カテゴリ:本
向きなおった建物には、見上げる壁に新しく文字が刻まれていた。輪飾りのなかに綴られるのは、次のような文言である。 「自由、平等、友愛、さもなくば死を」 革命の精神を端的に表現した標語は、ラ・アルプ通りの印刷屋モモロが考えたものである。 八月十日をやらかした、おまえがいうなと返されるかもしれねえが、あのときとは事情が違う。今回は議会に銃を向けちまったんだよ。七月十四日も、八月十日も、相手は専制君主だった。しかし、今度の相手は人民の代表なんだ。どれだけ腐っていても、国民公会の神聖な議員なんだ。これを排除しちまったら、もう民主主義の理想もなくなっちまう。 随意の処断が赦されるなら、怖くて、怖くて、そのうち善意の発言さえできなくなる。 時代は巡るか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.02.03 23:19:57
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