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2011年06月16日
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カテゴリ:哲学研究室
 画期的な進歩を告げる、科学技術の実験がなされたと報道されていた。
 東海村の陽子シンクロトロン加速器で、自然界には僅かしか検出されないニュートリノを大量に作り出し、それをビームにして遠く離れた長野県のスーパーカミオカンデに向けて発射し、検出に成功したという。
 既定の理論値とは違った素粒子が多数観測されたらしいという。

 これは確かに画期的な科学技術の成果である。機械モデルが進化し、新しい物理的モノを形成できた、ということである。しかし自然学として考えたら、どういう成果だろうかと、考え込んでしまった。
 新しい無知の知はどこにあるのか、と。
 ミューニュートリノが、ごくわずかの確率で電子ニュートリノに変わってしまう?(浅学でわかんない)ということを期待しての大規模な実験らしい。

 予測値とは違うデータが得られた、という部分が、その自然学の部分である。しかしこれがどういうことなのか、は今後の解析と理論化だという。
 この微細な、わからない部分を求めて、科学技術の装置は巨大化、複雑化する一方なのである。
 リンゴが落ちる不思議さでは、今日の物理学は、もはや成り立たないと思われている。
 アリストテレス先生の自然学に至っては、皮むきされて消されてしまった。いわば、人間の基本的な認識の自由が、知識の立て組み化の中で圧殺されようとしている。

 この実験の報道を見て最初に感じたのは、人体に影響はないのか、という不安だった。 ニュートリノは物質を通過するから影響は無い。そういい切れるのは遠い超新星が引き起こす、宇宙の微細なニュートリノである。それも大量にあびたらどうなるか、などは、バカバカしいので研究する人もいない。
 検出される以上、微細であっても質量があり、振動を引き起こし、物質の組成を変えるわけである。
 言わば、人体に影響はないのか、という、科学技術者が誰もバカバカしくて想定もしない、不安という、新しい無知に直面しているわけであるが、これは巨大科学技術においては帰納的に無視される部分なのである。
 しかしその「想定しないこと」で何が起こるかわからない、というのが、自然学と縁遠いモノと化してしまった今日の日常と現実なのである。





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最終更新日  2011年06月16日 06時39分19秒
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