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【専門病院】のつづきです。 「安泊さん、すごいでしょ。われわれはすでにそういうデータもつかんでいるのです」 私にはそのことばが妙に耳に残った。 何かもっとすごいデータがあることを思わせるものだった。 すると、丸徳医師は再び表情を締め直して語った。 「では、加野恵にカタカナを聞かせたときの心拍数増大はどうだったかというと、加野恵自身が算出しているそれぞれの情報子の情報量に反比例するものでした」 「おっしゃっていることが専門的すぎてよくわからないんですが」 「ああ、失礼。つまりですね。アクセスというカタカナがありますよね。トラドキスタンでは認めていませんが。これは英語の access から来たもので、情報量が小さいわけです。アイスクリームとかバナナのようなものですと、何のことかはっきりしますが、アクセスはよくわかりません。そのことばが意味する的がしぼりきれないわけですね。的が絞りきれないということは情報量がちいさいわけですね」 「なるほど、その情報量と心拍数の増大分とが反比例するというわけですか」 「それだけではありません。情報量の撹乱を招くようなカタカナの場合には、不整脈が出て、やや専門的になりますが、心電図上QT延長のような現象が起きます。その心電図上のさまざまな現象、異常がですね、加野恵が分析した情報量の撹乱と見事に呼応するんです」 「加野恵がそんな医学的知識をもっていたということですか」 「もちろん、心電図はその辺の医師よりよくわかっていたはずです。ただ、カタカナを聞きながら自身の心電図を取ってた形跡はありませんし、仮にそういうことがあったとしても、自身の心電図所見から逆にカタカナを分類して、数式にあうようにするなんてことは不可能です。ですから、やはりこれは、加野恵自身がごく自然の状態にあるときに、カタカナを聞かせ、それによって生じた心電図上の変化が、それぞれのカタカナの言語学的な分析結果と見事に一致しているということです」 「どういうことですか。もっと素人にもわかりやすく説明してください」 「これを素人にもわかるように説明するのは不可能です。要するに、カナカナはやはり、日本人の神経生理に大きな影響を及ぼすということです。しかも、そこに実によくできた法則が見出されるということです」 ←ランキングに登録しています。クリック, よろしくお願いいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.28 16:02:53
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