|
カテゴリ:専門病院
何度目をこすっても、それぞれが手にお椀を持っているように見えた。 もちろん、それは幻影なのだけれども、難民たちからそれだけの殺気が漂っていた。 「これはどういうことなんですか」とロヒカに訊くと、「単なる勘違いと言ってしまえば、それまでなんですが」という答えが返ってきた。 英語アレルギーの意味を取り違えているだけなんです。この病院で扱っているのは、もちろん食物アレルギー、金属アレルギー、寒冷アレルギーなど、医学的なアレルギーであって、比喩的に使われているアレルギーではないんです。そのことは、日本国にも十分伝わっているはずなのに、わかってもらえないというか、何というか。 いわゆる英語難民と言われている人たちが、自分たちに英語アレルギーというものがあって、治療して治るものなら、もしかしたら英語が話せるようになるかもしれないという期待を抱いて、毎日何千人となくやってくるんです。 そのほとんどは、単に英語を覚える能力がないだけ、やる気がないだけの話です。しんどいことはやらないで、自然に話せるようになれればいいと思っている連中がほとんどです。ろくに努力もしてないんですから、話せるようになるわけはないのに、自分ができない理由を全部外に求めるんです。 トラドキスタンに英語アレルギー専門病院ができたと聞くと、藁にもすがる思いでやってくる。 はっきり言って、ものすごく迷惑なんですけど、なかには本当に病気の人もいますから、そう簡単に追い返すわけにもいかないんです。日本国政府には、もっと国民にきちんと説明するように言っているのですが、政府のやり方が悪いのか、どんなに説明しても国民が聞く耳をもたないのか。もっとも、ニワトリと卵の関係でもあるんですが。 あんまり人数が多くて、施設内には入りきれないんで、外にテントを張って対応しているんです。 病気じゃありませんと言っても納得しない者もいて、テントを張って、ちゃんと診てくれるまで居座るつもりでいる連中もいるんです。そうなれば、もちろん不法滞在になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.12.15 09:16:10
コメント(0) | コメントを書く
[専門病院] カテゴリの最新記事
|