カテゴリ:前立腺がん
◆◆ 前立腺小細胞がん(神経内分泌がん) ◆◆
新型コロナウイルス感染症の第3波が、予想通り冬の訪れとともにやってきたようです。 今まで、十分注意して生活していたと思いますが、さらに気を引き締める必要がありそうです。 新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザの季節でもあります。 インフルエンザの予防接種が済んでいない方は、早急に受けてください。
去勢抵抗性前立腺がんの10~80%に前立腺小細胞がん(神経内分泌がん)を認めるといわれています。 実はもっと多いのかもしれません。 進行したときの前立腺や転移部位の組織検査は行わないことがほとんどだからです。
前立腺小細胞がん(神経内分泌がん)になると、普通の前立腺がんの治療は効果が出ず、特殊な治療が必要といわれています。 前立腺がんが見つかった時にすでに前立腺小細胞がんが存在する場合と、治療中に前立腺小細胞がんが出てくる場合があります。 泌尿器科医のなかで、この前立腺小細胞がんに対する認識が依然として低い状況です。 最近、学会でもすこしずつですが、取り上げられ、解析がでてきています。 今月の電子配信でも、最新の研究結果を解説しています。
まずは、前立腺小細胞がんの存在を知っていること、そして疑うことが重要です。
詳しくは、2020年1月と2月の配信で前立腺小細胞がんに関して、解説しています。 2019年の8月と9月にも同様に解説しています。
実は、去勢抵抗性前立腺がんで治療中の患者さんでこの前立腺小細胞がんになっている患者さんが多いのではないかと感じていたからです。 以前の配信を受けていない方のために、2020/01/26分を紹介します。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\ 前立腺小細胞がんは前立腺から発生する腫瘍のうち 0.5ー2%の頻度とされ稀な疾患と報告されています。 実際は、もっと前立腺がんの患者さんにこの前立腺小細胞がんは多いのではないかと感じるようになりました。
2019年8/25、901、9/22です。 なぜ前立腺小細胞がんを問題にするかというと、 内分泌療法の効果が期待できず、あっという間に進行して、死に至らしめるからです。 平均生存期間は9.8ー17.1カ月と予後(生存期間)不良です。 特別な化学療法が、効果がある可能性があります。 前立腺小細胞がんは,組織学的には,以下の3つのパターンに分類 できるとされています。 すなわち、 1.純粋な小細胞がん 2.小細胞がん/腺がん混合がん 3.初診時腺がんで経過観察中に小細胞がんに変化した病態
つまり、はじめから前立腺小細胞がんと診断される場合と、内分泌療法で治療後に去勢抵抗性前立腺がんとなってから、前立腺小細胞がんと診断される場合があります。 前立腺小細胞がんを発見する重要な鍵は、この病気を疑うことです。 これは、医師側の問題ですが、患者さんサイドから、可能性を医師に打診してみてください。 簡単にできるのは、採血検査で、NSE、ProGRPが有用です。 私Uromasterの患者さんで前立腺小細胞がんの診断に結び付いたのは、血液中のNSE,ProGRPが上昇していたからです。 ProGRPが上昇し転移部位を生検してわかった患者さんもいます。 正確な診断は、病理組織による診断です。 はじめの生検組織を見直して診断できる場合もありますが、できれば、悪化した状態の時、つまり前立腺小細胞がんを疑った時期に、腫瘍部の組織検査を行うことを推奨します。 生検などのがん組織の標本を、特殊な染色をして診断するのが重要です。 専門的な話ですが、免疫組織染色のマーカーとして NSE、chromogranin A(CGA)、synaptophysinの証明は有用です。 血清腫瘍マーカー(血液検査でわかる)として NSE、ProGRP が有用で、腫瘍量や病勢を反映するとされています。 今までの報告では、前立腺小細胞がんとして診断された後の平均生存期間は9.8ー17.1ヶ月と予後不良です。 前立腺に限局した前立腺小細胞がんでは手術療法や放射線療法が施行された例もありますが、診断時にすでに転移を有するものが多く、肺小細胞がんに準じた化学療法(抗がん剤治療)を施行されることが多いようです。 内分泌療法の効果が短い場合や、当初内分泌療法の効果があっても、去勢抵抗性前立腺がんになり、PSAが低いにもかかわらず画像や症状の悪化がある場合は、前立腺小細胞がんの可能性があります。 前立腺小細胞がんは、新規内分泌療法薬(イクスタンジやザイティガ)などの薬剤の効果は期待できず、その上進行が速いので、早急な治療変更が必要です。
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