『ダブルキャスト』（４０１）第１０章・エピローグ　未明の船

November 24, 2011

　事件のあと、１日入院して道警の取り調べがあったが、それはあまりにも形式的だった。
　病院の中での、刑事の聞き取りだけで終わった。
　ナオミは、３日ばかり病院のベッドから動けなかった。
　回復したあと、北上に対する傷害で取り調べを受けたものの、あっさり釈放となった。
　先に銃を向けたのは北上であっても、銃を完全に取り上げた上で、さらに発砲までしているので、本来なら過剰防衛となるところだった。
　が、『北上慧は、さらに周囲の人間に危害を加える可能性があった』『一度北上に拉致された時の恐怖感から起こった行為』として、やむを得ないとみなされた。
　これは、捜査に協力したという以上に、文明放送の磯島が芝居小屋の中の映像を押さえたのが大きかった。
　なんとしても、道警は刑事の岡田信二が北上の犯罪を隠蔽しようとした事実を表沙汰にしたくない、という、大組織の論理に救われた形となった。
　磯島たちが入手した映像がドキュメントになるのは、早くても１年後、ということだった。
　道警の事情と、被害者遺族の心情も考慮し、テレビに流せる見通しはたっていない。
　
　捜査の終了後に辞表を出そうとしていたミーシャには、中田都志江が知恵をつけた。
『あのね、潔くする必要なんて、ないわよ。辞表なんか出さないで、おとなしくして処分を待ちなさいよ。…クビになんかできやしないんだから。この事件、佐山さんがいなければ民間人を使って、ここまで来られなかったっていうのは、偉い人達だってよ～くわかってんだから。…あなたは道警に必要な刑事さんなのよ、それに、なんたって男前だし！もったいないじゃない。ちょっとの間、閑職で２年くらい待ってれば、ほとぼりがさめたころに現場に戻れると思うわ』
　と、説得したのである。
『だいたい、ここまでやった人が辞めるなんて、おかしいじゃないの』
　これが、なりふりかまわぬ正義の味方である中田都志江の論理だった。　
　いま、ミーシャこと佐山達郎は、捜査の終結に向けて多忙だが、彼女の説得により、警察に留まる方向へと気持ちが傾いている。

☆函館ベイエリアの雪景色です。

＜つづく＞

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　今日も、夜になってから自室でゲーム

を起動していたら、キッチンから緊急地震速報が聞こえてきました

　先日は広島で震度５弱があったと思ったら、こんどは北海道方面で震度５弱ということで、こちらもしばらく揺れました。
　震度２くらいでしたね。
　年末に向けて余震が多くなる、という噂はありましたが、ほんとにこの頃多いです

　小説の方も徐々に終わりに近づいてきました。
　思ったより長くなって、自分でもびっくりしていますが・・・
　スピーディに半年くらいで終わろう、絵も写真もいっぱい入れようと力みすぎて、かえって長くなったみたいです。
　それでも、なんとか最終回まで行き着けそうなメドがたったので、このさいだから最後までお付き合いくださいm(_ _)m

　いままで載せていなかった写真もｕｐしていきます。