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カテゴリ:専門病院
加野恵がくれたヒント(1) 医師は私に向き合うようにして姿勢を正した。 「実は私は今、一度にたくさんのことをお伝えしようとしていささか混乱しているのです。そんな時になんでまた加野さんの話題を出してきたかと思われるでしょうが、そんな時だからこそ出してきたんです」 「はあ」 「安泊さんはなかなかよくわかったお方だから、われわれにおっしゃりたいことがあるんではないかと思います。ここは英語アレルギー専門病院です。でも、英語アレルギーと言いながら、いわゆる英米人の使っている英語に対するアレルギーと、単なるカタカナに対するアレルギーをいっしょにしていると思っているはずです」 「そうなんですが」 「その疑問はもっともです。一般人からすれば、日本人がカタカナで書こうが、英米人が本物の発音で口にしようが、英語は英語でしょうが、アレルギーを研究する医師の立場からすれば、このふたつはまったくちがうものです」 現に、ここには実にさまざまな患者が入院しています。 アメリカ英語にはアレルギーを示すけれども、イギリス英語を聴いただけでは何の変化もない患者もいます。 本物の発音を聞くと蕁麻疹が出るくせに、逆にカタカナだけは使いたがる患者。それからまた、本物の英語には反応を示さないくせに、カタカナになるとぶるぶる震えだす患者。全身が紅潮する患者、さまざまです。 加野さんが入院した時には、確かにカタカナにも心拍数の変化が観察されました。ところが、加野さんがほかの患者とちがったのは、それ以上にわれわれがいわゆるウイルスと呼んでいるものに過敏反応を示したことでした お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.11 23:38:45
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