話題を庭園と紅葉に戻します。日本庭園は雑然と見えて緻密に設計されています。しかも庭園が完成した当初、今より数百年前は木々が若く、苔も生えていないのです。その庭園が時を経て熟し、現代においてここまで色、形ともバランスよく美しいのは奇跡と言えます。ただ造園家が300年後の今の景観を設計していた節がある点も忘れてはいけません。先達に感謝…
大法院は小さな寺院だけあって天龍寺などに比べれば猫の額程の庭園です。もみじを全面に配置するのではなく、緑を多く残すことで色バランスによる美しさを演出しています。小さな空間をキャンパスに見立てて立体的に描くのが日本庭園の素晴らしさです。空間的な美しさだけでなく時間経過の美しさが加わっているので4次元芸術と呼べるのかもしれません。
映画アバターに代表される3D画像、サラウンドやドルビー技術など近年技術は3次元をどのようにして疑似表現できるかを競っています。昔の人は三次元、四次元を限られた箱庭空間で表現したわけです。絵画などとは違った立体表現、その技術は世界レベルでした。
この四次元空間を芸術と見るか、科学と見るか。芸術とは科学技術は歴史的に見て常に表裏一体であることは芸術論的にいえば常識かもしれません。