「危険がない」と感じた事業こそ、失敗の危険が大きい。
ブームというのは、供給過剰の直前の状態
だと思うべきである。
その時に乗り出しても、すでに時機を失している。
だから、ブームになったものは、
いくら食指が動いても、
絶対に乗り出してはいけない。
特に大企業が乗り出した時は、
供給過剰が間違いなく起こると思ってよい。
新事業のタイミングというものは、
まだブームにならず、先行きがどうなるか
見通しの難しい時にあるのだ、
ということを知らなければならない。
そして、その時には失敗の危険も多いのである。
危険がないと思われる時は、
すでに時機を失しているのだ。
「危険がない」と感じた事業こそ、
失敗の危険が大きいのである。
「成否相半ばする」と感じた時が、
「失敗の危険の少ない最後の時機」
というべきである。
新事業を興すタイミングは難しい。
その難しいことを決めるのが社長である。
(一倉定の社長学 第4巻「新事業・新商品開発」より)