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カテゴリ:園芸
中日春秋 (書写) 心構え震災記念日備えあれ 映画『天国と地獄』などの黒澤明監督が1923(大正12)年9月 1日の関東大震災の記憶を書いている。当時、13歳▼地震から自然 の力と、「異様な人間の心」を学んだという。震災後、ある井戸の 水は飲むなと町内の人に教えられた。井戸の塀に白墨で書いた変な 記号があり、朝鮮人が井戸へ毒を入れた目印に違いない。黒沢さん はあきれかえったという。「その変な記号は私が書いた落書きだっ た」―▼明少年が見た、震災の恐怖が人間の正気を奪っていく現実 。震災後の闇におびえる人々は朝鮮人が襲ってくるというデマの「 俘虜」となった。「私は人間というものについて首をひねらないわ けにはいかなかった」▼関東大震災から101年。本日は防災の日で ある。自然災害への備えは何も避難経路の確認や備蓄品の点検に限 るまい▼災害時、人の心は乱れやすく、デマや偽情報の「俘虜」に なる危険にもまた備えるべきなのだろう。デマが混乱を生み、とき に野蛮な行為にまで駆り立てる。SNSの時代にあっては偽情報はよ り巧妙で拡散の速度も関東大震災時の比ではあるまい▼災害時に助 け合い、励まし合う人の優しさとたくましさはよく知っている。そ の一方で「首をひねらないわけにはいかない」ほどの弱さと愚かさ を人間はあわせ持っている。防災リュックのどこかには必ず入れて おきたい「心構え」であろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.01 05:38:12
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