(令和6年4月27日)中日春秋丸写しで一句 「消滅」は悲しからずや落花なほ♪
中日春秋 (書写) 「消滅」は悲しからずや落花なほ 岐阜県白鳥町(現郡上市)に生まれ「奥美濃の桜守」といわれた 佐藤良二さんの生涯は映画にもなった▼かつて名古屋から白鳥を経 て金沢まで結んだ国鉄バス名金線の車掌。病で早世するまで自費で 路線沿いに桜の苗木約2千本を植えた▼始めたのは、白鳥の北の飛 騨の山あいに昭和35年に完成した御母衣ダムのほとりで、ダムに沈 んだ集落から移された桜が花を咲かせたことに感動したため。花は、 電源開発のために故郷を捨てざるを得なかった住民を慰めた。山村 の悲しみがあったから、奥美濃の桜守も生まれた▼佐藤さんを称え 名古屋から金沢まで250㌔を走るウルトラマラソン「さくら道国際 ネイチャーラン」が先日、30年の歴史に幕を下ろした。最後の大会 は名古屋をスタートし、佐藤さんの故郷、白鳥がゴール▼白鳥など の住民がボランティアで運営を支えてきたが、高齢化し人手確保が 困難になったことが閉幕の理由という。先に民間組織が、人口減少 が進んで自治体運営がたちゆかなくなる「消滅」の可能性があると みなした744市町村を公表したが、郡上市も入っている。御母衣ダ ムの悲しみもあった昭和より、日本の山里は苦しくなった感がある ▼佐藤さんは「花を見る心がひとつになって、人々が仲よく暮らせ るように」と願っていた。それをこれからも続けるには何が必要か 。試行錯誤を続けるほかない。