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山形達也85歳の心理学

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2019.07.06
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カテゴリ:健康問題
小学校のWebsite​に「​私の艾灸による健康法​」という文章を書いたので、ここにも載せます


高齢者が健康を保つには毎日歩くなどの運動を続けることが必要とされています。このほかに私は、中医(中国伝統医学)による艾灸(もぐさを固めた棒灸で温める温灸)の効果を実感するようになったので、それをお伝えしようと思います



「私の艾灸による健康法」


I. 歩くこと
 若いうち私は、自分の健康に注意を払うことはありませんでした。幸い、それなりに健康だったのでしょう。でも後期高齢者といわれる歳になると、毎日身体を動かしていないと身体が衰えることを実感しました。若いうちは運動もせずゴロゴロしていても(実際そうだったのですが)筋肉は衰えることなく保たれていたのが、高齢者になると、発電所のダムで夜中の余剰電力で揚水をしておかないと翌日の発電に使う水が足りなくなって発電できないのと同じ感じで、目に見えて筋肉が落ちるのです。

 中国から帰国したとき、何しろ、一人暮らしでは寂しいですから、以前妻の貞子とリタイアしたら盲導犬パピーを飼おうと話していたのを実行しようとしました。前にも犬と暮らしていたのですが、飼い犬に死なれたときの辛さにその後飼うのを控えていました。でも、ゴールデンレトリーバーの3ヶ月の子犬を1歳になるまで育ててあとは盲導犬にしつける協会に渡すなら、別れるにしても耐えられるでしょう。それで、老後はパピーを育てて暮らそうねと言っていたのでした。しかし、その協会に連絡したら「家族一人ではパピーの飼育はお願いできません。家族の愛情が伝わりません」と冷たく断られました。

 中型犬の寿命は十数年ありますから、後期高齢者が子犬から犬を飼い始めるのは問題です。それで犬を飼えずに一人暮らしを強いられて嘆いている私を見かねて、別のところに住んでいる長男が「じゃあ、いざというときは犬を引き取るから、子犬から飼い始めていいよ」と言ってくれました。でも智慧の回る息子は、「どこかに旅行するからと言っても預からないからね」とちゃんと釘を差したので、その後犬と暮らし始めた私はどこにも出かけられません。

 「孝行息子」のおかげで、2015年のはじめからゾフィと名付けたボーダーコリーと暮らしています。毎日とはいきませんけれどゾフィと5〜6Km は歩くので、高齢者が健康を保つにはまず歩くこと、ということを満たしています。実際、かなりの速度で歩くことのできる高齢者の健康度は有意の差で高いことが知られています。

 そのお蔭で、私はこの年にしては一見元気ですけれど、それは見かけだけです。あちこちに具合の悪い所があります。私は77歳になるまで中国の瀋陽薬科大学で足掛け15年働いて、研究室から多くの学生を送り出しました。そのうちの十数人は今も日本で仕事をしています。その中のひとりは中国古来の伝統医学(東洋医学とも、漢方とも呼んでいる分野です)に詳しく、それを私に試してくれています。その効果を、皆さまにお伝えしたいと思ってこのように書き始めています。

II. 艾灸
 日本では棒灸と言われています。鍼灸の灸のことです。もぐさ(艾)っていうのがありますね。よもぎの葉の裏に生えている白い部分を乾燥させて固めたもので、この艾を直接皮膚に乗せて火をつけるとお灸です。むかしは老人で背中にお灸のあとのある人が沢山いました。このもぐさを棒状に固めたもの(通常、直径18mm、長さ200mm)を中国語では艾条(アイティヤオ)と呼んでいて、日本では棒灸と呼んでいるみたいです。これに火をつけて手で持って皮膚から離して、いわゆるツボとして知られているところを温めます。もちろん何の跡も残りません。

 中国伝統医学ではこのツボは100を超えて知られているそうですが、私が実感できるのは押すと痛いので分かる手の二箇所と脚の三里くらいです。このツボというのは解剖しても神経が集まっているわけでも、血管あるいはリンパ節があるわけでもないそうですが、筋肉が凝ったときに押すと効くことは実感して、その存在を感じます。

1) この数年、夜中に寝ている最中に足の筋肉が攣ることがあり、それは我慢出来ないほどの激痛でした。壁を背にしてともかく立って足の筋肉を伸ばせという人もいますが、ものすごい痛さです。やがて、ともかく痛い脚でバスルームに行って寝ぼけたまま熱いシャワーを脚に20分位浴びせて直していました。家庭医に訴えると、「足が攣りそうなときは芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を飲め」と言って処方してくれましたが、その効き目は全くありませんでした。中国伝統医学に詳しい卒業生の指導に従ってお腹にあるというツボを艾灸で温めた結果、夜中に足の筋肉が攣る激痛の起こることがなくなりました。もう半年以上筋肉の収斂で悩まされたことはありません。これはお腹にあるツボを艾灸で温めた脚の血行を促したのだそうです。

2) 高齢者になってからは前立腺肥大と診断されていますが、尿が出にくくなり、もう4年位医者から薬を処方してもらっています。それもだんだん強いものになっていて、毎日その薬を飲まないとトイレで苦労する状態でした。最近になって、その処置として下腹部のツボを温めるようになりました。その艾灸を始めて1週間経ったとき尿道の腫れを抑える薬を飲むのをやめましたが、排尿に支障がありませんでした。今は薬を飲んでいません。つまり艾灸をすることで、薬を飲まなくても排尿に苦労しないようになりました。これを始めてまだ4週間で、いまはまだ毎日温めていますが、中国伝統医学の教科書によると、これを続けると前立腺肥大による障害は治るそうです。

3) 緑内障の進行を止める効果があるかもしれません。中国から帰国して視力が落ちたことを感じて、近所の眼医者に行きました。眼圧の高くない緑内障と診断されてもらった薬は気休めでしかなく、その後だんだん悪くなってきて目薬もつけるのをやめてしまいましたが、艾灸をお腹に当て始めてからは眼も同じようにこの艾灸で温めています。眼を温めると気持ちが良いのです。

 生命科学を勉強した身からすると、眼圧が高くないのに神経細胞が死ぬのは、何らかの理由で血行が悪くなって神経細胞の生存に必須のNeurotropic factorsが行き渡らずに細胞が死ぬのだろう、温めることで血行が良くなって、網膜の神経細胞へのNeurotropic factorsの供給が良くなり、神経細胞が死ににくくなるに違いない、と考えます。艾灸で温め始める前までは視力がどんどん落ちてきましたが、始めてからはその視力の低下が止まったように思っています。今から半年後に自動車運転免許の更新があるのですが、そこで無事に合格すれば確かな効果となります。2年半前の前回の検査では視力が合格ラインの0.7に落ちていましたので、この次は危ないはずです。

4) この一年くらい手の指を動かすと指の関節が固く強張ってきていることを感じますし、関節を指で揉むと痛むことを感じていました。この指の関節を艾灸で温めると、痛みが取れるのではないかと考えて実行したところ、驚くことに痛みが取れたのです。でも今は2〜3日してまた暖めないといけませんが、続けてやることでこの先が楽しみとなりました。

III.
 この艾灸は中国の伝統医学に基づいています。中国の伝統医学の源はすべて『黄帝内経』にあります。「黄帝」は中国の伝説上の皇帝ですが、この本は秦・前漢の時代(紀元前202~後8年)の作とされています。それでもずいぶん長い歴史があります。人間の観察に基づいて作られた医学理論なので、今の生命科学とは相容れない部分も多く、西洋医学の信者は中医(中国伝統医学)をただの迷信と切り捨ててきました。

 私は科学者の端くれなので、科学的に実証されたものしか信じない人間です。ですから人の身体には「血」が流れているだけでなく、「気」が流れているのだ、「気」は目に見えないが人の生命力のすべてみたいなもので、身体には「気」の通り道「経絡」があり、その通り道にある「経穴(ツボ)」を刺激することで「気の流れ」を整えると健康でいられると聞くと、そんな通り道があるのだろうか、全然確認されていないじゃないか、だから信じるに足りないと思っていました。

 中国の瀋陽で仕事をしているとき身体が疲れたり、凝ったりして、按摩を受けるのがいいだろうと考えて大学の近くの盲人按摩に出かけるようになりました。1〜2時間くらい背中や手足をマッサージしてもらうと気持ちよくなり、身体に「元気」が戻ってきた気になります。やがて、手指で押されて気持ちよくなる場所はいわゆるツボとして知られて記載されているものであることがわかりました。

 つまり、私は身体にはツボがあることをだんだん感じてきたのです。そして今は II. に書いたように、そのツボを温めることで具合の悪い箇所が治ることを体験しています。そしてその間にわかったのは、中国伝統医学では、身体のバランスを保つことを最も重視していること、このバランスを保つことで病気を未然に防ぎ、健康でいられる方法を示していることでした。つまり、人は自分の身体のDaily maintenance を続けることで健康を保つことが大事であることを教えています。ちなみに、「未病」という言葉は、いま日本でも流行り始めましたが、この二千年以上前の「黄帝内経」の中で使われているということです。

IV.
 自分が実感しているだけで科学的に実証されていないものを、なぜ信じるのか、どうして人にも勧めるのかについて私の考えを書いておきましょう。

 どなたもアスピリンをご存知でしょうし、お世話になったことがあるでしょう。あの鎮痛、解熱剤で、主成分はアセチルサリチル酸で、19世紀の終わりドイツのバイエル社が初めて工業的な化学合成に成功して解熱鎮痛剤として売り出し、その後世界中で用いられてきました。もちろん今でも用いられています。

 もとはローマ時代にまでさかのぼりますが、柳の樹皮を噛むと鎮静作用があることがすでに知られていました。アメリカの先住者(アメリカンインディアンと呼ばれていた)も鎮痛のために柳の皮を噛んでいたそうです。その後18世紀になって、イギリスの神父E .ストーンは、ヤナギの樹皮の抽出エキスが、悪寒、発熱、腫脹などに強い効果があることを発見しましたが、主成分はサリチル酸で薬として用いるには作用が強く、バイエル社のホフマンがサリチル酸をアセチル化して薬にするまで待たなくてはなりませんでした。 

 アスピリンは世界中で家庭常備薬として大人気となりましたが、それでもその薬効がわかったのは、アスピリンという薬ができてから70年以上も経ってからのことです。アスピリンは薬効の原理がわからぬまま、この薬が頭痛に効くからという理由で世界中の人々によって使われてきたのです(なお血小板凝集活性のあるトロンボキサンチンA2の前駆体となるプロスタグランジンをアラキドン酸から作るシクロオキシゲナーゼを阻害するから鎮静作用を惹き起こすことが見つかったのは、私の記憶では1980年頃です)。

 私の言いたいことは、もうおわかりでしょう。今はまだ実証されていない「気」、「経絡(気の通り道)」、「経穴(ツボ)」ですが、中国伝統医学を軽んじてきた科学者が本気になって研究を始めれば、何時かは科学的にその存在が示されるのはないかということです。今は科学的な実証がないけれど、現にあるその効果を信じる人、あるいはそれを信じたい人は、自分のリスクで試せばいいじゃないか、それを止める権利は誰にもないと思うので、私の体験を知っていただきたくここに書いてみました。どなたにも元気で暮らしていてほしいのです。

(20190716)






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最終更新日  2020.03.25 14:25:44
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