に怖いわけです。 いろいろな難局に全体的に対処しなければならないからです。 しかしどんな局面にあっても朗らかでいなければならない。 司令官が頭を抱え、悩んで落ち込んでしまったらお終いです。 弾に当たる英雄はいないわけですから、司令官たるもの、 最後は勝たなければいけない。 弾に当たるような不運な人間は、本当は駄目な人間だったのです。 将軍になってはいけなかった人です。 ですからやはり、自らの武運長久を念じて、 絶対最後には勝つんだという思いが必要です。 ただし、努力を怠ってはいけません。 野心も持たなければいけない。 たとえば自分の能力が「100」だとした時、 異常な高望みを言う人がいます。 「1000」ぐらいのことを言う人がいる。 そんな目標は到底達成できません。 私が今から物理学のノーベル賞を取ると言っても、 絶対取れないのと一緒です。 私は、ほとんど不可能に近いようなことをいう人は嫌いです。 逆に誰にでもできるようなことを言う人、私はそれも認めない。 リスクがないことをノホホンと言っているだけだからです。 両方とも卑怯者です。 これはいささか印象批評的なのですが、 私の場合は「100」のものは「120」ぐらいにまで もっていく目標設定をします。 これくらいだったら、努力次第では達成できます。 「目標=120」という設定はSFCGの全社員に要求したい ところなのですが、目標設定はあくまで自分の問題ですから、 無理やり押しつけても意味はありません。 水を飲みたくない人に縄をつけて飲ませようとしても、 それは無理です。 しかし、無事是名馬です。 そして名馬は伯楽がいなくても自分で走るものなのです。 『異端の成功者が伝える億万長者(ビリオネア)の教科書』(渡部昇一氏・大島健伸氏共著)より お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.02.01 07:54:02
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