カテゴリ:前立腺がん
◆◆ 第108回日本泌尿器科学会総会 ◆◆
神戸で行われた 第108回日本泌尿器科学会総会 に、先週参加しました。
とはいうものの、この状況下ですから、実際の出席は困難です。
参加といってもWeb参加です。
この学会は、4月に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症のために、12月までずれ込み、延期されました。 感染を恐れて、ほとんどの参加者はWeb参加だと思います。 私Uromasterは学会と同時開催の各種の会議があったのですが、Webから参加しました。
新型コロナウイルス感染症は、世の中の仕組みを根底から変えています。
ともあれ、 前立腺がんに関する注目の話題としては、治療選択肢が増えた、『転移性去勢感受性前立腺がんに対する治療』でした。
いままで、去勢抵抗性前立腺がんに使われていた、イクスタンジ(エンザルタミド)、ザイティガ(アビラテロン)、アーリーダ(アパルタミド)が、去勢感受性前立腺がんにも効果が証明されたとして、使えるようになりました。
これらの薬剤の効果、副作用、薬剤選択についての議論・発表が目につきました。 今までは、抗アンドロゲン剤としては、カソデックスやオダインが歴史的長年使われてきましたが、これらの新規抗アンドロゲン剤の方が、去勢抵抗性前立腺がんになりにくく、生存率も延ばすといわれています。
最初から強い薬剤を使えというわけです。
最初に強力な薬剤を使うことにより、後々の治療の種類にかかわらず、あとの治療成績に差が出るという話です。
私が以前から口すっぱく言っていたように 『いい薬はあとにまわすな、すぐ使え』 ということでしょうか。 問題は、本当にいい薬かどうかということです。
転移性前立腺がんで見つかった進行前立腺がんでは、去勢術もしくはMAB療法(CAB療法)が治療の中心でした。 これらの古くから行われている去勢術で、長期間効果が出る患者さんが確かにいます。
これらの治療、すなわち去勢術の効果が無くなった状態を、いままで去勢抵抗性前立腺がんと呼んでいました。
これからは、転移性前立腺がんで見つかった場合の去勢感受性前立腺がんへの治療の選択肢に、去勢抵抗性前立腺がんで用いる薬剤が加わる時代となりました。
去勢抵抗性前立腺がんという言葉は、今後は、用いられなくなると思います。
しかし、新規抗アンドロゲン剤は非常に高価な薬剤です。 長期間、すべての進行前立腺がんの患者さんに、最初から用いれば、国全体の医療費は、増加の一途で、その点は心配です。
先週ビッグニュースが発表されました。 新薬が米国で承認されました。
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