あっこちゃん
土曜日から昨日まで、あっこちゃんが一族を引き連れて東京からやってきた。あっこちゃんは、私のいとこのおねえちゃんで、母の姉の長女。彼女を中心に、あっこちゃんの夫と同居しているその母、両親、弟、おば、イヌ2匹。あっこちゃんの母親とおば、私の母は姉妹である。あっこちゃんの右胸に乳がんが見つかったのはちょうど去年の今頃。暮れに全摘出の手術を受け、抗がん剤とホルモン剤による治療は半年続いた。治療も終わったし、保険が降りたし、両親が結婚40周年なので記念にと言っていたけど、覚悟の旅行なのは明らかだった。最後の日は、私と母と名古屋から駆けつけたリーちゃん(妹)もみんなと一緒に(総勢10名)ホテルに泊まった。温水プール付きの温泉で、海一望の部屋。わたしもランチバイキングとかで来たことはあったけど、地元だけに泊るのは初めて。お伊勢参りも行ってちょっとした小旅行気分だった。みんながプールに行っている間私はあっこちゃんの母と義母をつれて温泉に入りに行ったんだけど、二人がお互いに背中を洗いあっているのは、とてもほほえましかった。母親と義母と両方つれて旅行行くこと自体すごいけどね。夜は若者チームで飲んでたんだけど、いつの間にかあっこちゃんと私だけになり,泣いたり笑ったり二人で飲み明かした。がんが見つかったときのこと、リンパ節にも見つかったこと、壮絶な抗がん剤の治療のこと。本当に完治したのかは今後9年間再発しなければ大丈夫というもので、そのあいだ不安を抱えながら生きていかないといけない。人は生まれてきた以上必ず死ぬ。それは頭では分かっていても健康な時は遠い先のこと、自分には関係ないことのように思ってしまう。体の一部を切り取り、その可能性を突き付けられ、抱えながら生きていくのは真っ暗な底なしの穴の上で綱渡りをしているようなもので、その恐怖は計り知れない。いつの間にか、寝ていたあっこちゃんのお母さんが起きてきた。本当は寝ていたんじゃなくって、たぶんずっと話を聞いていたんだと思う。それまであっこちゃんのつらさばかりに目が行っていたけれど、母親も辛いんだなというのがすごく伝わってきた。代われるものなら代わってあげたい。そんな思いが伝わってきた。今回の旅行は大人10人。みんなそれぞれ、仕事がありスケジュールを合わせるのも大変だったと思う。おばさんなんか1週間前に胆石の手術したばっかりだったし。だれも口には出さなかったけど、、お互いがお互いを思いあっている気持ちがあふれていた。だれにも、どうにもできない現実はある。でも、お互いをとても思いあっていること、人は一人で生きているわけじゃないということ、家族の愛情をたしかめあえる素敵な旅だった。また来年会おうね!もしかしたら最後になるかもしれない、握手を固く交わして、再会を誓った。遠く離れているけれど、いつも思っているよ、あっこちゃん。一日、一日その日にしか体験できない素晴らしいものを発見する目を養いつつ、今日を精いっぱい生きようね。お互いに。