モンテプルチャノ ダブルッツォ ピニョット 2000
最近は、気合いの入った、ボトルが並ぶ事の多い、持ち込み会。今回のメンバーは、もともと集まっていた3人だけだったので「軽く」飲みました。僕は、表題のワインを持ち込みました。アブルッツォのDOC、生産者はモンティ(アントーニオ・エ・エリオ)です。エノロゴを、リッカルド・コタレッラがやっているモンテプルチャノ。最近、見かけないので、正規の輸入元が無いのかも知れません。ここのベースのモンテプルチャノ(黒と赤のエティケッタのやつです)は1000円程度で値段なりですが、なかなか良いワインです。こっちの、ピニョットはバリック熟成。1000円って事は無いですが、調べてびっくり、2860円で買ってました。ただ、同じ頃、もう1本を、4350円で買ってますから、平均して3605円(笑)。なんと言っても、濃いですね、色が。味わいも「濃い」ですが、コタレッラが敬遠されるような、強すぎる抽出によるザラザラした質感は無いです。タンニンも果実も「ふくよか」ですが「滑らか」です。2000年がちょうど良い塩梅に飲み頃になっていて、当日の昼の抜栓も功を奏した感じです。ふんわりと熟成の証が香ります。しめった木や土。インクや木炭。よく熟れた果実の甘い香りも。バリックも柔らかくとけ込んでいます。価格からは想像できないほど上品。なかなか美味しいです。僕の、最近の趣向からすると、やや外角の高めに外れているカットボールといった印象ですが、踏み込んで、「曲がりっぱな」を右方向へもって行きました。見逃せばボール球です。コタレッラと言うと、外来種を使ったワインをイメージします。「モンテプルチャノなんて珍しい」というのが、このワインを買った理由でした。こういうワインが、美味しかったりするので、イタリアって面白いと思います。2番とか6番あたりに、定着した、クセのある、良いバッターがいるチームみたいな感じですね。さて、今回、飲んだワインです。Verdicchio dei Castelli di Jesi Classico Riserva Billa Bucci 2003 / BucciTerra di Lavoro 2001 / Galardi実は、今回、僕がコタレッラのワインを選んだ理由はコレ。テッラ・ディ・ラヴォロとの、コタレッラ飲み比べ。あまり意味が無いですが(笑)。1本目は、僕の好きな造り手、ブッチの、高い方のヴェルディッキォです。僕は、ここの、安い方のファンです。2003を飲んだ印象をブログに書いた記憶があります。ヴェルディッキォには大きく2つのDOCがあります。このブッチのグループ、アンコーナを中心とした、アドリア海寄りの「ディ・イェズィ=di Jesi」と内陸部の「ディ・マテリカ=di Materica」です。ヴェルディッキオ自体は、ミネラル豊富で、ハーブや白胡椒のニュアンスもあり、とてもクリスプな感じ。そして地形が示すとおり、「ディ・イェズィ」は「トロリ」と温かなコクを、「ディ・マテリカ」は「キリリ」と冷ややかな酸を持ち合わせています。実は、年々、この「トロリ」がどうも苦手になって来ているのですが、ブッチのヴェルディッキォは「ディ・イェズィ」地区でありながら冷ややかな酸を持ち合わせていて、この「トロリ」も「トロッ」という感じでキレが良いんですね。それが、僕が、ここの安いヴェルディッキォを気に入っている理由です。で、このヴィッラ・ブッチは高いだけあって、へヴィ級ですが、やはり冷ややかな酸がとても良い感じ。アンティ・パストの「イイダコのトマト煮込み&セロリのピュレ」と共に飲むと、口の中にこのジューシーな酸がジュワっと溢れ出てくるんですね~。旨いです。やはり、このマリアージュを気に入っていた、Y氏も、同じヴェルディッキォ・リゼルヴァの「ミルムに似た感じ?」と表現されていましたが「ラ・モナチェスカ」が造る「ミルム」と言うのがまさに「ディ・マテリカ」であり「キリリ」で「冷ややか」で「酸」で「トロッ」で「キレ」なんですね。それにしても抜栓仕立ての「すえた」ような怪しげな香りは何だったのでしょう。そして、テッラ・ディ・ラヴォロです。僕は1999を1度飲んだ事があります。コタレッラのワイン(ボルドー的、強い凝縮感、太い果実)をイメージしていたら、とても上品で、ストイック、しかも葡萄に正直に造られていて、驚いたものでした。ある意味、拍子抜けしたのですが、この2001は、良くも悪くも、コタレッラ的。2本目に飲んだ、ピニョット同様、色が、濃いです。抜栓後すぐは、確かに、膨大な質量を持つ何かが存在するようなのですが、それが、一瞬で目の前を通り過ぎてしまうので、その何かを捉えきれない。目を凝らすと、赤い果実が見えてきます。そして、時間と共に、タバコや木炭や濃い色合いの果実など、複雑さも出てきました。ただ、一瞬でスルリと通り過ぎてしまうのは、相変わらずのようで、こうして見るとバランスは凄く良いけど、構造自体は中庸で、余韻も短め。ただ、時間による変化の振れ幅が大きいので、良くなるのはもっと、熟成が進んでからという事でしょうか。将来性に期待します。今回は、ヴェルディッキォに、モンテプルチャノに、アリアニコとピエディロッソのブレンドにと、品種に変化がありました。最近はトスカーナとピエモンテに偏向しすぎていたので、こういうのも良いですね。また、やりましょう。