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テーマ:サントラ天国(4)
カテゴリ:映画&小説&音楽
これは、サウンドトラックという枠組みを越えて、素晴らしいアーティストがビートルズをカヴァーした、とても贅沢なトリビュート盤と言えるでしょう。
ビートルズというキーワードは、主人公のサム(ショーン・ペン)が重い知的障害を持ちながら、ビートルズに関しては変質的にマニアックな知識を有するというエピソードから来ています。なので、ただのBGMでは無く、とても効果的に使われていて、逆説的ではありますが、サウンドトラックとしても、とても素晴らしい1枚と言える仕上がりになっています。 そんな意味からも、楽曲としては「Nowhere Man」(ポール・ウェスターバーグ)が、僕のビートルズのベリー・ベストなんですが、このサウンドトラックで言えば、「Across The Universe」(ルーファス・ウェインライト)が「事件前夜」のハッピーなシーンで、とても効果的に使われていて、あらためて「良い曲じゃん」と思ったりしてます。 「障害者の子育て」というヘヴィでシリアスなテーマを扱いながら、なんとも軽快で、温かな想いに満ちあふれた作品。サムの友人役は、実際に生涯を持った人たちが演じています。彼らの「アドリブ」に、ショーン・ペンがどんどん引き込まれていって、それでも彼はそれを楽しんでいて、その凄い世界に、見ている観客も引き込まれていく感じ...この現実感がまさに「映画」です。娘(ダコタ・ファニング)の名前が「ルーシー・ダイアモンド」、弁護士役(ミシェル・ファイファー)の名前が「ハリソン」など、サムが唯一リアルに捉えられる「ビートルズ的世界」のキーワードが散りばめられていて、どんどん「サムの思考」に自分がシンクロしていきます。何が正しいのか? 何故正しいのか? 社会のシステムや規範などが、どんどん窮屈なものに変わっていきます。2人の娘の父親として、サム以上に、たくさんの欠点や治せない悪癖を持つと考えられる僕にとっては、ハートにぐさぐさと突き刺さる映画でした。 それにしても、ビートルズの楽曲って、どうして、こうも、子供の動きに合うのでしょうか! ダコタ・ファニングが巧いにしても「ほどがある」でしょうに。 「アイ・アム・サム」オリジナル・サウンドトラック お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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