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親父!寿司連れて行ってやろうか?
近所に住んで居る、親父に声を掛けた。 「なに?!ホントか?…金あるのか?」 「ああ、親父一人くらいなら、ある」 「おお~連れて行ってくれ~ちょうど今日は寿司食べたかったんじゃ。…ほんまぞ…(笑)」 「ま、普段から、娘達の学習塾やらピアノの送り迎えをやってもらってるから、せめてもの恩返しだ」 と、言うことで、日曜の11時30分に出発する事にした。 それを何処で聞き付けたのか、下の娘が、 「私も行って良い?」 と、参入して来た。 「ああ、しょうがない。しかし、フルーツパフェは注文するなよ」 寿司屋のフルーツパフェは量が少ないくせに、高い。(笑) 「じゃ、11時30分に出るから準備しとけよ」 「うん、分かった」 ================ 11時が少し回った頃。 ドン、ドン!ドン、ドン! 「お~い!来たぞ~!寿司屋に連れて行け~」 なに!?もう、来やがった! 「親父!まだ早いんじゃねーか?」 「はぁ?なんでもえーから、早よ食わせろ~~」 ボケが始まってる訳でもないのに…歳をとる毎に野生に還って行ってるのか? 飢えた野獣と化した親父が裏口に立って居た。 「お~い、もう行くぞ~~」 二階でテレビを観ていた、下の娘を呼んだ。 「え!?もう?私まだお腹空いてない」 「そうか?じゃあ、丁度良いじゃねいか」 腹がへって無いって事は、食べる量が少ない。 よって金の払いも少ない。 作戦成功! ニヤッ 「何が作戦成功じゃ?」 側で俺のつぶやきを聞いていた親父が、不思議そうに俺の顔を見た。 「な、何でもない…はははは」 娘が、しぶしぶ降りて来た。 「ま、とにかく車出すから乗れ。」 車庫から車を出した。 娘が助手席に素早く乗った。 「さぁ!出発するぞ!」 「こりゃ!待てわしが乗っとらんぞ!」 まだかよ! 親父はまだドアを開けて乗ってる最中だった。 「親父!遅いわ!早く乗れよ」 親父はゆ~~~~~くり、まるでビデオのスローモーションのような動きでやっと乗った。 「おい、一杯で良いからビールを注文してもええか?」 親父が、後ろの席から身を乗り出して言った。 「ああ、かまわんよ」 そうして寿司屋にそろそろ着こうとした頃、 「おお?何か道が違うぞ?○○寿司はこっちじゃないぞ!」 「はぁ?○○寿司なんかとっくの昔につぶれたわい!」 「じゃあ、◇◇寿司か?」 「何年前の話だ?聞いた事もねー!」 「…昔はそこに良く行ったけどのー…」 「タイムマシーンでも作ったら行けよ!」 親父は、若い頃土建屋を営んでいたから、けっこう羽振りが良い時期があって、良く寿司屋にも行ったらしいのだ。 「…で、いったい何処の寿司屋に行くんなら?」 「さ、着いたぞ」 俺は店の前に車を止め、その店の看板を指差した。 親父は目をパチパチさせてその看板を見上げた。 「か・い・て・ん・す・し…」 親父は阿呆のように、一時、看板を見上げたたまま、止まっていた。 そして言った、 「なんか楽しそうな店じゃのう…(笑)」 と、言った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.04.12 22:34:54
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